デタントールの効果と副作用【降圧剤】

デタントール錠(一般名:ブナゾシン塩酸塩)は1985年から発売されている血圧を下げるお薬(降圧剤)です。降圧剤の中でも「α遮断薬(αブロッカー)」という種類に属します。

高血圧症の患者さんは日本で1000万人以上と言われており、降圧剤は処方される頻度の多いお薬の1つです。

デタントールはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

ここではデタントールの特徴や効果・副作用について紹介していきます。

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1.デタントールの特徴

まずはデタントールの特徴をざっくりと紹介します。

デタントールはα受容体をブロックする事で、血圧を下げる作用を持ちます。効果は強くはないため、他の降圧剤を使っても効果不十分な際に補助的に用いられるお薬になります。

デタントールは、アドレナリンが作用する部位である「アドレナリン受容体」のうち、α(アルファ)1受容体をブロックするはたらきを持つため、「α遮断薬」と呼ばれます。

α1受容体は交感神経に存在し、刺激されると血管が収縮して血圧が上がります。

交感神経は緊張・興奮した時に活性化する神経です。α1受容体が刺激されて交感神経が活性化すると、血管の周りを覆っている筋肉である「平滑筋」を収縮させるため、血管も収縮します。

血管が収縮すると、血管の中にある血液が血管壁を押す力(血圧)が強くなります。これによって血圧が上がるのです。

この作用をブロックするのがデタントールです。

デタントールは交感神経のα1受容体をブロックする事で、血管平滑筋が収縮できないようにします。すると血管は収縮できずに拡張するため、血圧が下がるというわけです。

デタントールをはじめとしたα遮断薬は、他の降圧剤(血圧を下げるお薬)と比べると降圧力が弱く、そのために高血圧治療の主剤としてはあまり用いられません。そのため他の降圧剤のみでは効果不十分な場合に、補助的に用いるお薬になります。

また適応疾患にはありませんが、デタントールは血管の平滑筋のみならず、前立腺や尿道の平滑筋もゆるめるため、前立腺肥大症によって尿の出が悪くなっているような方(排尿障害)にもある程度の効果が期待できます。そのため前立腺肥大症による排尿障害を合併している方にとっては1剤で複数の効果を得られる可能性であります。

注意点としては、デタントールをはじめとしたα遮断薬は、服用初期は急激に血圧を下げてしまう事があります。特にいきなり高用量からはじめると血圧が急に下がりやすいため、α遮断薬は少量より開始し、少しずつ量を増やすように決められています。

急に高用量を使用すると、めまいやふらつきをはじめ、脳梗塞や心筋梗塞が発症する危険もありますので、必ず用法・用量を守って使用する事が大切です。

デタントールは作用時間は長くはないため、1日1回の服用では効果は1日持続しません。そのため、1日2~3回に分けて服用する必要があります。

以上からデタントールの特徴として次のような点が挙げられます。

【デタントールの特徴】

・α1受容体とブロックする事で血圧を下げる作用がある
・他の降圧剤と比べると効果は穏やか
・適応疾患にはないが、尿道をゆるめて尿を出しやすくする作用もある
・いきなり高用量からはじめると急激に血圧が下がってしまう事がある
・1日2~3回に分けて服薬する必要がある

2.デタントールはどんな疾患に用いるのか

デタントールはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

本態性高血圧症、腎性高血圧症、褐色細胞腫による高血圧症

デタントールが用いられる疾患は「高血圧症」です。

高血圧症に対しては、現在ではデタントールのようなα遮断薬は最初から用いられるお薬ではありません。高血圧症治療ガイドラインにおいても、

高血圧に対する第一選択薬は、

〇 カルシウム拮抗薬
〇 ARB(アンジオテンシンII 受容体拮抗薬)
〇 ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
〇 利尿薬

のいずれか

と記載されており、デタントールのようなα遮断薬は第一選択にはなっていません。これはα遮断薬は、これら第一選択のお薬と比べて心血管系イベントを抑制する効果が低いという研究結果があり、そういったものが理由となっていると思われます。

そのため、現在では上記の第一選択薬を使っても十分に血圧が下がらない場合に追加される補助的な降圧剤、という位置づけになっています。

適応疾患に記載されている「本態性高血圧症」とは、原因が特定されていない高血圧の事です。いわゆる通常の高血圧の事で、高血圧症の9割は本態性高血圧になります。

本態性でない高血圧は「二次性高血圧」と呼ばれ、これは何らかの原因があって二次的に血圧が上がっているような状態を指します。お薬の副作用による血圧上昇、ホルモン値の異常による高血圧(原発性アルドステロン症など)があります。

本態性高血圧のほとんどは単一の原因ではなく、喫煙や食生活の乱れ、運動習慣の低下などの複数の要因が続く事による全身の血管の動脈硬化によって生じます。

腎性高血圧は二次性高血圧の1つで、何らかの原因で腎臓に障害が生じて血圧が上がってしまう疾患です。例えば糖尿病による腎障害などが原因として挙げられます。腎臓は尿を作る臓器ですので、腎臓に障害が生じると尿を作りにくくなり、身体の水分が過剰となるため血圧が上がります。

褐色細胞腫は、副腎という臓器にアドレナリンを過剰分泌してしまう腫瘍が出来てしまう病気で、それによって血圧が異常に上昇してしまいます。

治療は腫瘍を手術で摘出するのが原則ですが、一時的にお薬で血圧を下げる事もあります。褐色細胞腫ではアドレナリンの増加が血圧上昇の原因になっていますので、アドレナリン受容体をブロックする作用を持つα遮断薬が良く効きます。

デタントールはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

高血圧症に対してデタントールを投与し、その効果を「著明下降」「下降」「やや下降」「不変」「やや上昇」「上昇」「著明上昇」の7段階で評価した調査では、その効果が「下降」以上と判断だった率(有効率)は、

  • 本態性高血圧症に対する有効率は60.5%
  • 腎性高血圧症に対する有効率は60.0%
  • 褐色細胞腫による高血圧症に対する有効率は86.7%

と報告されています。

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3.デタントールにはどのような作用があるのか

デタントールはどのような作用を持つお薬なのでしょうか。

デタントールの作用はアドレナリン受容体のうち、α1受容体をブロックすることになります。

α1受容体は自律神経の1つである「交感神経」に存在し、刺激されると平滑筋という筋肉を収縮させます。

交感神経は「緊張状態」を作り出す神経です。交感神経が活性化すると、身体は緊張体制となりますので、そのような体制が必要な状況で活性化します。

例えば、仕事での発表や、目上の人との面談などといった状況では交感神経が優位となります。

このような状況では集中力を保ち、また迅速に行動する必要があるため、α1受容体が刺激される事で交感神経が活性化し、血管の平滑筋を収縮させるため血圧が上がります。

デタントールによってα1受容体がブロックされると、平滑筋が収縮できなくなります。すると血管を覆っている平滑筋がゆるみ、血管が広がって血圧が下がるというわけです。

これがデタントールの作用機序になります。

4.デタントールの副作用

デタントールにはどんな副作用があるのでしょうか。また副作用はどのくらいの頻度で生じるのでしょうか。

デタントールの副作用発生率は2.68%と報告されています。

生じうる副作用としては、

  • めまい
  • 動悸
  • 立ちくらみ
  • 悪心
  • 頭痛
  • ふらつき
  • 口渇
  • 鼻閉
  • 倦怠感
  • 肝機能障害(AST、ALT上昇)

などが報告されています。

めまいやふらつき、立ちくらみ、頭痛といった副作用は血圧が急に下がる事で生じます。デタントールをはじめとしたα遮断薬は、降圧効果はそこまで高くないものの、特に飲み始めに急激に効果が出てしまう事があるのです。

また動悸は、血圧が下がった事で低下した血液量を、心拍数を増やす事で代償的に補おうとするために生じます。

デタントールは主に肝臓で代謝されるため、時に肝臓に負荷をかけてしまい肝機能が悪化する事もあります。デタントールの服用が長期に渡っている方は定期的に血液検査等で肝機能をチェックした方が良いでしょう。

頻度は稀ですが重篤な副作用としては、

  • 失神・意識喪失

が挙げられています。

デタントールをはじめとしたα遮断薬は投与初期は急激に血圧を下げてしまう事があります。血圧は急激に下がると前述のめまいやふらつきが生じる他、失神・意識喪失となる事もあります。

特に高用量をいきなり投与するとこのようなリスクが生じやすくなるため、α遮断薬は少量から開始し、少しずつ増量するように決められています。

デタントールを投与してはいけない人(禁忌)としては、

  • デタントールの成分に対し過敏症の既往歴のある方

が挙げられています。これはデタントールに限らずあらゆる薬で設定されている禁忌項目になります。

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5.デタントールの用法・用量と剤形

デタントールは、

デタントール錠 0.5mg
デタントール錠 1mg

の2剤型が発売されています。

デタントールの使い方は、

通常成人には、1日1.5mgより投与を始め、効果が不十分な場合は1日3~6mgに漸増し、1日2~3回に分割し食後経口投与する。

なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は12mgまでとする。

と書かれています。

デタントールをはじめとしたα遮断薬は、必ず少量から始め、少しずつ増やしていく必要があります。

これは急激に増やすと急激な血圧の低下で、めまいやふらつきといった副作用や、脳梗塞・心筋梗塞といった重篤な状態を引き起こすリスクが高くなるからです。

6.デタントールが向いている人は?

以上から、デタントールが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

デタントールの特徴をおさらいすると、

・α1受容体とブロックする事で血圧を下げる作用がある
・他の降圧剤と比べると効果は穏やか
・適応疾患にはないが、尿道をゆるめて尿を出しやすくする作用もある
・いきなり高用量からはじめると急激に血圧が下がってしまう事がある
・1日2~3回に分けて服薬する必要がある

などがありました。

臨床でデタントールを用いるのは、

・他の降圧剤では効果不十分な時
・高血圧と前立腺肥大症を合併している時
・交感神経の活性化によって血圧が上がっている時

があります。

高血圧に対して、デタントールのようなα遮断薬は最初に選択されるお薬にはなりません。

使われるのは他の降圧剤(ARB、ACE阻害薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、利尿剤など)を用いても効果が不十分な時になります。しかし現在では優れた降圧剤が増えてきたため、デタントールが用いられる機会は多くはありません。

デタントールは血圧を下げるだけでなく、尿道をゆるめて尿を出しやすくするはたらきがありますので、高血圧と前立腺肥大症を合併している方は、1剤で2つの疾患へ効果が得られるデタントールはメリットがあり、選択される事があります。

またデタントールは緊張の神経である交感神経を抑える事で血圧を下げるという作用機序を持ちます。ここから動脈硬化による高血圧ではなく、不安や緊張などが過度に高まる事で血圧が上昇しているような心因性の高血圧にも効果が期待できます。

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