ダイアコート(一般名:ジフロラゾン酢酸エステル)は1985年から発売されているお薬で、外用ステロイド剤になります。
「ダイアコート軟膏」「ダイアコートクリーム」の2つの剤型があります。
外用ステロイド剤とは皮膚に塗るタイプ(塗り薬)のステロイド剤の事で、皮膚の炎症を抑えたり、皮膚細胞の増殖を抑える作用などを持ちます。
外用剤は飲み薬のようにお薬の成分が全身に回らないため、効かせたい部位にのみしっかりと効かせ、余計な部位にほとんど作用せずに安全性に優れます。
塗り薬にもたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのか一般の方にとっては分かりにくいものです。
ダイアコートはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではダイアコートの特徴や効果・効能、副作用についてみてみましょう。
目次
1.ダイアコートの特徴
まずはダイアコートの特徴をざっくりと紹介します。
ダイアコートは皮膚に塗る外用ステロイド薬であり、皮膚の炎症を抑える働きがあります。外用ステロイド薬の中での強さは「もっとも強力」(5段階中1番目)であり、高い効果が得られる反面で副作用にも注意が必要になります。
ステロイド外用剤の主なはたらきとしては、次の3つが挙げられます。
- 免疫反応を抑える
- 炎症反応を抑える
- 皮膚細胞の増殖を抑える
ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑える作用があります。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげたりします。
また皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、これによって厚くなった皮膚を薄くする作用も期待できます。
ダイアコートもステロイド外用剤の1つですが、ステロイド外用剤は強さによって5段階に分かれています。
【分類】 | 【強さ】 | 【商品名】 |
Ⅰ群 | 最も強力(Strongest) | デルモベート、ダイアコートなど |
Ⅱ群 | 非常に強力(Very Strong) | アンテベート、ネリゾナ、マイザーなど |
Ⅲ群 | 強力(Strong) | ボアラ、リンデロンV、リドメックスなど |
Ⅳ群 | 中等度(Medium) | アルメタ、ロコイド、キンダベートなど |
Ⅴ群 | 弱い(Weak) | コートリル、プレドニンなど |
この中でダイアコートは「Ⅰ群」に属します。炎症を抑える作用が強いステロイドの中でも最強の強さを持つお薬です。
ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題などもあるため、皮膚症状に応じて適切な強さのものを使い分ける事が大切です。
強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で副作用も生じやすいというリスクもあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。
ダイアコートは外用ステロイド剤の中でも強力な作用があります。そのため、炎症をしっかりと抑えたい時には頼れるお薬ですが、一方で副作用にも細心の注意を払う必要があるのです。
ダイアコートは原則として、頭部や足の裏など皮膚が厚い部位に対して、強力に炎症を抑える必要がある時にのみ使うべきです。反対に皮膚が薄くて敏感な部位(顔や陰部など)には原則として塗ってはいけません。
ステロイドはどれも長期使用すると皮膚の細胞増殖を抑制してしまったり、免疫力を低下させたりしてしまいます。これによって皮膚が薄くなってしまったりばい菌に感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性があります。
強力な作用を持つダイアコートはこのような副作用が特に生じやすいため、必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないことが大切です。
以上からダイアコートの特徴として次のような事が挙げられます。
【ダイアコートの特徴】
・Ⅰ群(もっとも強い)に属するステロイド外用剤である |
2.ダイアコートはどんな疾患に用いるのか
ダイアコートはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。
【効能又は効果】
湿疹・皮膚炎群(ビダール苔癬、進行性指掌角皮症、脂漏性皮膚炎を含む)、乾癬、痒疹群(ストロフルス、じん麻疹様苔癬、固定じん麻疹を含む)、掌蹠膿疱症、紅皮症、薬疹・中毒疹、虫さされ、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、慢性円板状エリテマトーデス、扁平紅色苔癬、毛孔性紅色粃糠疹、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎を含む)、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、皮膚アミロイドーシス(アミロイド苔癬、斑状型アミロイド苔癬を含む)、天疱瘡群、類天疱瘡(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)、円形脱毛症
難しい専門用語がたくさん並んでいますので、これを見ただけではどのような疾患に使えばいいのかイメージが沸かないかと思います。
ステロイド外用剤を用いるのは、
- 炎症を抑えたい
- 免疫を抑えたい
- 皮膚の増殖を抑えたい
の3つの状況であり、これらの作用を期待したい時に用いられます。
それぞれの疾患の簡単な特徴とステロイドのどのような作用を狙って使用するのかを説明します。
ビダール苔癬とはストレスなどが原因となり皮膚の一部に痒みや苔癬(小さな発疹が集簇して一か所に出来る事)が生じる疾患です。主に首の後ろや大腿部などに生じやすいと言われています。
進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷付いてしまい、炎症を起こしてしまう状態です。
脂漏性皮膚炎とはマラセチアという真菌が皮脂を遊離脂肪酸に分解する事で生じます。遊離脂肪酸は皮膚に刺激性があるため、これにより皮膚に炎症が生じてしまいます。
扁平紅色苔癬はかゆみを伴うたくさんの丘疹(小さな発疹)が融合し、盛り上がってうろこ状になる皮膚疾患です。
紅皮症は様々な原因によって皮膚に炎症が生じ、皮膚が赤くなり、落屑(皮膚が剥がれ落ちる事)などが生じる状態です。
これらの疾患では、ダイアコートの炎症を抑えるはたらきが効果を発揮します。
ストロフルスはアレルギー反応の1つで、主に虫に刺された後に生じる皮膚の腫れです。じんま疹もアレルギーの一種です。薬疹もお薬が原因で生じるアレルギー反応です。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は自己免疫疾患です。自己免疫疾患は免疫(ばい菌と闘う力)が何らかの原因によって暴走してしまい、自分自身を攻撃してしまう病気です。掌蹠膿疱症では、免疫の異常によって手足に膿胞(膿が溜まった皮疹)が出来てしまいます。
サルコイドーシスは全身に肉芽腫が出来てしまう疾患で、これも自己免疫性の原因が考えられています。
天疱瘡・類天疱瘡も自己免疫疾患で、免疫が自分の皮膚を攻撃してしまう事で水泡が生じる疾患です。
アレルギー疾患や自己免疫疾患は、免疫が過剰にはたらいてしまっている結果生じているため、ダイアコートの免疫力を低下させる作用が効果を発揮します。
乾癬(かんせん)とは皮膚の一部の細胞増殖が亢進していしまい、赤く盛り上がってしまう疾患です。
毛孔性紅色粃糠疹も毛孔(毛穴)に一致して皮膚が赤く腫れ、徐々に皮膚全体が盛り上がってくる疾患です。
瘢痕・ケロイドは傷跡が盛り上がってしまう状態で、皮膚修復の過程で過剰に皮膚が増殖してしまう事が原因です。
皮膚アミロイドーシスは、皮膚にアミロイドという異常たんぱく質が沈着してしまい皮膚が肥厚してしまう疾患です。
これらの疾患にはダイアコートの皮膚細胞増殖を抑制するはたらきが効果を発揮します。
慢性円板状エリテマトーデスは原因は不明ですが、皮膚の露出部(日光が当たる部位)に円板状の紅斑が生じます。慢性円板状エリテマトーデスもステロイドにより症状の改善が得られます。
悪性リンパ腫はリンパ系に癌が生じる疾患です。基本的に抗がん剤や放射線療法による治療が行われますが、免疫系であるリンパの癌ですので、皮膚症状に関しては免疫を抑えるステロイドが効く事もあります。
注意点としてステロイドは免疫(身体が異物と闘う力)を抑制するため、ばい菌の感染に弱くさせる作用があります。そのため、細菌やウイルスが皮膚に感染しているような皮膚にステロイドを塗る事は原則推奨されていません。
強力なステロイドであるダイアコートは、特に強力に免疫を抑えてしまうため、細心の注意が必要です。
では、これらの疾患に対してダイアコートはどのくらいの効果があるのでしょうか。
ダイアコートの上記疾患に対する総合的な有効率は、
- ダイアコート軟膏で90.7%
- ダイアコートクリームで91.2%
と報告されており、高い有効率を誇ります。
内訳としては、
- 湿疹・皮膚炎群に対する有効率は軟膏で95.1%、クリームで91.2%
- 乾癬に対する有効率は軟膏で91.1%、クリームで90.3%
- 痒疹群に対する有効率は軟膏で99.0%、クリームで94.1%
- 掌蹠膿疱症に対する有効率は軟膏で86.0%、クリームで90.9%
- 紅皮症に対する有効率は軟膏で94.9%、クリ-ムで90.0%
- 薬疹・中毒疹に対する有効率は軟膏で100%、クリームで100%
- 虫刺されに対する有効率は軟膏で100%、クリームで100%
- 紅斑症に対する有効率は軟膏で87.0%、クリームで100%
- 慢性円板状エリテマトーデスに対する有効率は軟膏で93.5%、クリームで96.8%
- 扁平紅色苔癬に対する有効率は軟膏で91.7%、クリームで100%
- 毛孔性紅色粃糠疹に対する有効率は軟膏で92.9%、クリームで77.8%
- 特発性色素性紫斑に対する有効率は軟膏で83.9%、クリームで93.5%
- 肥厚性瘢痕・ケロイドに対する有効率は軟膏で66.7%、クリームで64.5%
- 肉芽腫症に対する有効率は軟膏で100%、クリームで76.2%
- 悪性リンパ腫に対する有効率は軟膏で77.3%、クリームで78.9%
- 皮膚アミロイドーシスに対する有効率は軟膏で86.7%、クリームで91.3%
- 天疱瘡群に対する有効率は軟膏で70.0%、クリームで92.3%
- 類天疱瘡に対する有効率は軟膏で71.4%、クリームで100%
- 円形脱毛症に対する有効率は軟膏で53.8%、クリームで61.1%
となっています。
3.ダイアコートにはどのような作用があるのか
皮膚の炎症を抑えてくれるダイアコートですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。
ダイアコートの作用について詳しく紹介します。
Ⅰ.免疫抑制作用
ダイアコートはステロイド剤です。
ステロイドには様々な作用がありますが、主な作用として免疫抑制作用があります。
免疫というのは身体の中に異物が侵入してきた時に、それを排除する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入や増殖を阻止します。
免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けてしまうことがあります。
代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう現象です。
アレルギー反応をきたす疾患の1つに「花粉症(アレルギー性鼻炎)」がありますが、これも「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。
同じく皮膚にアレルギー反応が生じる疾患にアトピー性皮膚炎がありますが、これも皮膚の免疫が誤作動してしまい、本来であれば攻撃する必要のない物質を攻撃してしまい、その結果皮膚が焼け野原のように荒れてしまうのです。
このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。
ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあり、これによって過剰な免疫が生じている状態を和らげる作用が期待できます。
一方で免疫を抑えてしまう事で、ばい菌に感染しやすい状態を作ってしまうというデメリットもあります。
Ⅱ.抗炎症作用
上記のようにステロイドには免疫を低下させる作用があります。免疫がターゲットを攻撃しなくなると炎症が引き起こされなくなるため、これによって炎症を抑える作用(抗炎症作用)が得られます。
炎症とは、
- 発赤 (赤くなる)
- 熱感 (熱くなる)
- 腫脹(腫れる)
- 疼痛(痛みを感じる)
の4つの徴候を生じる状態のことです。炎症は何らかの原因で身体がダメージを受けた時に生じる現象で、例えば感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーでも生じます。
みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。
ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれる作用があります。
そのためステロイド外用剤(ステロイドの塗り薬)は皮膚炎を改善させる作用が期待できます。
Ⅲ.皮膚細胞の増殖抑制作用
ダイアコートをはじめとしたステロイド外用剤は、塗った部位の皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。
これは主に副作用となる事が多く、強いステロイドを長期間塗り続けていると皮膚が薄くなっていき毛細血管が目立って赤みのある皮膚になってしまう事があります。
しかし反対に皮膚が肥厚してしまうような疾患(乾癬や角化症など)においては、ステロイドを使う事で皮膚細胞の増殖を抑え、皮膚の肥厚を改善させることも出来ます。
4.ダイアコートの副作用
ダイアコートの副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。
ダイアコートの副作用発生率は1.46%と報告されています。
ダイアコートは塗り薬ですので全身に作用するものではありませんが、作用が強力であるため副作用には注意が必要です。必要な期間の塗布に留め、漫然と塗り続けてはいけません。
生じる副作用としては
- 毛囊炎・癤(せつ)
- 皮膚萎縮
- ステロイド痤瘡
などが報告されています。
ステロイドは免疫を低下させてしまうため、ばい菌に感染しやすくなって毛嚢炎やせつ(いわゆる「おでき」)、真菌感染を起こしてしまうリスクがあります。
ざ瘡(いわゆるにきび)を引き起こしてしまう事もあり、これはステロイドざ瘡と呼ばれます。
またステロイドの長期塗布は皮膚を薄くしてしまうため、皮膚に刺激感が生じたり、皮膚萎縮が生じる事があります。
いずれも長期間使えば使うほど発生する可能性が高くなるため、ステロイドは漫然と使用する事は避け、必要な期間のみ使う事が大切です。
また重篤な副作用として、
- 皮膚の細菌・真菌感染症
- 下垂体・副腎皮質系機能抑制
- 後囊白内障・緑内障
などの可能性が報告されています。
ステロイドは免疫を抑えるため、菌を繁殖させやすくしてしまいます。これにより皮膚感染症が生じる事があります。
またステロイドの大量投与は、元々体内で作られているステロイドホルモンのバランスを崩してしまう事があります。ステロイドホルモンは脳下垂体からの刺激を受け、副腎皮質で作られます。ステロイドが大量に投与されるとこれらの機能が抑制されてしまうリスクがあります。
調査では1日に20g以上ダイアコートを外用した症例の一部で、軽度の副腎皮質系機能抑制(血中コルチゾール値、好酸球数の減少など)が認められた事が報告されています。ここまで使う人は稀でしょうが、このようなリスクがある事は一応知っておく必要があります。
またダイアコートの禁忌(絶対に使ってはダメ)として、添付文書には次のように記載されています。
【禁忌】
(1)細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)
(2)本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
(3)鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
(4)潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷
これらの状態でダイアコートが禁忌となっているのは、皮膚の再生を遅らせたり、感染しやすい状態を作る事によって重篤な状態になってしまう恐れがあるためです。
5.ダイアコートの用法・用量と剤形
ダイアコートには、
ダイアコート軟膏0.05% 5g (チューブ)
ダイアコート軟膏0.05% 10g (チューブ)
ダイアコート軟膏0.05% 100g (瓶)ダイアコートクリーム0.05% 5g (チューブ)
ダイアコートクリーム0.05% 10g (チューブ)
といった剤型があります。
ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。
軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。
クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。
ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。
ダイアコートの使い方は、
通常1日1~数回適量を患部に塗布する。
と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。
6.ダイアコートの使用期限はどれくらい?
ダイアコートの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。
「家に数年前に処方してもらった塗り薬があるんだけど、これってまだ使えますか?」
このような質問は患者さんから時々頂きます。
これは保存状態によっても異なってきますので一概に答えることはできませんが、適正な条件(室温保存)で保存されていたという前提だと、「3年」が使用期限となります。
7.ダイアコートが向いている人は?
以上から考えて、ダイアコートが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。
ダイアコートの特徴をおさらいすると、
【ダイアコートの特徴】
・Ⅰ群(もっとも強い)に属するステロイド外用剤である |
というものでした。
ここから皮膚の免疫反応が過剰となって炎症が生じている時、皮膚が異常に厚くなってしまっている時に使用する塗り薬だと考えられます。
ただしステロイドの中でも最強の強さを持つため、その適応は慎重に考えるべきです。
皮膚が厚い部位であり、かつ炎症反応を強力に抑えるべき症例に限って用いるべきで、安易に用いるべきではありません。また子供の皮膚、成人の顔・陰部などといった皮膚が薄く敏感な部位には原則塗ってはいけません。
使用も出来る限り短期間に留めるべきで、症状の改善が得られたら適切な時期にⅡ群などより弱いステロイドにランクダウンする必要があります。