レスタミンコーワクリーム(ジフェンヒドラミン)の効果と副作用【抗アレルギー薬】

レスタミンコーワクリーム(一般名:ジフェンヒドラミン)は1952年から発売されているアレルギーに効く塗り薬(抗アレルギー薬)になります。

レスタミンコーワクリームはジフェンヒドラミンという抗アレルギー薬が主成分となっています。これは花粉症の時などに内服するアレルギー薬と同系統の成分になります。レスタミンコーワクリームは飲み薬のように全身に作用するわけではなく、皮膚の局所に抗アレルギー薬を直接塗れるため、局所のアレルギー症状に対して用いられます。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのか一般の方にとっては分かりにくいと思います。

レスタミンコーワクリームがどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのか、レスタミンコーワクリームの効能や特徴・副作用についてみてみましょう。

 

1.レスタミンコーワクリームの特徴

まずはレスタミンコーワクリームの特徴をざっくりと紹介します。

レスタミンコーワクリームは抗アレルギー薬の塗り薬であり、皮膚のアレルギー症状を抑える作用があります。

レスタミンコーワはジフェンヒドラミンという抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)が主成分となっています。

ヒスタミンというアレルギー発症に関わっている物質のはたらきをブロックすることでアレルギー症状(かゆみ、発赤、湿疹など)を改善させます。

レスタミンコーワクリームの抗アレルギー作用はあまり強くはありませんが、飲み薬のように全身にお薬が回らず、症状が出ている局所にのみに作用してくれるとメリットがあります。

そのため、飲み薬の抗アレルギー薬に見られるような、眠気・ふらつきなどといった副作用はほとんど生じません。

作用は穏やかなので、例えば重度のアトピー性皮膚炎などではレスタミンコーワクリームでは効果は十分に得られないでしょう。この場合は、ステロイドを使ったり抗アレルギー薬の飲み薬を併用する事もあります。

臨床においては、主に軽度の皮膚アレルギー症状(かゆみや発赤など)に対して用いられています。またアレルギー疾患でなくても、アレルギーと同様の機序で生じているかゆみ(虫刺されや湿疹など)にも効果を示します。

以上からレスタミンコーワクリームの特徴として次のような事が挙げられます。

【レスタミンコーワクリーム(ジフェンヒドラミン)の特徴】

・抗アレルギー作用を持つ
・効果は穏やか、重度の皮膚アレルギー症状には向かない
・局所にのみ作用するため、副作用は少ない

 

2.レスタミンコーワクリームはどんな疾患に用いるのか

レスタミンコーワクリームはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

じんま疹
湿疹
小児ストロフルス
皮膚掻痒症
虫さされ

難しい専門用語が並んでいますが、皮膚のアレルギーによって生じているかゆみや湿疹などを抑えてくれるのがレスタミンコーワクリームです。

典型的にはじんま疹に用いられますが、他にもヒスタミンによって生じていると思われるかゆみや湿疹にも効果は望めます。

ちなみに「小児ストロフルス」とは、難しい用語ですが、主に赤ちゃんに生じる虫刺され後のかゆみのことです。

 

3.レスタミンコーワクリームにはどのような作用があるのか

皮膚のアレルギー症状を抑えてくれるレスタミンコーワクリームですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

レスタミンコーワクリームの作用機序は、一般的な飲み薬の抗アレルギー薬と同じ機序になります。ただし、その作用は局所でのみ発揮され、全身にお薬はほとんど回りません。

レスタミンコーワクリームの作用について詳しく紹介します。

 

Ⅰ.抗アレルギー作用

レスタミンコーワクリームは、アレルギー症状を起こす原因の1つである、「ヒスタミン」という物質のはたらきを抑えます。

レスタミンコーワクリームは塗る薬ですので、皮膚に塗る事で皮膚に存在する肥満細胞が分泌するヒスタミンのはたらきを抑えてくれるのです。

そもそもアレルギー反応はどのような機序で生じるのでしょうか。

ある物質に対して過剰に身体が反応してしまうのが「アレルギー」です。アレルギーでは、食べ物やダニ、花粉など、通常であれば身体が何の反応を示さないような無害な物質に対して、何らかの原因により身体が「これは危険な物質だ!」と誤った認識をしてしまいます。

なぜこのような事が起こるのか、その原因は不明なところもありますが、遺伝や環境・ストレスなどが指摘されています。しかし、原因不明で生じることも少なくありません。

通常であれば摂取・接触しても問題がないようなものに対して、身体が「危険物質」と誤認識するようになると、様々な不都合が生じます。

例えば、「花粉」という本来無毒である物質に対して身体が過剰に反応してしまうのが「アレルギー性鼻炎」であり、鼻水やくしゃみ、鼻閉などの症状が出てしまいます(この場合、花粉をアレルギーを起こす物質という意味で「アレルゲン」と呼びます)。

アレルギー反応は、アレルゲンに肥満細胞(マスト細胞)が反応して、ヒスタミンをいう物質を分泌することが1つの原因です。

ヒスタミンは血管透過性を亢進させたり、血管を拡張させるはたらきがあり、これにより様々な物質が血液中から皮膚に浸出していき、これによりかゆみや発赤・湿疹などを生じます。

レスタミンコーワクリームは、「抗ヒスタミン薬」とも呼ばれており、肥満細胞が分泌したヒスタミンのはたらきを抑える作用があります。

具体的にはヒスタミンが結合する部位である「ヒスタミン受容体」をブロックすることでヒスタミンが作用できないようにするのです。

これによってアレルギー症状を抑えることが可能となります。

 

4.レスタミンコーワクリームの副作用

レスタミンコーワクリームは塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用は多くはありません。

レスタミンコーワクリームの副作用発生率の詳しい調査はされていませんが、おおよその調査では副作用は2.12%前後と報告されています。重篤なものは少なく、ほとんどが局所の皮膚症状で、

  • 発赤
  • 腫脹
  • 掻痒(かゆみ)
  • 湿潤

などです。

いずれも重篤となることは少なく、多くはレスタミンコーワクリームの使用を中止すれば自然と改善していきます。

 

5.レスタミンコーワクリームの用法・用量と剤形

レスタミンコーワには、

レスタミンコーワクリーム(ジフェンヒドラミン) 1% 500g
レスタミンコーワクリーム(ジフェンヒドラミン) 1% 1kg

のみの剤型があります。

実際は、10gや50g、100gといった少量での処方が多いため、薬局でプラスチック容器などに入れてもらって処方されます。

ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。

また、レスタミンコーワには錠剤もあります。これも成分は同じジフェンドラミンになります。レスタミンコーワ錠は、服薬することで皮膚のみならず全身のアレルギー症状を抑えてくれるお薬になります。

レスタミンコーワクリームの使い方は、

通常症状により適量を、1日1数回患部に塗布または塗擦する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

レスタミンコーワクリームは全身に塗ることが出来ますが、眼及び眼の周りには塗らないようにしましょう。

 

5.レスタミンコーワクリームの使用期限はどれくらい?

レスタミンコーワクリームの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった軟膏があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、製薬会社による記載では室温保存にて「3年」となっています。室温保存にて3年間、レスタミンコーワクリームは規格範囲内の成分を保ったと報告されています。

なおレスタミンコーワクリームは基本的には室温で保存するものですので、この状態で保存していたのであれば「3年」は持つと考えることができます。しかし、そうではない場所で保存していた場合は、3年未満でも効能が失われている可能性があります。

 

6.レスタミンコーワクリームが向いている人は?

以上から考えて、レスタミンコーワクリームが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

レスタミンコーワクリームの特徴をおさらいすると、

・抗アレルギー作用を持つ
・効果は穏やか、重度の皮膚アレルギー症状には向かない
・局所にのみ作用するため、副作用は少ない

というものでした。

ここから、軽度の皮膚のアレルギー症状がある場合に適した塗り薬だと考えられます。

レスタミンコーワクリームでは改善が得られないような強いアレルギー症状がある場合は、このお薬だけでなく抗アレルギー薬の飲み薬やステロイドなども検討されます。