オイラックスHクリームの効果と副作用【かゆみ止め】

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オイラックスHクリーム(一般名:クロタミトン・ヒドロコルチゾン配合クリーム)は、1960年から発売されている外用剤です。

外用剤というのはいわゆる「塗り薬」の事で、主に皮膚疾患に対して用いられるお薬になります。オイラックスHは外用剤の中でも鎮痒薬(ちんようやく)という種類に属し、これはいわゆる「かゆみ止め」になります。

オイラックスHは主にかゆみを抑える目的で処方されますが、それ以外にも弱いステロイドも配合しており、これにより炎症を抑える作用も期待できます。

塗り薬にはたくさんの種類があるため、それぞれがどのような作用や特徴を持つのかが分かりにくいものです。

オイラックスHはどのような特徴を持つお薬で、どのような患者さんに適しているお薬なのでしょうか。

ここではオイラックスHの特徴や効果・副作用について紹介させて頂きます。

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1.オイラックスHクリームの特徴

まずはオイラックスHクリームの全体像や特徴を紹介します。

オイラックスHは「クロタミトン」というかゆみを抑える物質と、「ヒドロコルチゾン」という弱いステロイドの2つを配合したお薬になります。

かゆみを抑えつつ、ステロイドで穏やかに炎症も抑えてあげたい時に用いられます。

オイラックスHは独特な作用機序によってかゆみを抑えてくれる「クロタミトン(商品名:オイラックス)」に「ヒドロコルチゾン」というステロイドを配合したお薬になります。

代表的なかゆみ止めのお薬というのは、アレルギー反応を抑えることでかゆみを抑える「抗ヒスタミン薬」や、麻酔作用によって感覚を鈍くしてかゆみを抑えたりするものが主です。

しかしオイラックスHはこれらのかゆみ止めとは作用機序が根本的に異なります。

オイラックスHに含まれるクロタミトンは温覚に対しての刺激作用を持っており、皮膚に塗るとヒリヒリするような感覚があります。このヒリヒリ感によってその分かゆみを感じにくくさせる、というのがクロタミトンの作用なのです。

つまりかゆみを抑えているわけではなく、別の感覚を引き起こす事によってかゆみが感じにくくなるといった感じですね。

「ヒリヒリ感」という刺激がかゆみと競合し、これによってかゆみが改善するため、オイラックスHのようなお薬は「競合的刺激性止痒剤」とも呼ばれています。

一方でこのヒリヒリ感は時に副作用となってしまうこともあります。実際にオイラックスHの副作用として多いものに、熱感・灼熱感といった皮膚刺激症状が挙げられています。

ヒリヒリ感を持つお薬であるため、傷口などの創部や皮膚が荒れている部位に用いる際は注意が必要です。オイラックスHが皮膚を刺激するため、皮膚状態が更に悪化してしまう可能性があるためです。

またオイラックスHに含まれる「ヒドロコルチゾン」はステロイドになります。

ステロイドの外用剤には、塗った部位の免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える作用があり、これによって炎症反応も抑える事が期待できます。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげたりします。

外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

【分類】 【強さ】 【商品名】
Ⅰ群 最も強力(Strongest) デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群 非常に強力(Very Strong) アンテベート、ネリゾナ、マイザーなど
Ⅲ群 強力(Strong) ボアラ、リンデロンV、リドメックスなど
Ⅳ群 中等度(Medium) アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群 弱い(Weak) コートリル、プレドニンなど

この中でヒドロコルチゾンは「Ⅴ群(弱い)」に属します。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題などもあるため、皮膚症状に応じて適切に使い分ける事が大切です。

強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で副作用も生じやすいというリスクもあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

オイラックスHに含まれるヒドロコルチゾンは外用ステロイド剤の中でも最弱ですので、穏やかに免疫を抑え、穏やかに炎症を抑えるステロイドになります。

そのため副作用も少なめですが、そうは言ってもステロイドはどれも長期使用すると、皮膚の細胞増殖を抑制したり、免疫力を低下させたりしてしまいます。これによって皮膚が薄くなってしまったり感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性がありますので、必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないことが大切です。

ちなみに面白い特徴として、オイラックスHに含まれる「クロタミトン」は、ヒゼンダニ(疥癬の原因寄生虫)など、一部の寄生虫に対して殺虫作用を持っています。そのため、「オイラックス(一般名:クロタミトン)」は、時にこれらの寄生虫感染症の治療薬として用いられることもあります。

しかしオイラックスHは免疫を抑えるステロイドが含まれているため、ヒゼンダニの感染をより悪化させてしまう可能性があります。そのためオイラックスHは疥癬の治療薬として用いられる事はありません。

以上からオイラックスHクリームの特徴として、次のような事が挙げられます。

【オイラックスHクリームの特徴】

・かゆみを抑える作用に優れ、他のかゆみ止めとは異なる機序でかゆみを抑える
・弱いステロイドを含み、穏やかに炎症を抑える
・熱感・灼熱感など皮膚刺激症状があるため、傷口や荒れた皮膚への塗布は推奨されない

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2.オイラックスHクリームの適応疾患と有効率

オイラックスHクリームはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、皮膚そう痒症、小児ストロフルス、虫さされ、乾癬

難しい専門用語が並んでいますが、ざっくりと言えばオイラックスHは、

  • かゆみを抑える
  • 炎症を軽く抑える

という作用を持つため、皮膚にかゆみが生じており、かつ炎症も多少抑えてあげた方が良い状態・疾患に使われると考えてください。

進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷つき、炎症を起こしてしまう事です。

ビダール苔癬とはストレスなどが原因となり皮膚の一部に痒みや苔癬が生じる疾患です。主に首の後ろや大腿部などに生じやすいと言われています。

小児ストロフルスとは、主に赤ちゃんに生じる虫刺され後のかゆみのことです。

乾癬(かんせん)とは皮膚の一部の細胞増殖が亢進していしまい、赤く盛り上がってしまう状態です。

これらの疾患は皮膚の炎症およびかゆみが生じる事が多いため、オイラックスHが効果を発揮します。

注意点としてオイラックスHはステロイドを含み、ステロイドは免疫(身体が異物と闘う力)を抑制するため、ばい菌の感染に弱くしてしまうという特徴があります。そのため、細菌やウイルスが皮膚に感染しているような皮膚に、ステロイドを塗る事は推奨されていません。

ではオイラックスHは上記疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

上記疾患にオイラックスHを1日1~数回塗布した調査では、

  • 湿疹・皮膚炎群に対する有効率は81.5%
  • 皮膚そう痒症に対する有効率は76.9%
  • 小児ストロフルスに対する有効率は84.6%
  • 虫さされに対する有効率は78.9%
  • 乾癬に対する有効率は33.3%

と報告されています。

3.オイラックスHクリームの作用

主にかゆみを抑えるために用いられるオイラックスHクリームですが、具体的にはどのような作用機序を持つお薬なのでしょうか。

オイラックスHには主に次のような作用があります。

Ⅰ.止痒作用

オイラックスHに含まれる「クロタミトン」は鎮痒剤であり、止痒作用(皮膚のかゆみを止める作用)を持ちます。

これはクロタミトンを皮膚に塗ると生じる、温覚への刺激作用によるものです。クロタミトンを皮膚に塗ると、温覚が刺激されます。ヒリヒリ感や熱さを感じる方もいらっしゃいます。

このヒリヒリ感が「かゆい!」という感覚と競合するため、ヒリヒリする分だけかゆみを感じにくくなるのです。

このようにクロタミトンの止痒作用は非常にユニークなはたらきを持っています。

クトラミトンは皮膚を刺激することでかゆみを抑えるため、用いる部位には気を付ける必要があります。刺激すると悪そうな状態の皮膚には用いるべきではありません。例えば、明らかな傷口を刺激するのは良くないでしょう。傷口が刺激されれば傷が更に悪化してしまいます。

また荒れた皮膚やアトピーなどがひどい皮膚に用いる場合にも注意が必要で、その判断は主治医とよく相談する必要があります。

Ⅱ.免疫抑制作用

オイラックスHに含まれる「ヒドロコルチゾン」は弱いステロイド剤です。

ステロイドには様々な作用がありますが、その1つに免疫を抑制する作用があります。

免疫というのは異物が侵入してきた時に、それを攻撃する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けることがあります。

代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう事です。

代表的なアレルギー反応として花粉症(アレルギー性鼻炎)がありますが、これは「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。

同じく皮膚にアレルギー反応が生じる疾患にアトピー性皮膚炎がありますが、これも皮膚の免疫が誤作動してしまい、本来であれば攻撃する必要のない物質を攻撃してしまい、その結果皮膚が焼け野原のように荒れてしまうのです。

このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。

ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあります。オイラックスHクリームは塗り薬であるため、塗った部位の皮膚の免疫力が低下します。

Ⅲ.抗炎症作用

上記のようにステロイドは免疫力を低下させる作用があります。

免疫が低下すると、免疫が異物を攻撃する事によって生じる炎症も起こりにくくなりますので、炎症が抑えられます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことです。今説明したように感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれるのです。

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4.オイラックスHクリームの副作用

オイラックスHクリームにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

オイラックスHの副作用を見た調査では、副作用発生率は4.2%と報告されています。重篤な副作用はほとんどなく、安全性は高いお薬です。

生じうる副作用としては、

  • 皮膚刺激症状、熱感
  • ピリピリ感
  • 牽引痛、疼痛感
  • せつ
  • しびれ感
  • 患部湿潤

などが報告されています。

痛みや熱感はオイラックスHに含まれるクロタミトンが温覚を刺激するために生じます。

塗った部位が刺激されて、熱くなったり赤くなったりしてしまう事がありますが、オイラックスHの使用を中止すれば自然と改善するものが多く、重篤な副作用となるものはほとんどないと言ってよいでしょう。

せつは皮膚に細菌が感染してしまう疾患です。オイラックスHに含まれるステロイドは免疫力を低下させてしまう作用があるため、細菌などの病原体を感染させやすくしてしまうのです。

オイラックスHを使ってはいけない方(禁忌)としては、

  • 細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症の方
  • オイラックスHの成分に対し過敏症の既往歴のある方
  • 潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷の方

が該当します。

オイラックスHに含まれるステロイドは免疫を抑制するという作用があります。これは炎症を抑えるという良い作用になる事もありますが、一方で本当に異物を免疫が攻撃しないといけない時にそれを抑えてしまうというデメリットにもなります。

そのため実際に細菌やウイルスなどが感染していて、免疫を活性化させないといけない時には、その部位にオイラックスHを塗布する事は出来ません。

またオイラックスHに含まれるクロタミトンは、傷を刺激する作用があるため、傷がある部位に塗ると傷をかえって悪化させてしまうため、そのような部位に塗る事は推奨されません。

5.オイラックスHの用法・用量と剤形

オイラックスHには、

オイラックスHクリーム 5g(チューブ)
オイラックスHクリーム 10g(チューブ)
オイラックスHクリーム 500g(瓶)

といった剤型があります。

オイラックスHクリーム1g中には、

  • クロタミトン 100mg
  • ヒドロコルチゾン 2.5mg

を含有しています。

オイラックスHの「H」はステロイドである「ヒドロコルチゾン(Hydrocortisone)」の頭文字になります。オイラックス(一般名:クロタミトン)にヒドロコルチゾンを配合したお薬だよ、という意味です。

クリーム剤のみになり、10gはチューブに入っており、500gは壺のようなガラス瓶に入っています。

ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション」などいくつかの剤型がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基剤となっています。保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また伸展性(伸び)もよくありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ比べて伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、伸びも良いため遣い心地は良いのですが、刺激性も強く、保湿効果も長続きしません。

オイラックスHクリームの使い方は、

通常、1日1~数回直接患部に塗布又は塗擦するか、あるいは無菌ガーゼ等にのばして貼付する。なお、症状により適宜増減する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.オイラックスHクリームの使用期限はどれくらい?

オイラックスHクリームの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった外用剤があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、製薬会社による記載では室温保存(なるべく涼しい場所に保存)にて「4年」となっています。

室温で涼しい場に保存していたのであれば、「4年」は持つと考えることができます。しかし、そうではない場所で保存していた場合は、4年未満でも効能が失われている可能性があります。

また、上記は未開封の場合を想定されています。開封した場合はこれより短くなります。

7.オイラックスHクリームが向いている人は?

以上から考えて、オイラックスHクリームが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

オイラックスHクリームの特徴をおさらいすると、

【オイラックスHクリームの特徴】

・かゆみを抑える作用に優れ、他のかゆみ止めとは異なる機序でかゆみを抑える
・弱いステロイドを含み、穏やかに炎症を抑える
・熱感・灼熱感など皮膚刺激症状があるため、傷口や荒れた皮膚への塗布は推奨されない

というものでした。

ここから、かゆみの症状が主である皮膚に用いる際に良いお薬であると言えます。クロタミトンにかゆみを抑える作用がある他、ステロイドも炎症を抑える事で炎症によって生じるかゆみを抑えてくれるためです。

一方で、かゆみもあるけども強い炎症や病原体(細菌やウイルスなど)の感染・創傷などもある皮膚には適していません。

強い炎症に対しては弱いステロイドであるヒドロコルチゾンでは力不足です。またステロイドは免疫を抑えてしまうため、病原体の感染を悪化させてしまう可能性があります。皮膚に傷があるとオイラックスは傷を刺激してしまう可能性もあります。

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