エクセラーゼ配合錠・エクセラーゼ配合カプセル・エクセラーゼ配合顆粒は1976年から発売されている胃薬になります。胃薬の中でも「消化酵素」と呼ばれる食べ物などを消化する酵素を含んだお薬になります。
エクセラーゼ配合顆粒は古いお薬ですが、安全性も高く現在でもしばしば用いられることがあります。副作用が少なく使いやすいというのが理由でしょう。
エクセラーゼ配合顆粒はどんな作用のあるお薬で、どんな患者さんに向いているのでしょうか。
エクセラーゼ配合顆粒の効果や特徴・副作用についてみていきましょう。
目次
1.エクセラーゼの特徴
まずはエクセラーゼというお薬の全体的な特徴を紹介します。
エクセラーゼは、食べ物の消化・吸収に必要な「消化酵素」を配合している胃薬です。
具体的には、
- サナクターゼ
- メイセラーゼ
- プロクターゼ
- オリパーゼ
- 膵臓性消化酵素
が含まれています。
それぞれ、炭水化物やたんぱく質、脂質、繊維質といった主要な栄養素を消化するはたらきを持った消化酵素であり、エクセラーゼは食べ物を消化する力が弱っている状態で効果が期待できるお薬になります。
具体的には胃酸の力が弱ってしまって消化能が落ちてしまっている慢性胃炎や、消化酵素を分泌する力が落ちてしまっている慢性膵炎などで用いられます。
エクセラーゼの面白いところは、胃内(酸性環境下)で効果を発揮する消化酵素と、腸内(アルカリ性環境下)で効果を発揮する消化酵素の両方を配合している事です。これにより消化管全体で作用する事が出来るお薬となっています。
消化酵素というのは、元々私たちの体内で作られているものです。そのため、体内の消化酵素が十分に作られている状態であれば、更にエクセラーゼを飲んでもあまり意味はありません。あくまでも何らかの原因によって消化酵素の分泌が弱ってしまっている状態に対して有効なお薬になります。
また元々体内で作られている消化酵素を服用するわけですので、副作用はほとんどなく安全性の高いお薬となります。
以上からエクセラーゼの特徴として次のようなことが挙げられます。
【エクセラーゼの特徴】
・炭水化物・たんぱく質・脂質などを消化する消化酵素を含む
・慢性胃炎・慢性膵炎などで用いられる事が多い
・副作用が少なく安全性が高い
2.エクセラーゼはどんな疾患に用いるのか
エクセラーゼはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。
【効能又は効果】
消化異常症状の改善
エクセラーゼは複数の消化酵素を配合した胃薬ですので、その用途は消化が十分に行えない状態にある時になります。
具体的には、慢性胃炎で胃の消化能力が弱っている時や、慢性膵炎で消化酵素の分泌能が低下している時などに用いられます。
エクセラーゼの有効率は71.0%と報告されています。
3.エクセラーゼにはどのような作用があるのか
エクセラーゼは、どのような作用機序を持っているのでしょうか。
エクセラーゼに含まれる消化酵素は、「胃内で効果を発揮するもの」と「腸内で効果を発揮するもの」の2つに分かれます。
エクセラーゼに含まれる消化酵素を詳しく見ていきましょう。
Ⅰ.胃での食べ物の消化を促進
エクセラーゼに含まれる、
- サナクターゼ
- メイセラーゼ
- プロクターゼ
は主に酸性環境下で効果を発揮します。つまり胃内において食べ物の消化を助けてくれます。
サナクターゼは主に炭水化物の消化を促進します。メイセラーゼは主に繊維素の消化を促進します。そしてプロクターゼは主に繊維素の消化を促進します。
多くの栄養素に対する消化酵素をバランス良く配合することで、効率よく消化活動を助けてくれるのです。
Ⅱ.腸での食べ物の消化を促進
エクセラーゼに含まれる、
- オリパーゼ
- 膵臓性消化酵素
は主にアルカリ性環境下で効果を発揮します。つまり腸内において食べ物の消化を助けてくれます。
オリパーゼは主に脂質の消化を促進します。また膵臓性消化酵素は炭水化物、たんぱく質、脂質と3大栄養素すべての消化を促進するはたらきがあります。
4.エクセラーゼの副作用
エクセラーゼで生じる副作用はどのくらいあるのでしょうか。またどのような副作用が生じうるのでしょうか。
エクセラーゼの副作用発生率は0.71%と報告されており、副作用は非常に少ないお薬になります。
報告された副作用としては、
- 下痢
- 軟便
- 過敏症(くしゃみ、流涙、皮膚発赤など)
が挙げられています。
またエクセラーゼを使ってはいけない人(禁忌)として、
- エクセラーゼに対して過敏症の既往歴のある方
- ウシ又はブタ蛋白質に対し過敏症の既往歴のある方
があります。
エクセラーゼに過敏症がある方がエクセラーゼを使えないのは当然ですね。またエクセラーゼはブタの膵臓から精製した酵素である膵臓性消化酵素を使っています。酵素はたんぱく質からなるため、ブタの蛋白質にアレルギーがある方もエクセラーゼは使えません。
実際はこれに該当する方というのは非常に少なく、ほとんどの方が使えるお薬になります。
5.エクセラーゼの用法・用量と剤形
エクセラーゼには、
エクセラーゼ配合錠
エクセラーゼ配合カプセル
エクセラーゼ配合顆粒
といった剤形があります。
エクセラーゼ1錠と1カプセル、0.4g顆粒が同等量になり、中には、
サナクターゼ 50mg
メイセラーゼ 50mg
プロクターゼ 100mg
オリパーゼ 20mg
膵臓性消化酵素 100mg
が配合されています。
エクセラーゼの使い方は、
通常、成人1回1錠(1カプセル、0.4g)を1日3回食後直ちに経口投与する。年齢、症状により適宜増減する。
と書かれています。
注意点として、エクセラーゼは胃と腸でそれぞれ効果を発揮させるため、腸陽性部分に関しては腸溶性被膜(腸に到達したときに溶けるように設計された膜)でおおわれています。これによって腸で初めて効果が発揮されるように工夫されているのです。
この腸溶性被膜をやぶってしまうと、腸での効果が得られなくなってしまいます。エクセラーゼを噛んだり口の中で溶かしたりしてしまうと腸溶性被膜が破れてしまうことがありますので、すぐに飲み込むようにしましょう。
6.エクセラーゼが向いている人は?
以上から考えて、エクセラーゼが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。
エクセラーゼの特徴をおさらいすると、
・炭水化物・たんぱく質・脂質などを消化する消化酵素を含む
・胃炎・膵炎などで用いられる事が多い
・副作用が少なく安全性が高い
というものでした。
エクセラーゼは一般的な胃薬と異なり、「消化酵素」からなっています。
そのためどんな原因の胃腸症状に対しても効くというものではなく、消化酵素の低下によって生じている胃もたれや腹部不快感などの胃腸症状に効くお薬になります。
- 慢性胃炎で胃が十分な消化活動を行えなくなっている
- 慢性膵炎で体内の消化酵素の分泌量が減っている
といった状態に対して用いられます。
また保険適応的な使い方ではありませんが、飲み会や食事会が続き、胃もたれが出現している時にも、薬理的に考えれば効く可能性はあるでしょう。