フルコートF軟膏の効果と副作用【外用ステロイド・抗菌薬】

フルコートF軟膏(一般名:フルオシノロンアセトニド・フラジオマイシン硫酸塩)は1963年から発売されているお薬で、「外用ステロイド剤」と「外用抗菌薬」の2つの成分が含まれている外用剤(塗り薬)になります。

外用ステロイド剤には皮膚の炎症を抑えるはたらきがあり、外用抗菌薬には細菌をやっつける作用があります。この両方の作用が必要と判断される時、フルコートFが用いられます。

塗り薬は飲み薬のようにお薬の成分が全身に回らないため、効かせたい部位にのみしっかりと効き、それ以外の部位にほとんど作用しないため安全性に優れます。

フルコートFはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではフルコートFの特徴や効果・効能、副作用についてみてみましょう。

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1.フルコートFの特徴

まずはフルコートFの特徴を紹介します。

フルコートFは皮膚に塗るステロイド外用薬と外用抗菌薬の2つの成分を配合したお薬です。ステロイドは皮膚の炎症を抑えてくれ、抗菌薬は細菌をやっつけてくれます。

皮膚の細菌感染を予防・改善させつつ、炎症も抑えたいという時に用いられる外用剤になります。

フルコートFは「フルオシノロンアセトニド」というステロイド外用剤と、「フラジオマイシン硫酸塩」という外用抗菌薬を配合した外用剤(塗り薬)になります。

ステロイドと抗菌薬がそれぞれ皮膚でどのようなはたらきをするのかを簡単に説明します。

まずステロイド外用剤の主なはたらきとしては、次の3つが挙げられます。

  • 免疫反応を抑える
  • 炎症反応を抑える
  • 皮膚細胞の増殖を抑える

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑える作用があります。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状・自己免疫反応(免疫が暴走してしまい、自分を攻撃してしまうような反応)を和らげたりします。

また皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、これによって過度に厚くなった皮膚を薄くする作用も期待できます。

外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

【分類】 【強さ】 【商品名】
Ⅰ群 最も強力(Strongest) デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群 非常に強力(Very Strong) アンテベート、ネリゾナ、マイザーなど
Ⅲ群 強力(Strong) リンデロンV、フルコート、リドメックスなど
Ⅳ群 中等度(Medium) アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群 弱い(Weak) コートリル、プレドニンなど

フルコートFは「Ⅲ群」に属する「フルコート」と同じ成分(フルオシノロンアセトニド)を含んでおり、強さは「強い」になります。表示上は「強い」ですが、ステロイド外用剤の中では中くらいの強さという位置づけです。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題などもあるため、皮膚症状に応じて適切な強さのものを使い分ける事が大切です。

強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で副作用も生じやすいというリスクもあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

また抗菌薬としては「フラジオマイシン硫酸塩」を含んでおり、これは「アミノグリコシド系」という種類の抗菌薬になります。

アミノグリコシド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームという細胞内小器官に結合し、リボソームが正常にはたらけないようにします。リボソームはDNA情報を元に種々のタンパク質を合成するはたらきを持つため、リボソームがはたらけなくなると細菌は必要なタンパク質を合成できなくなってしまいます。

すると細菌が生きるために必要なタンパク質の合成も行えなくなってしまうため、細菌は死んでしまうのです。

アミノグリコシド系は主にグラム陰性桿菌に対して強い抗菌力を持ち、またグラム陽性球菌に対してもある程度の抗菌力を持っています。日常的な感染症の原因となる菌の多くはグラム陽性球菌とグラム陰性桿菌ですので、フラジオマイシンは幅広く効く頼れるお薬になります。

しかし皮膚の感染症の8割ほどはグラム陽性球菌であるため、グラム陽性球菌に対してそこまで強い抗菌力を持たないフラジオマイシンは、重症の皮膚感染症には力不足な面もあります。

「Ⅲ群の強さを持つステロイド」と「グラム陰性桿菌を中心にグラム陽性球菌にも効果のある抗菌薬」の2つの成分を含むフルコートFは、

「ステロイド治療が必要な皮膚疾患に、細菌感染が生じてしまった時」
「ステロイド治療が必要な皮膚疾患で、細菌感染リスクが高いと考えられる時」

などといったケースに検討されるお薬です。

表皮の炎症や過剰な増殖を抑えるような治療が望まれる皮膚疾患において、細菌感染が生じている(あるいは生じる可能性が高い時)に効果を発揮します

炎症を抑えつつ、細菌感染も改善させてくれるという一見優れたお薬ですが、免疫力(ばい菌に対する抵抗力)を弱めるステロイドと、ばい菌をやっつける抗菌薬を配合しており、ばい菌をやっつけたいのか繁殖させたいのか分からない作用機序となっている面もあります。

内科では安易に処方される傾向もありますが、専門の皮膚科医はこのような相反する作用を持つフルコートFの処方をあまり好まない先生も少なくありません。

そのため、その適応は慎重に判断すべきであり、安易に処方するお薬ではありません。

以上からフルコートFの特徴として次のような事が挙げられます。

【フルコートFの特徴】

・Ⅲ群(強い)に属する外用ステロイド剤を含む
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・アミノグリコシド系に属する抗菌薬(細菌をやっつけるお薬)を含む
・グラム陰性桿菌に強い抗菌力を持ち、グラム陽性球菌にも多少効く
・炎症を抑えつつ、細菌感染も予防・治療したい際に用いられる
・相反する作用を持つ面があり、適応は慎重に判断する必要がある

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2.フルコートFはどんな疾患に用いるのか

フルコートFはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

<適応菌種>
フラジオマイシン感性菌

<適応症>
・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症
・湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患:

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、乾癬、皮膚そう痒症(陰部・肛門部)、掌蹠膿疱症

・外傷・熱傷及び手術創などの二次感染

フルコートFはフラジオマイシンという抗菌薬を含むため、当然その適応としては「フラジオマイシン感性菌(フラジオマイシンが効く細菌)」になります。

では皮膚に感染している菌がフラジオマイシン感性菌なのかどうかはどのようにして判断すればよいのでしょうか。

これは症状や感染部位から医師が経験的に判断する他、より正確に判定するのであれば感染部の菌を採取・培養して、フラジオマイシンがその菌に効果があるのかを検査で見る方法もあります(細菌薬剤感受性検査)。

またフルコートFに含まれるステロイドは免疫(身体がばい菌と闘うシステム)を抑える事で炎症を抑えるはたらきがあります。そして表皮の増殖を抑えて薄くする作用もあります。

そのため免疫が誤作動してしまっている状態(アレルギーや自己免疫疾患など)や、炎症が生じてしまっている状態、皮膚が過剰に厚くなってしまっている状態などに用いられます。

以上をもとに、ステロイドと抗菌薬を含むフルコートFが適応を持つ疾患について簡単に紹介します。

進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷付いてしまい、炎症を起こしてしまう状態です。

ビダール苔癬とはストレスなどが原因となり皮膚の一部に痒みや苔癬が生じる疾患です。主に首の後ろや大腿部などに生じやすいと言われています。

放射線皮膚炎とは放射線によって皮膚が炎症を起こしてしまう疾患で、放射線による癌治療などで認められる事があります。日光皮膚炎とは日光(紫外線)によって皮膚が炎症を起こしてしまう疾患です。

これらの疾患にはステロイドの炎症を抑える作用が効果を発揮します。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)は自己免疫疾患です。自己免疫疾患は免疫(ばい菌と闘う力)が何らかの原因によって暴走してしまい、自分自身を攻撃してしまう病気です。掌蹠膿疱症では、免疫の異常によって手足に膿胞(膿が溜まった皮疹)が出来てしまいます。

掌蹠膿疱症にはステロイドの免疫を抑える作用が効果を発揮します。

乾癬(かんせん)とは皮膚の一部の細胞増殖が亢進していしまい、赤く盛り上がってしまう疾患です。

乾癬にはステロイドの皮膚の増殖を抑える作用が効果を発揮します。

更にフルコートFには抗菌薬が含まれているため、これらのステロイドで治療すべき疾患がありつつ、「細菌感染するリスクが高い状態」「細菌に感染している状態」である場合に使用が検討されます。

皮膚に湿潤、びらん、結痂(けっか:かさぶた)が生じている場合、皮膚が障害を受けているため、細菌が皮膚内に侵入して感染するリスクが高くなります。また外傷・熱傷、手術創も皮膚が障害を受けているため、細菌感染のリスクが高い状態です。

このように「ステロイドが必要な皮膚疾患」が「細菌感染している(あるいはそのリスクが高い)」時に用いられます。

では、これらの疾患に対してフルコートFはどのくらいの効果があるのでしょうか。

湿疹・皮膚炎群、乾癬、熱傷、膿皮症などを対象としてフルコートFの有効性を見た調査では、フルコートFの有効率は80.7%と報告されています。

3.フルコートFにはどのような作用があるのか

ステロイドと抗菌薬を含むフルコートFですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

フルコートFの各作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.免疫抑制作用

フルコートFに含まれる「フルオシノロンアセトニド」はステロイド剤です。

ステロイドには様々な作用がありますが、主な作用として免疫抑制作用があります。

免疫というのは身体の中に異物が侵入してきた時に、それを排除する生体システムの事です。皮膚からばい菌が侵入してきた時には、ばい菌をやっつける細胞を向かわせることでばい菌の侵入や増殖を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けてしまうことがあります。

代表的なものがアレルギー反応です。アレルギー反応というのは、本来であれば無害の物質を免疫が「敵だ!」と誤認識してしまい、攻撃してしまう現象です。

アレルギー反応をきたす疾患の1つに「花粉症(アレルギー性鼻炎)」がありますが、これも「花粉」という身体にとって無害な物質を免疫が「敵だ!」と認識して攻撃を開始してしまう疾患です。その結果、鼻水・鼻づまり・発熱・くしゃみなどの不快な症状が生じてしまいます。

また掌蹠膿疱症のような自己免疫疾患も同じく免疫が何らかの原因によって暴走してしまい、自分自身の皮膚を攻撃してしまいます。その結果、手足に膿胞(膿が溜まった皮疹)が出来てしまいます。

このような状態では、過剰な免疫を抑えてあげると良いことが分かります。

ステロイドは免疫を抑えるはたらきがあり、これによって過剰な免疫が生じている状態を和らげる作用が期待できます。

一方で免疫を抑えてしまう事で、ばい菌に感染しやすい状態を作ってしまうというデメリットもあります。

Ⅱ.抗炎症作用

上記のようにステロイドには免疫を低下させる作用があります。免疫がターゲットを攻撃しなくなると炎症が引き起こされなくなるため、これによって炎症を抑える作用(抗炎症作用)が得られます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことです。炎症は何らかの原因で身体がダメージを受けた時に生じる現象で、例えば感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーでも生じます。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。皮膚に炎症が起こることを皮膚炎と呼びます。皮膚炎も外傷でも生じるし、ばい菌に感染することでも生じるし、アレルギーでも生じます。

ステロイドは免疫を抑制することで、炎症反応を生じにくくさせてくれる作用があります。

そのため外用ステロイド剤(ステロイドの塗り薬)を含むお薬は皮膚炎を改善させる作用が期待できます。

Ⅲ.皮膚細胞の増殖抑制作用

フルコートFに含まれるステロイド「フルオシノロンアセトニド」は塗った部位の皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあります。

これは主に副作用となる事が多く、強いステロイドを長期間塗り続けていると皮膚が薄くなっていき毛細血管が目立って赤みのある皮膚になってしまう事があります。

しかし反対に皮膚が肥厚してしまうような疾患(乾癬や角化症など)においては、ステロイドを使う事で皮膚細胞の増殖を抑え、皮膚の肥厚を改善させることも出来ます。

Ⅳ.抗菌作用

フルコートFに含まれる「フラジオマイシン硫酸塩」はアミノグリコシド系に属する抗菌薬です。抗菌薬というのは「細菌」をやっつける作用を持つお薬の事です。

ではこの抗菌薬はどのような作用機序によって細菌をやっつけるのでしょうか。

まず抗菌薬は「静菌作用」を持つものと「殺菌作用」を持つものに分けられます。

静菌作用というのは「細菌の増殖を抑える作用」です。細菌を殺すわけではなく、それ以上増殖させないようにすることで、穏やかな抗菌作用だと言えます。

対して殺菌作用というのは「細菌を殺す作用」です。直接細菌にダメージを与えることで、強力な抗菌作用を示します。

どちらも抗菌作用ですが、殺菌作用の方がより強い効果である事が分かります。

フラジオマイシンはと言うと「殺菌作用」を持つお薬になり、強力に菌をやっつけてくれる作用を持ちます。

ではフラジオマイシンはどのようにして細菌を殺すのでしょうか。

フラジオマイシンをはじめとしたアミノグリコシド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームという細胞内小器官に結合し、リボソームのはたらきを邪魔する事でその作用を発揮します。

リボソームというのは、DNA情報を元に種々のタンパク質を合成するはたらきを持ちます。

フラジオマイシンがリボソームのはたらきをブロックすると、細菌は必要なタンパク質を合成できなくなってしまいます。すると細菌が生きるために必要なタンパク質の合成も行えなくなってしまうため、細菌は死んでしまうのです。

例えば細菌の細胞の壁の原料もタンパク質ですから、リボソームのはたらきが邪魔されると、細菌は自分の細胞の形状を保てなくなります。

このような作用によってフラジオマイシンは主に、グラム陰性桿菌に強い抗菌作用を発揮し、また皮膚感染症の原因になりやすいグラム陽性球菌(ブドウ球菌、レンサ球菌など)にもある程度の効果を有しています。

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4.フルコートFの副作用

フルコートFの副作用にはどのようなものがあるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

フルコートFの副作用発生率は4.67%と報告されています。

フルコートFは塗り薬で全身に投与するものではないため、副作用が多いお薬ではありません。ただしステロイド剤・抗菌薬を含みますので漫然と塗り続けないように注意は必要です。

生じる副作用としては

  • 刺激感
  • 分泌物増加
  • 乾燥感

などが報告されています。

フルコートFに含まれるステロイド(フルオシノロンアセトニド)は免疫を低下させてしまうため、ばい菌に感染しやすくなって皮膚炎を悪化させ、分泌物を増加させてしまう事があります。また皮膚の細胞増殖を抑える作用から皮膚を薄くしてしまい、刺激感・乾燥感が生じる事もあります。

フルコートFに含まれる抗菌薬(フラジオマイシン)に対する接触性皮膚炎を起こして皮膚が荒れる事もあります。

頻度は多くはありませんが、重篤な副作用として、

  • 眼圧亢進、緑内障
  • 白内障

などの可能性が報告されています。

フルコートFは次のような状態では禁忌(絶対に使ってはダメ)となっています。

【禁忌】

1.フラジオマイシン耐性菌又は非感性菌による皮膚感染のある場合
2.細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症、及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)
3.本剤に対して過敏症の既往歴のある方
4.鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎
5.フラジオマイシン、カナマインシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある方
6.潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷

フルコートFは「フラジオマイシン」という抗菌薬を含んでいますので、フラジオマイシン耐性菌(フラジオマイシンに抵抗力を持った菌)・非感性菌(フラジオマイシンが効かない菌)に対して使用してはいけません。

またフルコートFに含まれるステロイドは、免疫(ばい菌などの異物と闘う反応)を弱めてしまいます。細菌感染に対しては抗菌薬を配合しているためある程度はブロックできますが、フラジオマイシン耐性菌・非感性菌であったり、真菌やウイルスに対しては感染リスクを高めてしまうため、これらの感染が疑われる部位には塗布してはいけません。

湿疹性外耳道炎、潰瘍、第2度深在性以上の熱傷・凍傷はステロイドを塗る事で感染リスクが高まるため、フルコートFは塗布してはいけません。

またフラジオマイシンが属するアミノグリコシド系抗菌薬に過敏症の既往がある方は、フルコートFを使用すると過敏症状が出現する可能性が高いため、同様に使用してはいけません。

5.フルコートFの用法・用量と剤形

フルコートFには、

フルコートF軟膏 5g (チューブ)
フルコートF軟膏 500g (ポリエチレン容器)

といった剤型があります。

ちなみにフルコートF 1g中には、

  • フルオシノロンアセトニド 0.25mg(0.025%)
  • フラジオマイシン硫酸塩 3.5g(0.35%)

が含まれています。

フルコートFの「F」は「Fradiomycin」から来ています。これは「フラジオマイシン」の事です。フルコートという外用ステロイド剤に「F(フラジオマイシン)」が配合されてますよ、という事で「フルコートF」という名称なのです。

外用剤には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。

フルコートFの使い方は、

通常、1日1~数回直接患部に塗布又は塗擦するか、あるいは無菌ガーゼ等にのばして貼付する。なお、症状により適宜増減する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.フルコートFの使用期限はどれくらい?

フルコートFの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった塗り薬があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、適正な条件(室温保存)で保存されていたという前提だと「5年」が使用期限となります。

7.フルコートFが向いている人は?

以上から考えて、フルコートFが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

フルコートFの特徴をおさらいすると、

【フルコートFの特徴】

・Ⅲ群(強い)に属する外用ステロイド剤を含む
・炎症を抑える作用、免疫反応を抑える作用、皮膚細胞の増殖を抑える作用がある
・アミノグリコシド系に属する抗菌薬(細菌をやっつけるお薬)を含む
・グラム陰性桿菌に強い抗菌力を持ち、グラム陽性球菌にも多少効く
・炎症を抑えつつ、細菌感染も予防・治療したい際に用いられる
・相反する作用を持つ面があり、適応は慎重に判断する必要がある

というものでした。

ここからステロイドで治療すべき皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、乾癬、掌蹠膿疱症など)において、細菌感染が生じてしまっている時(あるいはそのリスクが高い時)に検討されるお薬となります。

細菌が感染している部位に細菌をやっつける抗菌薬を塗るものの、細菌を攻撃する免疫系を抑えるステロイドも配合してしまっているため、作用が相反する面もあり、その適応は慎重に判断すべきになります。

ステロイドと抗菌薬という2つの成分が配合されているため、安易に様々な皮膚疾患に使われがちな面もありますが、安易な使用はフラジオマイシンの耐性菌を増やしてしまったり、ステロイドの作用によってかえって感染を悪化させてしまったりする事もあります。

ステロイドと抗菌薬の2つが必要だと判断されるケースに限って用いられる外用剤です。

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