フルコートFは顔に使える?軟膏を顔に塗る時に気を付けるべき事

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3.フルコートFはどのようなお薬なのか

次にフルコートFがどのようなお薬なのかを紹介します。

フルコートFは「フルオシノロンアセトニド」というステロイドと、「フラジオマイシン硫酸塩」という抗菌薬の2つが配合されている外用剤です。

ステロイドによって炎症反応を和らげ、皮膚の赤み(発赤)や腫れ(腫脹)、熱(熱感)や痛み(疼痛)を和らげます。また抗菌薬によって皮膚に感染してしまっている細菌をやっつけます。

つまり、細菌の感染を抑えつつ、適度に炎症も抑えたい時に適したお薬になります。

2つの成分の作用について、それぞれ詳しく説明します。

Ⅰ.フルオシノロンアセトニド

フルコートFに含まれる「フルオシノロンアセトニド」はステロイドになります。

ステロイドは様々な作用を持つ物質ですが、外用剤(塗り薬)で得られる主な作用としては、

  • 免疫反応を抑える作用
  • 炎症反応を抑える作用
  • 皮膚細胞の増殖を抑える作用

などがあります。

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑えてくれます。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげます。

一方で免疫反応を抑えてしまうため、ばい菌が感染しやすくなるというデメリットもあります。

またステロイドには皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、病的に厚くなった皮膚を薄くする作用も期待できます。これも一方で正常な皮膚を更に薄くしてしまう事で皮膚のバリア機能を低下させてしまうというデメリットもあります。

ステロイドは強さによって5段階に分かれています。

【分類】 【強さ】 【商品名】
Ⅰ群 最も強力(Strongest) デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群 非常に強力(Very Strong) アンテベート、ネリゾナ、マイザーなど
Ⅲ群 強力(Strong) ボアラ、リンデロンV、リドメックスなど
Ⅳ群 中等度(Medium) アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群 弱い(Weak) コートリル、プレドニンなど

この中でフルコートFに含まれるフルオシノロンアセトニドは「Ⅲ群」に属します。

Ⅲ群のステロイドは表示上は「強い」となっていますが、中くらいの強さという位置づけです。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題もあるため、皮膚症状に応じて適切な強さのものを使い分ける事が大切です。

強いステロイドには強力な抗炎症作用がありますが、副作用のリスクも高くなります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

フルコートFは外用ステロイド剤の中での強さは中くらいになるため、成人であれば四肢・体幹などといった通常の厚さの皮膚に塗るのに適しています。

顔や陰部など皮膚が薄い部位は弱いステロイドを使わないと副作用が出やすいため、フルコートFを使用する際は注意が必要です。また頭部や足の裏など皮膚が厚い部位だとフルコートFでは力不足となってしまう可能性もあります(もちろん症状や程度によっては使う事もあります)。

ステロイドはどれも長期使用すると、皮膚の細胞増殖を抑制しすぎたり、免疫力を低下させたりしてしまいます。これによって皮膚が薄くなってしまったり感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性があります。

フルコートFもそういった副作用が生じる可能性はあるため、必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないことが大切です。

Ⅱ.フラジオマイシン硫酸塩

フルコートFに含まれる「フラジオマイシン硫酸塩」は抗菌薬になります。抗菌薬というのは「細菌」をやっつける作用を持つお薬の事です。

フラジオマイシンは抗菌薬の中でも「アミノグリコシド系」という種類に属します。

抗菌薬は「静菌作用」を持つものと「殺菌作用」を持つものに分けられます。

静菌作用というのは「細菌の増殖を抑える作用」です。細菌を殺すわけではなく、それ以上増殖しないようにする作用で、穏やかな抗菌作用になります。

対して殺菌作用というのは「細菌を殺す作用」です。直接細菌にダメージを与えることで、強力な抗菌作用を示します。

どちらも抗菌作用ですが、殺菌作用の方がより強い効果である事が分かります。

フラジオマイシンはと言うと「殺菌作用」を持つお薬になり、強力に細菌をやっつけてくれます。

ではフラジオマイシンはどのような機序で殺菌するのでしょうか。

フラジオマイシンをはじめとしたアミノグリコシド系抗菌薬は、細菌の細胞内にあるリボソームという細胞内小器官に結合し、リボソームのはたらきを邪魔する事でその作用を発揮します。

リボソームというのは、DNA情報を元に種々のタンパク質を合成するはたらきを持ちます。

フラジオマイシンがリボソームのはたらきをブロックすると、細菌は必要なタンパク質を合成できなくなってしまいます。すると細菌が生きるために必要なタンパク質の合成も行えなくなってしまうため、細菌は死んでしまうのです。

例えば細菌の細胞の壁の原料もタンパク質ですから、リボソームのはたらきが邪魔されると、細菌は自分の細胞の形状を保てなくなります。

このような作用によってフラジオマイシンは主に、グラム陰性桿菌に強い抗菌作用を発揮します。また皮膚感染症の原因になりやすいグラム陽性球菌(ブドウ球菌、レンサ球菌など)にもある程度の効果を有しています。

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4.フルコートFを顔に使う際に気を付ける事

顔は皮膚が薄く、バリア機能も弱いため、原則として刺激性の低いお薬を選ぶ必要があります。

フルコートFは身体に塗るのであれば中くらいの強さのお薬なのですが、吸収力の高い顔に関して言えば強いお薬になります。

顔にフルコートFを絶対に塗ってはいけないという事はありません。しかし出来るだけ弱いお薬の方が好ましいのは確かであり、より刺激性の低いお薬から検討すべきです。フルコートFを使うのはやむを得ない場合に限られるでしょう。

最後にフルコートFを顔に塗る際に気を付けて欲しい事を紹介します。

Ⅰ.ステロイドと抗菌薬の両方が必要かよく考えよう

フルコートFにはステロイドと抗菌薬の2つの成分が含まれています。

治療において、この2つが必要なケースというのはそう多くはありません。

炎症による症状を和らげたいだけであればステロイドだけで十分であり抗菌薬を塗る必要はありません。

また細菌感染を治したいのであれば抗菌薬だけで十分であり、安易なステロイドの併用は免疫力を低下させ、細菌感染をかえって悪化させてしまう可能性もあります。

安易に必要のないお薬を塗布してしまうと、刺激に弱い皮膚を不要に傷付ける事になります。

フルコートFのようなステロイドと抗菌薬の配合剤は、細菌の感染を治しつつ、しかし感染によって炎症反応が過度に生じ過ぎてしまっている場合などに検討されます。

本当に2つの成分が必要な状態なのかをしっかりと検討し、安易に使わないように気を付けましょう。

例えばステロイドだけでいいのでしたら、フルコートFと同じステロイドを含む外用剤には「フルコート」があります。フルコートFの「F」は「フラジオマイシン」の事で、Fがない「フルコート」はフルオシノロンアセトニドのみが含まれています。

また抗菌薬だけでいいのでしたら、フルコートFと同じ抗菌薬を含む外用剤には「ソフラチュール」があります。

Ⅱ.まずは弱いお薬から検討しよう

フルコートFは、ステロイドの中では中くらいの強さになりますが、顔に使うステロイドとしては強い部類に入ります。

強いという事は効果も高いという反面で、副作用も生じやすいという事です。

そのため安易に顔に使うべきではなく、「フルコートFレベルの強さが必要な状態」にのみ使うべきです。

可能であれば、まずは弱いステロイド(Ⅳ群(mild)レベル)から開始し、それでも効果不十分な時のみ、フルコートFのようなⅢ群(strong)レベルを使うのが良いでしょう。

Ⅲ.やむを得ず使う場合はできる限り短期間で

どうしてもフルコートFくらいの強さが必要な状態だと判断された場合、フルコートFを顔に塗る事はあります。

しかしその場合も使用は出来る限り短期間にとどめるべきです。

具体的には、5~6日程度を目安と考え、最長でも1週間以内にするようにしましょう。1週間経っても改善が不十分の場合は、更に漫然と続けるのではなく、もう一度病院を受診し、治療方針の再検討をしてもらう必要があります。

漫然とフルコートFを続けていると、顔の皮膚が薄くなりすぎて赤ら顔になってしまったり、顔に細菌感染が生じやすくなったりしてしまいます。

Ⅳ.症状が改善してきたらお薬を弱めよう

フルコートFを塗って少しずつ症状が良くなってきたら、適切なタイミングでお薬を弱めるようにしましょう。

「ここでまた症状がぶり返すのが心配だから・・・」と必要以上に長期間同じお薬を使い続ける方も多いのですが、安易に強いお薬を使い続けていると、別の問題が生じてしまう事もあります。

それは前述した通り、顔の皮膚が薄くなったり、細菌感染がかえって悪化してしまったりという問題です。

症状が改善に向かい、必要なお薬の強さが弱まったと判断されたら、ステロイドのレベルをフルコートのⅢ群(strong)からⅣ群(mild)に変えていくようにしましょう。

Ⅴ.使用期限に注意

以前に処方してもらった塗り薬を、「また使うかもしれないから」とそのまま保管している方って多いと思います。

しかし、お薬には適正な使用期限があります。数年前に処方されたお薬だと使用期限が切れているものもあるため、久々に使う場合には注意しなければいけません。

長期間経過しているお薬は成分が変性しており、それによって皮膚への刺激性が高まってしまっているものもあります。

ではフルコートFの使用期限はどのくらいなのでしょうか。

これは保存状態によっても異なってきますので一概に答えることはできませんが、販売会社によれば「5年」となっています。また、フルコートF軟膏の時間による経過を追っていったところ、室温で気密容器に遮光保存した場合、12 ヵ月間は成分が安定であった事が確認されています。

ちなみにこれ未開封の場合を想定されています。

開封した場合はこれより短くなります。開封したフルコートFの使用期限は明記はされていませんが、一度開けたらおおよそ1~2か月程度で使い切った方が良いでしょう。

顔は皮膚がとても薄いため、お薬の成分が変性していた場合、ダメージが生じやすくなりますのでとりわけ気を付けるようにしましょう。

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