ヒドロクロロチアジドの効果と副作用【降圧剤・利尿剤】

ヒドロクロロチアジドは1959年から発売されている「ダイクロトライド」というお薬のジェネリック医薬品になります。

ヒドロクロロチアジドは降圧剤(血圧を下げるお薬)ですが、尿量を増やす事で身体の水分を減らして血圧を下げる「降圧利尿剤」になります。降圧利尿剤の中でも「チアジド系(サイアザイド系)」という種類に属します。

残念ながらヒドロクロロチアジドの先発品である「ダイクロトライド」は現在発売終了となっているため、ヒドロクロロチアジドはジェネリック医薬品でありながら、先発品がないという、ちょっと変わったお薬になっています。

高血圧症の患者さんは日本で1000万人以上と言われており、降圧剤は処方される頻度の多いお薬の1つです。

降圧剤にも様々な種類がありますが、その中でヒドロクロロチアジドはどのような特徴を持つお薬で、どのような方に向いているお薬なのでしょうか。

ここではヒドロクロロチアジドの特徴や効果・副作用についてみていきましょう。

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1.ヒドロクロロチアジドの特徴

ヒドロクロロチアジドはどのような特徴を持つお薬なのでしょうか。

ヒドロクロロチアジドは利尿剤であり、尿量を増やす事で血圧を下げるはたらきがあります。利尿剤の中でも「チアジド系」という種類に属します。

利尿剤にはチアジド系以外にも「ループ利尿剤」「カリウム保持性利尿剤」などいくつかの種類があります。

まずは降圧剤や利尿剤の中でのチアジド系がどんな特徴を持ったお薬なのかを紹介しましょう。

【チアジド系の特徴】

・尿量を増やす事で血圧を下げる降圧利尿剤である
・利尿作用(水分を尿として排泄する作用)は弱い
・降圧作用(血圧を下げる作用)は利尿剤の中では強い

そのため「むくみを何とかしたい!」という状況では力不足な事もありますが、むくみを多少抑えつつ血圧を下げるためには良いお薬になります。チアジド系の特徴は、利尿剤ではあるものの、水分を排泄する力(利尿作用)はそこまで強くなく、血圧を下げる力(降圧作用)に優れる点です。

チアジド系はNa+(ナトリウムイオン)を尿中に多く排泄させる事で、身体の中のNa+量を減らし、これにより血圧を下げます。Na+が尿中に多く移動すると、浸透圧の関係で水分も尿中に移動します。これによって体内の水分量も減り、血圧が下がるのです。

またそれ以外にもチアジド系は炭酸脱水素酵素という酵素のはたらきをブロックしたり、血管平滑筋を弛緩させるはたらきもあり、これらも血圧を下げるはたらきになります。このような複合的な作用によって血圧を下げてくれるのです。

では次にチアジド系の中でのヒドロクロロチアジドの特徴を紹介します。

【チアジド系の中でのヒドロクロロチアジドの特徴】

・もっとも古いチアジド系であり実績が長い
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

もっとも古いチアジド系であるヒドロクロロチアジドは、先ほど説明したチアジド系の特徴をそのまま持っています。

つまり利尿作用は穏やかですがが、降圧作用は比較的しっかりしている降圧利尿剤だという事です。

またヒドロクロロチアジドはジェネリック医薬品に該当するため、薬価が安く設定されているのもメリットの1つになります。

以上からヒドロクロロチアジドの特徴を挙げると次のようになります。

【ヒドロクロロチアジドの特徴】

・尿量を増やす事で血圧を下げる降圧利尿剤である
・もっとも古いチアジド系であり実績が長い
・利尿作用(水分を尿として排泄する作用)は弱い
・降圧作用(血圧を下げる作用)は利尿剤の中では強い
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

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2.ヒドロクロロチアジドはどんな疾患に用いるのか

ヒドロクロロチアジドはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

〇高血圧症(本態性、腎性等)、悪性高血圧

〇心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫

〇月経前緊張症、薬剤(副腎皮質ホルモン、フェニルブタゾン等)による浮腫

ヒドロクロロチアジドはチアジド系利尿剤に属し、主に尿量を増やす事で血圧を下げるお薬になります。

そのため血圧が高い方(高血圧症)やむくみ(浮腫)のある方に対して用いられます。

本態性高血圧症とは、原因が特定されていない高血圧の事です。いわゆる通常の高血圧の事で、高血圧症の9割は本態性高血圧になります。

本態性でない高血圧は「二次性高血圧」と呼ばれ、これは何らかの原因があって二次的に血圧が上がっているような状態を指します。これにはお薬の副作用による血圧上昇、ホルモン値の異常による高血圧(原発性アルドステロン症など)があります。

本態性高血圧のほとんどは単一の原因ではなく、喫煙や食生活の乱れ、運動習慣の低下などの複数の要因が続く事による全身の血管の動脈硬化によって生じます。

腎性高血圧は二次性高血圧の1つで、何らかの原因で腎臓に障害が生じて血圧が上がってしまう疾患です。例えば糖尿病による腎障害などが原因として挙げられます。腎臓は尿を作る臓器ですので、腎臓に障害が生じると尿を作りにくくなり、身体の水分が過剰となるため血圧が上がります。

悪性高血圧症とは「高血圧緊急症」とも呼ばれ、血圧が顕著に高くなっている事で、すぐに血圧を下げないと重篤な障害が生じる可能性が高い状態をさします。

心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫というのは、それぞれ「心臓が原因で生じる浮腫」「腎臓が原因で生じる浮腫」「肝臓が原因で生じる浮腫」の事です。

心臓は血液を全身に送り出すはたらきをしていますので、心臓のはたらきが弱くなると血液が送り出せない分、心臓の手前の血管(静脈)に血液が溜まっていきます。この状態が続くと血管にたまった水分は次第に血管外に漏れ出していくため、浮腫が生じます。

腎臓は尿を作るはたらきをしていますので、腎臓のはたらきが弱まると尿を作りにくくなり、尿として排泄できない分だけ血管に水分が溜まっていきます。この状態が続くと、同様に血管にたまった水分は次第に血管外に漏れ出していくため、浮腫が生じます。

肝臓は解毒作用をもつ臓器で、全身を巡り終わった血液は門脈という静脈を通じて肝臓に入っていきます。肝臓のはたらきが悪くなり肝硬変になると、門脈から肝臓に血液が入りにくくなります。すると門脈より手前の血管(静脈)に血液が溜まっていき、この状態が続くと血管にたまった水分は次第に血管外に漏れ出していくため、浮腫が生じます。

月経前緊張症(PMS)とは、月経前に女性ホルモンのバランスが崩れる事で様々な症状が生じる状態です。典型的には、気分不安定(イライラ、落ち込み、不安など)、肌荒れ、頭痛、倦怠感などが生じ、むくみが生じる事もあります。

3.ヒドロクロロチアジドにはどのような作用があるのか

ヒドロクロロチアジドにはどのような作用があるのでしょうか。ヒドロクロロチアジドの作用について紹介します。

Ⅰ.尿中にナトリウムを排泄する

ヒドロクロロチアジドの主な作用は、尿の量を増やす事です。

簡単に言えば尿量が増えれば身体の水分の量が減るため、血液の量も減り、血圧が下がるという事です。

ヒドロクロロチアジドの作用機序を更に深く理解するためには、尿がどのように作られるのかを知らなければいけません。

尿は腎臓で作られます。腎臓に流れてきた血液は、糸球体という部位でろ過され、尿細管に移されます。このように尿細管に移された尿の元は、「原尿」と呼ばれます。

糸球体は、血液をざっくりとろ過するだけです。そのため原尿には、身体にとって必要な物質がまだたくさん含まれています。

原尿をそのまま尿として排泄してしまうと、本来身体に必要な物質がたくさん失われてしまいます。そのため、尿細管には原尿から必要な物質を再吸収する仕組みがあります。

つまり糸球体でざっくりとろ過されて原尿が作られ、原尿から必要な物質が体内に戻されて最終的に尿が出来上がるわけです。

原尿から必要な物質が再吸収されて最終的に作られた尿は、腎臓から尿管を通り膀胱に達し、そこで一定時間溜められます。膀胱に尿がある程度溜まって膀胱が拡張してくると、その刺激によって尿意をもよおし、排尿が生じます。

これが尿が作られる主な機序になります。

そしてチアジド系は、原尿から必要な物質を「再吸収」する仕組みの1つをブロックする作用を持ちます。

尿細管は糸球体に近い方から「近位尿細管」「ヘンレのループ」「遠位尿細管」「集合管」に分けられています。

このうち「遠位尿細管」には「Na+Cl共輸送担体」と呼ばれる仕組みがあります。これは、原尿に含まれるNa+(ナトリウムイオン)とCl-(クロールイオン)を体内に戻す(再吸収する)代わりに、K+(カリウムイオン)を血液から原尿に移動させる仕組みです。

Na+Cl共輸送担体によって血液中のNa+、Cl-が増え、K+が減ります。反対に原尿中のNa+、Cl-は減り、K+が増えます。

ちなみにNa+は一緒に水分も引っ張る性質があります。Na+が増えると、血液の浸透圧が上がるため、水を引っ張るのです。難しい説明はここでは省略しますが、体内では水はNa+と一緒に動く傾向があると覚えてください。

ヒドロクロロチアジドはNa+Cl共輸送担体のはたらきをブロックします。するとNa+とCl-を再吸収できなくなるため、Na+とCl-はそのまま尿として排泄されやすくなります。

という事はNa+と一緒に動く水分も、そのまま尿として排泄されやすくなるという事です。すると体内のNa+量、水分量が少なくなるため、血圧が下がるというわけです。

これがヒドロクロロチアジドをはじめとしたチアジド系の基本的な作用機序になります。

Ⅱ.炭酸脱水素酵素の働きをブロックする

上記以外の作用として、ヒドロクロロチアジドは尿細管のうち、近位尿細管細胞に存在する「炭酸脱水素酵素」という酵素のはたらきをブロックする作用もあります。

炭酸脱水素酵素は、炭酸(H2CO3) を分解する酵素で、H2CO3⇒H++HCO3-と、炭酸をH+(水素イオン)とHCO3-(重炭酸イオン)に分解します。

炭酸脱水素酵素によって生成されたH+は、近位尿細管に存在するNa+・H+交換系という仕組みによって原尿中に排泄され、代わりにNa+(ナトリウムイオン)を原尿から体内に再吸収します。

炭酸脱水素酵素のはたらきをブロックすると、H+が生成できなくなるため、Na+・H+交換系がはたらきにくく、原尿からNa+を再吸収できなくなります。

すると体内のNa+量が少なくなるため、これも血圧が下げる方向にはたらいてくれるのです。

Ⅲ.血管平滑筋を緩める

ヒドロクロロチアジドの主な作用はⅠ.に挙げたNa+の再吸収を抑える事です。これにより体内のNa+量(及び水分量)が減り、血圧が下がります。

しかしこのような作用は、確かに短期的には血圧を下げるものの、長期的に見ると身体が順応してしまう事でそこまで血圧を下げる効果は得られない事が確認されています。

では長期的な降圧作用はどのようにして得られるのでしょうか。

長期的なチアジド系の降圧機序は明確には解明されていませんが、恐らく体内のNa+濃度を減少させる事により、副次的に細胞内 Ca2+(カルシウムイオン)濃度を低下させるためではないかと考えられています。

血管の周りは「平滑筋」という筋肉で覆われています。平滑筋が収縮すると血管が締め付けられるため血圧が上がり、平滑筋が弛緩すると血管が広がるため血圧は下がります。

この平滑筋の収縮は、平滑筋細胞内に Ca2+が流入する事が刺激になって生じます。

という事はヒドロクロロチアジドによってCa2+濃度が減少すれば、平滑筋が収縮しにくくなるため、血圧は上がりにくくなるはずです。

これはヒドロクロロチアジドの長期的な降圧作用の機序だと考えられています。

Ⅳ.尿路結石の再発防止・骨粗しょう症の予防

ヒドロクロロチアジドには上記以外にも副次的な作用があります。

ヒドロクロロチアジドは、Ca2+の尿中の排泄を低下させる作用があります。そのため、尿管結石の発症を抑える作用が期待できるのです。また骨粗しょう症を予防する作用も報告されています。

尿管結石はその名の通り、尿管に石が出来てしまい、それが尿管を詰まらせる事で腰背部の激痛が生じる疾患です。

尿管結石は、尿酸やリン酸、カルシウムなど、様々な成分が原因で生じますが、このうちカルシウム結石は尿中のカルシウムイオンの濃度が高いほど生じやすくなります。

Ca2+の尿中の排泄を低下させるヒドロクロロチアジドは、カルシウム結石が尿中で生成されるのを防止する作用があるのです。

また骨粗しょう症は骨がもろくなってしまう疾患です。骨の構成成分の1つにカルシウムがありますので、Ca2+の尿中の排泄を低下させるヒドロクロロチアジドは体内のCa2+の量を増やし、骨がもろくなりにくくする作用が期待できます。

4.ヒドロクロロチアジドの副作用

ヒドロクロロチアジドにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用はどのくらいの頻度で生じるのでしょうか。

ヒドロクロロチアジドはジェネリック医薬品であり、副作用発生率の詳しい調査は行われておりません。また先発品の「ダイクロトライド」もすでに発売されていないため、副作用発生率のデータは開示されていません。

参考までに同じようなチアジド系のお薬である、「フルイトラン(一般名:トリクロルメチアジド)」の副作用発生率は6.9%、「ナトリックス(一般名:インダパミド)」の副作用発生率は5.1%と報告されています。

同系統のヒドロクロロチアジドもおおよそ同程度の副作用発生率だと推測できます。

生じうる副作用としては、

  • めまい
  • 頭痛
  • 嘔気、腹部違和感
  • 便秘、下痢
  • 倦怠感
  • 高カルシウム血症

などが報告されています。

頭痛やめまいはヒドロクロロチアジドによって血圧が下がりすぎる事で生じると考えられます。

また高カルシウム血症は、作用機序で説明したヒドロクロロチアジドが尿中のカルシウムイオンの量を減らすはたらきに関係します。尿中にカルシウムイオンを排泄しにくくなるという事は、体内のカルシウムイオンが多くなりやすいという事だからです。

いずれも症状がひどければヒドロクロロチアジドを中止しなければいけませんが、服用を続けていると自然と改善していく事も少なくありません。

重篤な副作用としては、

  • 再生不良性貧血、溶血性貧血
  • 壊死性血管炎
  • 間質性肺炎、肺水腫
  • 全身性紅斑性狼瘡の悪化
  • アナフィラキシー
  • 低ナトリウム血症(けん怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、痙攣、意識障害等)
  • 低カリウム血症(けん怠感、脱力感、不整脈等)
  • 急性近視、閉塞隅角緑内障(急性近視(霧視、視力低下等を含む)、閉塞隅角緑内障(急激な視力の低下や眼痛等)

が報告されています。

どれも頻度が多い副作用ではありませんが、特に注意すべきは低ナトリウム血症です。ヒドロクロロチアジドは作用機序上、ナトリウムイオンをたくさん尿に出す事で血圧を下げるため、体内のナトリウムイオンの量は少なくなります。

ナトリウムイオンがあまりに少なくなると、けん怠感、食欲不振、嘔気、嘔吐、痙攣、意識障害などといった症状が出現します。ヒドロクロロチアジドを長期にわたって使用する際は定期的に血液検査でナトリウムなどの電解質をチェックする必要があります。

ヒドロクロロチアジドを投与してはいけない方(禁忌)としては、

  • 無尿の方
  • 急性腎不全の方
  • 体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している方
  • チアジド系薬剤又はその類似化合物に対する過敏症の既往歴のある方

が挙げられています。

ヒドロクロロチアジドは尿の排泄を増やす事で血圧を下げるお薬ですので、尿が出ない状態にある方には使用しても意味はありません。

また腎臓に作用するお薬であるため、急性腎不全の方に使用すると腎機能を更に悪化させる危険があります。

ヒドロクロロチアジドはナトリウム、カリウムといった電解質の排泄をお薬によってコントロールするお薬ですので、低ナトリウム血症、低カリウム血症など、元々電解質に異常がある方が服用すると更に電解質の異常を悪化させてしまう危険があります。

5.ヒドロクロロチアジドの用法・用量と剤形

ヒドロクロロチアジドは、

ヒドロクロロチアジド錠 12.5mg
ヒドロクロロチアジド錠 25mg

ヒドロクロロチアジドOD錠 12.5mg

の3剤形があります。

OD錠というのは「口腔内崩壊錠」の事で、これは唾液で溶けるタイプのお薬になります。水が無くても服用できるため、外出先で服用する機会の多い方や、飲み込む力が低下している高齢者などに使いやすい剤型です。

ヒドロクロロチアジドの使い方は、

通常、成人には1回25~100mgを1日1~2回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

ただし、高血圧症に用いる場合には少量から投与を開始して徐々に増量すること。

また、悪性高血圧に用いる場合には、通常、他の降圧剤と併用すること。

となっています。

ヒドロクロロチアジドをはじめとしたチアジド系は、血圧を下げる作用については用量依存性がないと言われています。用量依存性というのは、「量を増やしたら増やしただけ効果が強くなる」という性質の事です。

ヒドロクロロチアジドは量を増やしたからといって血圧を下げる力が強くなるわけではないため、血圧を下げたい場合は効きが不十分であるからといってヒドロクロロチアジドの量をどんどん増やしても、どんどん効果が強くなるわけではありません。

むしろ安易に量だけ増やしてしまうと、降圧作用は変わらず、副作用だけが生じやすくなってしまいます。

そうならないため、高血圧症に用いる場合には少量から開始する事で、本当に必要な量を確認していく事が推奨されています。

反対に尿を出す作用(利尿作用)については用量依存性が認められます。そのため、むくみを改善させたいという用途で使用する場合は、効きが不十分であった場合は量を増やせば更なる効果が期待できます。

しかし量を増やせば副作用の程度も強くなるため、増量は慎重に判断しなくてはいけない事は言うまでもありません。

またヒドロクロロチアジドは腎臓で作用するため、腎機能が悪い方に使用しても効果はほとんどありません。具体的にはCr≧2.0mg/dL以上の方は使用すべきではないでしょう。

ちなみに服用する時間帯は決められていませんが、昼や夕方、眠前に投与してしまうと夜間寝ている時に排尿が生じやすくなりますので、夜のトイレを増やしたくない場合は午前中に服用するのが良いでしょう。

6.ヒドロクロロチアジドが向いている人は?

以上から考えて、ヒドロクロロチアジドが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ヒドロクロロチアジドの特徴をおさらいすると、

【ヒドロクロロチアジドの特徴】

・尿量を増やす事で血圧を下げる降圧利尿剤である
・もっとも古いチアジド系であり実績が長い
・利尿作用(水分を尿として排泄する作用)は弱い
・降圧作用(血圧を下げる作用)は利尿剤の中では強い
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

というものでした。

チアジド系降圧利尿剤であるヒドロクロロチアジドは、

  • 主に血圧を下げたい
  • むくみも多少改善させたい

というケースにおいて有用です。

利尿剤としての作用も穏やかにありつつ、血圧を下げる作用が比較的しっかりしているため、高血圧症に加えてむくみが生じている患者さんは良い適応になります。

また副次的な作用として、

  • 尿路結石(カルシウム結石)を予防する作用
  • 骨粗しょう症を予防する作用

があります。これらの作用は強くはありませんが、尿路結石の既往がある方や骨粗しょう症を合併している方にとってもヒドロクロロチアジドは良い選択肢となります。

ジェネリック医薬品であるヒドロクロロチアジドは薬価が安いのもメリットです。そのため医療費の経済的負担を軽減させたい方にも向いている降圧剤になります。

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