ヒポカの効果と副作用【降圧剤】

ヒポカカプセル(一般名:バルニジピン塩酸塩)は1992年から発売されている降圧剤(血圧を下げるお薬)で、カルシウム拮抗薬という種類に属します。

高血圧症の患者さんは日本で1000万人以上と言われており、降圧剤は処方される頻度の多いお薬の1つです。

降圧剤にも様々な種類がありますが、その中でヒポカはどのような特徴を持つお薬で、どのような方に向いているお薬なのでしょうか。

ここではヒポカの特徴や効果・副作用についてみていきましょう。

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1.ヒポカの特徴

ヒポカはどのような特徴を持つお薬なのでしょうか。

ヒポカはカルシウム拮抗薬という種類の降圧剤になります。まずはカルシウム拮抗薬がどんな特徴を持ったお薬なのかを紹介します。

・ダイレクトに血管に作用するため、血圧を下げる力(降圧力)が確実
・ダイレクトに血管に作用するため、余計な副作用が少ない
・薬価が安い

カルシウム拮抗薬の一番の特徴は、血圧を下げる力がしっかりとしている点です。単純に血圧を下げる力だけを見れば、降圧剤の中で一番でしょう。

血圧を下げるお薬は、カルシウム拮抗薬の他にも

  • ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
  • ACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
  • 利尿剤
  • α遮断薬
  • β遮断薬

などたくさんありますが、単純に血圧を下げる力だけでみれば、カルシウム拮抗薬にかなうお薬はありません。

カルシウム拮抗薬は血管を覆っている筋肉(平滑筋)を緩める事で血管を広げます。血管が広がれば血液が血管壁を押す力(血圧)は低くなります。このようにカルシウム拮抗薬は血管にダイレクトに作用するため、その降圧力は強力です。

またダイレクトに血管に作用するため、その他の部位に作用しにくく、安全性に優れ副作用も多くはありません。

カルシウム拮抗薬は薬価が安いのも大きな特徴です。血圧を下げるコストパフォーマンスという見方をすれば、降圧剤の中でもカルシウム拮抗薬はかなり優れたお薬です。

では次にカルシウム拮抗薬の中でのヒポカの特徴を紹介します。

・カプセル剤である
・1日1回の服用で24時間効果が持続する

カルシウム拮抗薬は血圧を下げる力がしっかりしているお薬ですが、ヒポカも他のカルシウム拮抗薬と同様にしっかりと血圧を下げてくれます。

ヒポカはカプセル剤になります。お薬の成分をカプセルに入れる事によって、お薬が少しずつ溶け出し、ゆっくり長く効くように工夫されていますので、カプセルから取り出して服用する事は出来ません。

錠剤と違って、半分に割って服用したり、粉砕したりという事もできませんので、錠剤と比べると使い勝手は悪くなります。

しかしその分作用時間は長く、1日1回の服用で24時間しっかりと効果が持続します。

以上からヒポカの特徴を挙げると次のようになります。

【ヒポカの特徴】

・カルシウム拮抗薬であり降圧作用はしっかりしている
・1日1回の服用で24時間効果が持続する
・カプセル剤であり、割ったり砕いたりは出来ない
・他の降圧剤と比べて薬価が安い

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2.ヒポカはどんな疾患に用いるのか

ヒポカはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

〇高血圧症
〇腎実質性高血圧症
〇腎血管性高血圧症

ヒポカはカルシウム拮抗薬に属しますが、カルシウム拮抗薬は血管を拡張させることで血圧を下げます。

高血圧症というのは、正確には「本態性高血圧症」の事を指します。これは原因が特定されていない高血圧の事で、高血圧の9割を占めます。

本態性でない高血圧は「二次性高血圧」と呼ばれ、これは何らかの原因があって二次的に血圧が上がっているような状態を指します。これにはお薬の副作用による血圧上昇、ホルモン値の異常による高血圧(原発性アルドステロン症など)があります。

本態性高血圧のほとんどは単一の原因ではなく、喫煙や食生活の乱れ、運動習慣の低下などが続く事による全身の血管の動脈硬化によって生じます。

腎実質性高血圧は二次性高血圧の1つで、何らかの原因で腎臓に障害が生じて血圧が上がってしまう疾患です。例えば糖尿病による腎障害などが原因として挙げられます。腎臓は尿を作る臓器ですので、腎臓に障害が生じると尿を作りにくくなり、身体の水分が過剰となるため血圧が上がります。

腎血管性高血圧症も二次性高血圧の1つで、腎臓に向かう血管である腎動脈が狭窄する事によって生じる高血圧です。腎動脈が狭窄して腎臓の血流が少なくなると、腎臓は「血液が少ない。血圧を上げて血流を増やさなければ!」と判断して血圧を上げるホルモン(レニン)を分泌します。これにより血圧が上がってしまうのが腎血管性高血圧です。

ヒポカはこれらの高血圧症に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

上記疾患に対してヒポカを投与し、血圧の下がり具合を「著明下降」「下降」「やや下降」「不変」の4段階で評価した調査では、「下降」以上の効果が得られた率は、

  • 本態性高血圧症に対する有効率は84.2%
  • 重症高血圧症に対する有効率は87.5%
  • 腎実質性高血圧症に対する有効率は81.3%
  • 腎血管性高血圧症に対する有効率は66.7%

と報告されています。

ヒポカはしっかりと血圧を下げてくれる事が分かります。

3.ヒポカはどのような作用があるのか

ヒポカにはどのような作用があるのでしょうか。ここでは報告されているヒポカの作用について紹介します。

Ⅰ.血管を拡張させる

ヒポカは降圧剤であり、その主な作用は血圧を下げる事になります。

ではどのような機序で血圧を下げているのでしょうか。

血圧を下げるお薬にはいくつかの種類がありますが、そのうちヒポカは「カルシウム拮抗薬」という種類に分類されます。カルシウム拮抗薬は、血管を覆っている平滑筋という筋肉に存在しているカルシウムチャネルのはたらきをブロックするのが主なはたらきです。

チャネルという用語が出てきましたが、これはかんたんに言うと様々なイオンが通る穴だと思ってください。つまりカルシウムチャネルは、カルシウムイオンが通ることが出来る穴です。

カルシウムチャネルはカルシウムイオンを通すことにより、筋肉を収縮させるはたらきがありますが、これをブロックするのがヒポカです。

ヒポカの作用で、カルシウムイオンが平滑筋細胞内に流入できなくなると、平滑筋は収縮できなくなるため緩みます。これによって血管が拡張する(広がる)ため、血圧が下がるというわけです。

ちなみにカルシウムチャネルにはL型、T型、N型の3種類があることが報告されています。このうち、血管の平滑筋に存在しているカルシウムチャネルはほとんどがL型です。

L型カルシウムチャネル:主に血管平滑筋・心筋に存在し、カルシウムが流入すると筋肉を収縮させる。ブロックすると血管が拡張し、血圧が下がる

T型カルシウムチャネル:主に心臓の洞結節に存在し、規則正しい心拍を作る。また脳神経にも存在し神経細胞の発火に関係している

N型カルシウムチャネル:主にノルアドレナリンなど興奮性の神経伝達物質を放出する。

Ⅱ.粥状硬化の改善作用

血管壁にコレステロールがこびりついてしまう現象を「粥状硬化」と呼びます。

高コレステロール血症などの脂質異常症が続くと、粥状硬化が生じます。すると、血管の中が狭くなってしまい、血管が詰まってしまうリスクが高くなります。また血管内で炎症や血栓が生じるリスクも高くなり、これも血管が詰まる一因になります。

血管が詰まってしまうと、そこから先にある臓器に血液が送れなくなってしまいます。これはいわゆる脳梗塞や心筋梗塞と呼ばれている状態で、命に関わる大変な状態です。

動物実験においてヒポカは粥状硬化を改善させる作用が示されています。

コレステロール食を摂取させて粥状硬化を人工的に作ったウサギにおいて、ヒポカは大動脈壁中のコレステロール量を低下させ、大動脈の粥状硬化形成を有意に抑制した事が報告されています。

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4.ヒポカの副作用

ヒポカにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用はどのくらいの頻度で生じるのでしょうか。

ヒポカの副作用発生率は4.2%と報告されています。

生じうる副作用としては、

  • 顔面潮紅
  • 動悸
  • ほてり
  • 頭痛
  • めまい

などが報告されています。

頭痛やめまいはヒポカによって血圧が下がりすぎる事で生じると考えられ、また顔面潮紅やほてりは、顔面の血管が拡張することで生じる副作用だと考えられます。

動悸はヒポカがT型のカルシウムチャネルに多少作用してしまう事で生じると考えられます。

いずれも症状がひどければヒポカを中止しなければいけませんが、服用を続けていると自然と改善していく事も少なくありません。

重篤な副作用としては、

  • アナフィラキシー様症状
  • 過度の血圧低下
  • 肝機能障害、黄疸

が報告されています。

アナフィラキシー様症状というのは急激に生じる重度のアレルギー反応の1つで、ヒポカに限らずあらゆるお薬に生じる可能性があります。症状としては呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、じんましんなどがあり、このような症状が出たらすぐにヒポカの服用を中止し、主治医に対応の指示を仰ぐ必要があります。

また滅多にありませんが、血圧を下げるお薬であるヒポカは時に血圧を下げ過ぎてしまう事があります。このような場合はヒポカの量を減量する事が有効です。

ヒポカは時に肝臓に負担をかけてしまう事がありますので、服用が長期に渡る方は定期的に血液検査などで肝機能をチェックしておく事が望まれます。

ヒポカを投与してはいけない方(禁忌)としては、

  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方

が挙げられています。

動物実験で妊娠末期にヒポカを投与したところ、出生児(赤ちゃん)の発育が抑制されてしまった事が報告されています。

ヒトにおいても同じ事が生じる可能性を考え、妊娠中の方にはヒポカの使用は禁忌となっています。

5.ヒポカの用法・用量と剤形

ヒポカは、

ヒポカ 5mgカプセル
ヒポカ 10mgカプセル
ヒポカ 15mgカプセル

の3剤形があります。

ヒポカの使い方は、

通常、成人には10~15mgを1日1回朝食後に経口投与する。ただし、1日5~10mgより投与を開始し、必要に応じ漸次増量する。

となっています。

ヒポカは徐放製剤となっています。徐放製剤というのは、お薬が徐々に溶けだすように工夫された剤型の事で、ゆっくり長く効かせる事が出来るようになっています。

ヒポカは、その成分を特殊なカプセル内に閉じ込める事によって徐放製剤になるように工夫されています。

徐放製剤のため、1日1回の服用で1日を通してしっかりと血圧を下げる事が確認されています。

6.ヒポカが向いている人は?

以上から考えて、ヒポカが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ヒポカの特徴をおさらいすると、

・カルシウム拮抗薬であり降圧作用はしっかりしている
・1日1回の服用で24時間効果が持続する
・カプセル剤であり割ったり砕いたりは出来ない
・他の降圧剤と比べて薬価が安い

というものがありました。

カルシウム拮抗薬全体に言えることですが、血管の平滑筋にダイレクトに作用するカルシウム拮抗薬は、単純に血圧を下げたい時に有用です。

他の代表的な降圧剤として、ACE阻害剤やARBなどがあります。これらももちろん優れたお薬で、腎臓を保護したり、血糖にも影響したりと様々な付加効果があります。これらはうまく利用すれば、1剤で様々な効果が得られる利点になりますが、「単純に血圧だけを下げたい」という場合には、カルシウム拮抗薬の方が適しています。

カルシウム拮抗薬の中でヒポカは、

・カプセル剤である事
・1日1回の服用で良い事

が特徴として挙げられます。

カプセル剤は錠剤と比べると使い勝手が悪い面がありますが、その分徐放製剤ですので、服用回数が少なくなっています。

このため、以前は服用回数を少なくしたい方にヒポカが選択されていましたが、最近では錠剤でも長時間効くお薬がどんどん発売されていますので、これに伴いヒポカが処方される事は少なくなってきています。

もちろんヒポカが悪いお薬だという事ではないのですが、使い勝手の悪いカプセル剤であり、錠剤でも同じように1日1回の服用で1日中効果が持続するものがたくさん発売されている現状では、ヒポカが積極的に選択される理由も乏しい面があります。

ヒポカをはじめとしたカルシウム拮抗薬は、薬価が安いというのもメリットの1つですので、経済的負担少なく治療をしたい方にも勧めやすいお薬になります。

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