インフリーカプセル・インフリーSカプセルの効果と副作用【痛み止め・鎮痛剤】

インフリーカプセル・インフリーSカプセル(一般名:インドメタシン・ファルネシル)は1991年から発売されているお薬です。非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)と呼ばれ、炎症を抑える事で熱を下げたり痛みを抑えたりする作用を持ちます。

NSAIDsにはたくさんの種類があります。どれも大きな違いはありませんが、細かい特徴や作用には違いがあり、医師は痛みの程度や性状に応じて、その患者さんに一番合いそうな痛み止めを処方しています。

NSAIDsの中でインフリーはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここでは、インフリーの効能や特徴、副作用などを紹介していきます。

 

1.インフリーの特徴

まずはインフリーの特徴を紹介します。

インフリーは熱を下げたり(解熱)、痛みを抑えたり(鎮痛)する作用を持ちます。

インフリーはNSAIDsに属します。NSAIDsの中でも「アリール酢酸系」という種類に属します。

NSAIDsとは「非ステロイド性消炎鎮痛剤」の事で、ステロイド作用を持たない炎症を抑えるお薬の事です。炎症が抑えられると熱を下げたり、痛みを抑えたりといった効果が期待できるため、臨床では主に熱さまし(解熱剤)・痛み止め(鎮痛剤)として用いられています。

インフリーは大きな特徴はなく、一般的な作用を持つNSAIDsです。強いて言えば、「カプセル剤」という点が特徴として挙げられます。

カプセル剤だから効果がどうという事はなく単に好みの問題になりますが、カプセル剤や軟カプセル剤が飲みやすいという方には向いています。ちなみに軟カプセル剤というのは、弾力のあるつなぎ目のないカプセルの事です。

インフリーの熱を下げる力・痛みを抑える力はどのくらいかというと、これはNSAIDsの中では「中等度の強さ」になります。特別に強くもなく弱くもありません。

服用してから血中濃度が最大になるまでにかかる時間は4~6時間程度であり、即効性はあまりありません。半減期(お薬の血中濃度が半分に下がるまでの時間)は約2時間程度と短めですが、活性代謝物であるインドメタシンの半減期は約6時間とまずまずの持続力があります。

そのため定期的に服用する場合は1日2回の服用が推奨されています。

副作用としては、長期使用による胃腸障害に注意しなければいけません。これはインフリーに限らずほとんどのNSAIDsに言えることですが、NSAIDsは胃腸を痛めてしまうリスクのあるお薬になります。またNSAIDsは喘息を誘発しやすくすることが知られており、喘息の方にはできる限り用いるべきではありません。

以上からインフリーの特徴として次のような点が挙げられます。

【インフリーの特徴】

・解熱作用・鎮痛作用は中等度
・カプセル剤・軟カプセル剤である
・副作用の胃腸障害に注意(他のNSAIDsと同様)
・喘息には使えない(他のNSAIDsと同様)

 

2.インフリーはどのような疾患に用いるのか

インフリーはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛

関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群

インフリーは解熱鎮痛剤であり、炎症を抑える事で熱を下げたり痛みを和らげる作用があります。

そのため用いる疾患は、発熱を来すようなもの、痛みを来すようなものになります。

難しい病名が書かれていますが、大きな認識としては「痛みや熱などが認められる疾患に対して、その症状の緩和に用いる」という認識で良いでしょう。

インフリーはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

インフリーの有効率(改善以上の率)は、

  • 関節リウマチに対する有効率は25.3%
  • 変形性関節症に対する有効率は69.3%
  • 腰痛症に対する有効率は63.6%
  • 肩関節周囲炎に対する有効率は53.2%
  • 頸肩腕症候群に対する有効率は47.6%

と報告されています。

インフリーを始めとするNSAIDsを使用する際は、これらは根本を治す治療ではなく、あくまでも対症療法に過ぎないことを忘れてはいけません。

対症療法とは「症状だけを抑えている治療法」の事です。あくまでも表面的な症状を感じにくくさせているだけの治療法で根本を治している治療ではない事を忘れてはいけません。

例えば腰の筋力低下によって腰痛が出現している方に対してインフリーを投与すれば、確かに痛みは軽減します。しかしこれは原因である腰部の筋肉低下を治しているわけではなく、あくまでも発痛を起こしにくくしているだけに過ぎません。

対症療法が悪い治療法だということではありませんが、対症療法だけで終わってしまうのは良い治療とは言えません。対症療法と合わせて、根本を治すような治療も併用することが大切です。

例えば先ほどの腰痛であれば、インフリーを使用しつつも、

  • 適度な運動・リハビリをする
  • 栄養をしっかり取る

などの根本的な治療法も併せて行う必要があるでしょう。

 

3.インフリーにはどのような作用があるのか

インフリーは「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」という種類に属しますが、NSAIDsの作用は、消炎(炎症を抑える)事によって解熱(熱を下げる)と鎮痛(痛みを抑える)ことになります。

インフリーも他のNSAIDsと同様に鎮痛作用と解熱作用を有しています。その作用機序について説明します。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。

インフリーは、炎症の原因が何であれ、炎症そのものを抑える作用を持ちます。つまり、発赤・熱感・腫脹・疼痛を和らげてくれるという事です。

具体的にどのように作用するのかというと、インフリーなどのNSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という物質のはたらきをブロックするはたらきがあります。

COXは、プロスタグランジン(PG)が作られる時に必要な物質であるため、COXがブロックされるとプロスタグランジンが作られにくくなります。

プロスタグランジンは炎症や痛み、発熱を誘発する物質です。そのため、インフリーがCOXをブロックすると炎症や痛み、発熱が生じにくくなるのです。

 

4.インフリーの副作用

インフリーにはどんな副作用があるのでしょうか。またどの頻度はどのくらいなのでしょうか。

インフリーの副作用発生率は5.03%と報告されています。他のNSAIDsと比べても副作用の頻度は同じくらいになります。

生じうる副作用としては、

  • 胃部不快感、胸やけ、胃痛、腹痛
  • 下痢、便秘
  • 発疹、掻痒
  • めまい、ふらつき
  • 浮腫
  • 肝臓系酵素上昇(AST、ALT上昇)
  • BUN上昇

などが報告されています。

インフリーをはじめとしたNSAIDsには共通する副作用があります。

もっとも注意すべきなのが「消化管の障害」です。これはNSAIDsがプロスタグランジンの生成を抑制するために生じます。

プロスタグランジンは、胃などの腸管粘膜を保護するはたらきを持っているため、NSAIDsによってこれが抑制されると胃腸が荒れやすくなってしまうのです。これにより、腹痛・胃痛などが生じる事があります。

頻度は稀ですが重篤な副作用としては、

  • ショック、アナフィラキシー様症状
  • 消化管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍、出血性大腸炎、腸管の狭窄・閉塞、潰瘍性大腸炎
  • 血液障害
  • 皮膚障害
  • 喘息発作
  • 腎障害
  • 肝機能障害、黄疸
  • 昏睡、錯乱
  • 性器出血

などが報告されています。これらの副作用は滅多に生じるものではありませんが、報告がないわけではありませんので一応の注意が必要です。

またインフリーは次のような患者さんには投与する事が出来ません(禁忌)。

  • 消化性潰瘍のある方(胃潰瘍・十二指腸潰瘍などをより悪化させる)
  • 重篤な血液の異常のある方(血液異常を更に悪化させる)
  • 重篤な肝障害のある方(肝障害をより悪化させる)
  • 重篤な腎障害のある方(腎障害をより悪化させる)
  • 重篤な心機能不全のある方(心機能をより悪化させる)
  • 重篤な高血圧症の方(高血圧を更に悪化させる)
  • 重篤な膵炎の方(膵炎を増悪させる可能性がある)
  • インフリーに対して過敏症の既往歴のある方
  • アスピリン喘息またはその既往歴のある方(喘息発作を誘発する)
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方
  • トリアムテレン(商品名トリテレン)を投与中の方(腎障害を発症する可能性がある)

また原則禁忌(基本的には使用する事が出来ないが、やむを得ない時のみ慎重に使用して良い)として、

  • 小児

が挙げられています。

胃を荒らす可能性のあるお薬ですので、胃腸に潰瘍がある方はそれを更に増悪させる可能性があり用いてはいけません。

また心臓、肝臓、腎臓といった臓器にダメージを与える可能性がありますので、これらの臓器に重篤な機能不全がある場合もインフリーは用いてはいけません。

インフリーを妊娠後期に投与すると、胎児動脈管収縮が報告されており、妊娠中は服用してはいけません。

また、NSAIDsは喘息を誘発する危険があるため、できる限り喘息の患者さんには投与しない方が良いでしょう。

 

5.インフリーの用法・用量と剤形

インフリーは次の剤型が発売されています。

インフリーカプセル 100mg
インフリーSカプセル 200mg

Sカプセルというのは「軟カプセル(soft capsule)」の事で、弾性のあるつなぎ目のないカプセルです。カプセルよりも小さく呑み込みやすいため、飲み込む力が低い高齢者などに向いています。

インフリーカプセルとインフリーSカプセルは単に剤型が異なるだけで、効果やお薬の濃度が異なるわけではありません。

また、インフリーの使い方は次のように書かれています。

通常、成人には1回200mgを朝夕1日2回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

インフリーは1日2回の服用が必要です。

インフリーに限らずNSAIDsは空腹時に服用すると胃腸に負担がかかり、胃腸系の副作用(胃痛や胃潰瘍など)が生じやすくなるため、食後の服用が推奨されています。

 

6.インフリーが向いている人は?

インフリーはどのような方に向いているお薬なのでしょうか。

インフリーの特徴をおさらいすると、

・解熱作用・鎮痛作用は中等度
・カプセル剤・軟カプセル剤である
・副作用の胃腸障害に注意(他のNSAIDsと同様)
・喘息には使えない(他のNSAIDsと同様)

といった特徴がありました。

基本的にNSAIDsは、どれも大きな差はないため、処方する医師が使い慣れているものを処方されることも多々あります。

インフリーは普通のNSAIDsであり、特に「こういう発熱や痛みに向いている」という特徴はありません。