イルトラ配合錠の効果と副作用【降圧剤】

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イルトラ配合錠(一般名:イルベサルタン・トリクロルメチアジド)は2013年から発売されている降圧剤(血圧を下げるお薬)になります。

イルトラは「配合錠」という名前からも分かるように、2つの成分が配合された降圧剤です。具体的にはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(AngiotensinⅡ Receptor Blocker:ARB)である「イルベサルタン(商品名:イルベタン、アバプロ)」とチアジド系利尿剤である「トリクロルメチアジド(商品名:フルイトラン)」が配合されています。

2種類の成分を1剤にまとめているためお薬の管理も楽になりますし、服薬する錠数も減らせます。高血圧の方は複数の降圧剤を飲まれている方もいらっしゃいますから、このような配合剤は服用の手間を軽減させてくれます。

近年ではこのような配合剤は多く発売されています。その中でイルトラはどのような特徴を持っていて、どのような患者さんに向いている降圧配合剤なのでしょうか。

ここではイルトラ配合錠の特徴や効果・副作用についてみていきます。

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1.イルトラ配合錠の特徴

まずは、イルトラ配合錠の全体的な特徴について紹介します。

イルトラ配合錠は、

  • イルベサルタン
  • トリクロルメチアジド

といった2種類の降圧剤(血圧を下げるお薬)が含まれた合剤になります。

要するにイルトラを服用する事は、イルベサルタンとトリクロルメチアジドの2剤を服用しているのと同じです。なぜ合剤にしてまとめたのかと言うと、服用の手間を軽減させるためです。また薬価(お薬の値段)が安くなるというメリットもあります。

イルトラに含まれるイルベサルタンはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)という種類の降圧剤になります。

ARBはアンジオテンシンⅡという物質のはたらきをブロックすることで、血圧を下げるお薬になります。アンジオテンシンⅡは血圧を上げる作用が強い物質なので、これをブロックすると血圧が下がるのです。

また単にARBは血圧を下げるだけでなく臓器保護作用があり、心臓や腎臓を保護してくれます。そのため、心不全や腎不全の方にも向いているお薬になります。

ARBの中でイルベサルタンは、「様々な効果を持つ」という特徴があります。

具体的には、

  • インバートアゴニスト作用(降圧力が強くなる)
  • 糖尿病改善作用(血糖値を下げる)
  • 尿酸値低下作用(尿酸値を下げる)

などの付加的な効果が期待できます。

これら付加的な作用のそれぞれは強くはないものの、糖尿病や高尿酸血症などを合併している方には1剤で複数の治療効果が得られるという事になります。

イルトラに含まれるトリクロルメチアジドはチアジド系利尿剤という種類の降圧剤になります。「利尿剤」という名前からも分かるようにトリクロルメチアジドは尿量を増やす事で身体の水分を減らし、血圧を下げるお薬になります。

具体的にはNa+(ナトリウムイオン)を尿中に多く排泄させる事で、身体の中のNa+量を減らし、これにより血圧を下げます。Na+が尿中に多く移動すると、浸透圧の関係で水分も尿中に移動します。これによって体内の水分量も減り、血圧が下がるのです。

トリクロルメチアジドは利尿剤でありながら、利尿作用(尿量を増やす作用)はそこまで強くはありません。しかし血圧を下げる作用は比較的しっかりと認められ、また作用時間が長く1日1回の服用でしっかりと効果が持続するという特徴があります。

付加的な効果として、尿管結石の発症を抑える作用や骨粗しょう症を予防する作用も報告されています。

以上からイルベサルタンとトリクロルメチアジドを配合したイルトラには、次のような特徴が挙げられます。

【イルトラ配合錠の特徴】

・2つの降圧剤が含まれており、血圧を下げる力がしっかりしている
・1日1回の服薬でしっかりと効果が続く
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・糖尿病や高尿酸血症を多少改善させる作用がある
・尿管結石の発症を抑える作用や骨粗しょう症を予防する作用も多少ある

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2.イルトラ配合錠はどのような疾患に用いるのか

イルトラはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

高血圧症

イルトラは降圧剤ですので、「高血圧症」の患者さんに用います。

注意点として、イルトラは2つの降圧剤が配合されているお薬であるため、一番最初からは使えません。

イルトラを最初から投与するという事は、降圧薬を一気に2つ始めてしまうのと同じことだからです。まずは1剤から始め、それでも効果が不十分な時に初めて2剤目は検討されるべきです。

ではイルトラは高血圧に対してどれくらいの効果が期待できるのでしょうか。

イルトラは2つの降圧剤を配合しているため、一般的な降圧剤よりは降圧効果は高くなります。

本態性高血圧症の患者さんにイルトラの服用を8週間続けて頂いた調査では、

  • イルトラ配合錠LDの投与で収縮期血圧が平均で21.64mmHg下がり、拡張期血圧が平均で13.12mmHg下がった
  • イルトラ配合錠HDの投与で収縮期血圧が平均で23.54mmHg下がり、拡張期血圧が平均で14.79mmHg下がった

と報告されています。

ちなみにイルトラは服薬してからどれくらいで効果を判定すれば良いのでしょうか。

これは明確に決まっているわけではありません。通常2週間程度で効果を判定できますが、しっかりと判定するためには「約1カ月」程度は見ておく方が良いでしょう。

3.イルトラ配合錠にはどのような作用があるのか

イルトラは降圧剤であり、基本的な作用は血圧を下げる事になります。では具体的にどのような作用機序によって血圧を下げてくれるのでしょうか。またそれ以外の作用は何か持っているのでしょうか。

イルトラの作用機序について紹介します。

Ⅰ.アンジオテンシンⅡのブロックで血圧を下げる

イルトラにはイルベサルタンというARBと同じ成分が含まれており、これには血圧を下げる作用があります。

ではイルベサルタンはどのように血圧を下げるのでしょうか。

私たちの身体の中には、血圧を上げる仕組みがいくつかあります。その1つに「RAA系」と呼ばれる体内システムがあります(RAA系とは「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン」の略です)。

RAA系は本来、血圧が低くなりすぎてしまった時に血圧を上げるシステムです。

腎臓は血液から老廃物を取り出して尿を作る臓器ですが、ここに「傍糸球体装置」というものがあります。傍糸球体装置は腎臓に流れてくる血液が少なくなると「血液量が少なくなっている!」と感知し、「レニン」という物質を放出します。

レニンはアンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンⅠという物質に変えるはたらきがあります。

更にアンジオテンシンⅠはACEという酵素によってアンジオテンシンⅡになります(ちなみにこれをブロックするのがACE阻害薬という降圧剤です)。

アンジオテンシンⅡは副腎という臓器に作用して、アルドステロンというホルモンを分泌させます。

アルドステロンは血液中にナトリウムを増やします(詳しく言うと、尿として捨てる予定だったナトリウムを体内に再吸収します)。血液中のナトリウムが増えると血液の浸透圧が上がるため、ナトリウムにつられて水分も血液中に引き込まれていきます。これにより血液量が増えて血圧も上がるという仕組みです。

通常であればこのRAA系は、血圧が低くなった時だけ作動する仕組みです。しかし血圧が高い状態が持続している方は、このRAA系のスイッチが不良になってしまい、普段からRAA系システムが作動してしまっていることがあります。

イルベサルタンをはじめとしたARBは、アンジオテンシンⅡのはたらきをブロックすることで、RAA系が作動しないようにします。すると血圧を上げる物質が少なくなるため、血圧が下がるというわけです。

更にイルベサルタンは「インバースアゴニスト作用」という作用を持ちます。

ARBはアンジオテンシンⅡ受容体という部位をブロックするのですが、実はアンジオテンシンⅡ受容体は何も結合していない状態でもある程度勝手に活性化してRAA系を作動させています。

この受容体自身が持つ活性をも抑制する作用がインバースアゴニスト作用です。

イルベサルタンはアンジオテンシンⅡ受容体をブロックしてアンジオテンシンⅡが結合した時の活性が生じないようにするほか、アンジオテンシンⅡ受容体自身が持っている活性をもブロックする事でより高い降圧力を発揮してくれるのです。

Ⅱ.臓器保護作用

イルベサルタンには臓器保護作用があります。

具体的には心臓・腎臓や脳に対して、これらの臓器が傷付くのを防いでくれるのです。

心臓が傷んでしまい十分に機能できなくなる状態を「心不全」と呼びます。高血圧は心不全のリスクになるため、イルベサルタンの降圧作用はそれ自体が心保護作用になります。

またそれ以外にも先ほど説明したRAA系の「アンジオテンシンⅡ」は心臓の筋肉(心筋)の線維化を促進し、これも心臓の力を弱める原因となります。

イルベサルタンはアンジオテンシンⅡのはたらきをブロックしてくれるため、これも心保護作用になります。

実際、イルベサルタンのようなARBは心不全に対しての第一選択薬となっています。

また腎臓に対しても同様です。

腎臓が傷んでしまい、十分に機能できなくなる状態は「腎不全」と呼ばれ、これも高血圧が発症リスクになるため、イルベサルタンの降圧作用はそれ自体が腎保護作用になります。

アンジオテンシンは腎臓の線維化も促進し、これも腎不全の原因になるのですが、イルベサルタンは同様の機序で腎臓の線維化を抑え、腎保護作用を発揮します。

Ⅲ.血糖改善作用

イルベサルタンには血糖値を改善させる作用があります。

その作用は強くはないため単独で糖尿病の治療に用いられる事はありませんが、高血圧に糖尿病を合併しているような場合では1剤で複数の作用を期待できます。

血糖を改善させる作用はイルベサルタンの持つPPARγ(ピーパーガンマ)作用によるものだと考えられています。PPARγとは脂肪細胞に存在する物質で、この物質はアディポネクチンという物質を増やす作用があります。

アディポネクチンには、

  • 血液中の血糖を筋肉などの臓器・組織に取り込む
  • インスリン(血糖を下げるホルモン)の感受性を上げる
  • 炎症を抑える
  • 様々な臓器を保護する

といった様々な作用があります。

血液中の血糖を臓器や組織に取り込むと、血液中の糖分が少なくなるため血糖が下がります。またインスリンは血糖を下げるホルモンですので、その効きを高めれば血糖も下がりやすくなります。

このような機序にてイルベサルタンは血糖値を下げ、糖尿病を多少ですが改善させてくれます。

Ⅳ.尿酸値を下げる作用

イルベサルタンの特徴の1つとして、尿酸値を下げる作用がある事が挙げられます。これはARBの中でも数種類でしか報告されていない作用です。

イルベサルタンは腎臓にあるURAT1という輸送体をブロックするはたらきがあります。URAT1は尿にある尿酸を体内に再吸収する役割があります。

URAT1がブロックされると、尿酸が再吸収されずにそのまま尿と一緒に排泄される事になり、これによって尿酸値が下がると考えられています。

Ⅴ.尿中にナトリウムを排泄する事で血圧を下げる

イルトラに含まれるトリクロルメチアジドは、尿の量を増やす作用があり、これも血圧を下げる作用となります。

簡単に言えば尿量が増えれば身体の水分の量が減るため、血液の量も減り、血圧が下がるという事です。

トリクロルメチアジドの作用機序を更に深く理解するためには、尿がどのように作られるのかを知らなければいけません。

尿は腎臓で作られます。腎臓に流れてきた血液は糸球体という部位でろ過され、尿細管に移されます。このように尿細管に移された尿の元は、「原尿」と呼ばれます。

糸球体は、血液をざっくりとろ過するだけです。そのため原尿には、身体にとって必要な物質がまだたくさん含まれています。

原尿をそのまま尿として排泄してしまうと、本来身体に必要な物質がたくさん失われてしまいます。そのため、尿細管には原尿から必要な物質を再吸収する仕組みがあります。

つまり糸球体でざっくりとろ過されて原尿が作られ、原尿から必要な物質が体内に戻されて最終的に尿が出来上がるわけです。

原尿から必要な物質が再吸収されて最終的に作られた尿は、腎臓から尿管を通り膀胱に達し、そこで一定時間溜められます。膀胱に尿がある程度溜まって膀胱が拡張してくると、その刺激によって尿意をもよおし、排尿が生じます。

これが尿が作られる主な機序になります。

そしてトリクロルメチアジドは、原尿から必要な物質を「再吸収」する仕組みの1つをブロックする作用を持ちます。

尿細管は糸球体に近い方から「近位尿細管」「ヘンレのループ」「遠位尿細管」「集合管」に分けられています。

このうち「遠位尿細管」には「Na+・Cl–共輸送担体」と呼ばれる仕組みがあります。これは、原尿に含まれるNa+(ナトリウムイオン)とCl-(クロールイオン)を体内に戻す(再吸収する)代わりに、K+(カリウムイオン)を血液から原尿に移動させる仕組みです。

Na+・Cl–共輸送担体によって血液中のNa+、Cl-が増え、K+が減ります。反対に原尿中のNa+、Cl-は減り、K+が増えます。

ちなみにNa+は一緒に水分も引っ張る性質があります。Na+が増えると、血液の浸透圧が上がるため、水を引っ張るのです。難しい説明はここでは省略しますが、体内では水はNa+と一緒に動く傾向があると覚えてください。

トリクロルメチアジドはNa+・Cl–共輸送担体のはたらきをブロックします。するとNa+とCl-を再吸収できなくなるため、Na+とCl-はそのまま尿として排泄されやすくなります。

という事はNa+と一緒に動く水分も、そのまま尿として排泄されやすくなるという事です。すると体内のNa+量、水分量が少なくなるため、血圧が下がるというわけです。

これがトリクロルメチアジドをはじめとしたチアジド系の基本的な作用機序になります。

Ⅵ.炭酸脱水素酵素の働きをブロックする事で血圧を下げる

イルトラに含まれるトリクロルメチアジドは、尿細管のうち近位尿細管細胞に存在する「炭酸脱水素酵素」という酵素のはたらきをブロックする作用もあります。

炭酸脱水素酵素は、炭酸(H2CO3) を分解する酵素で、H2CO3⇒H++HCO3-と、炭酸をH+(水素イオン)とHCO3-(重炭酸イオン)に分解します。

炭酸脱水素酵素によって生成されたH+は、近位尿細管に存在するNa+・H+交換系という仕組みによって原尿中に排泄され、代わりにNa+(ナトリウムイオン)を原尿から体内に再吸収します。

炭酸脱水素酵素のはたらきをブロックすると、H+が生成できなくなるため、Na+・H+交換系がはたらきにくく、原尿からNa+を再吸収できなくなります。

すると体内のNa+量が少なくなるため、これも血圧が下げる方向にはたらいてくれるのです。

トリクロルメチアジドの炭酸脱水素酵素をブロックする作用は弱めだと言われていますが、このような作用も血圧を下げる事に一役買っています。

Ⅶ.血管平滑筋を緩める事で血圧を下げる

イルトラに含まれるトリクロルメチアジドの主な作用は前述の通りNa+の再吸収を抑える事です。これにより体内のNa+量(及び水分量)が減り、血圧が下がります。

しかしこのような作用は、確かに短期的には血圧を下げるものの、長期的に見ると身体が順応してしまう事でそこまで血圧を下げる効果は得られない事が確認されています。

ではトリクロルメチアジドの長期的な降圧作用はどのようにして得られるのでしょうか。

トリクロルメチアジドの長期的な降圧機序は明確には解明されていませんが、恐らく体内のNa+濃度を減少させる事により、副次的に細胞内 Ca2+(カルシウムイオン)濃度を低下させるためではないかと考えられています。

血管の周りは「平滑筋」という筋肉で覆われています。平滑筋が収縮すると血管が締め付けられるため血圧が上がり、平滑筋が弛緩すると血管が広がるため血圧は下がります。

この平滑筋の収縮は、平滑筋細胞内に Ca2+が流入する事が刺激になって生じます。

という事はトリクロルメチアジドによってCa2+濃度が減少すれば、平滑筋が収縮しにくくなるため、血圧は上がりにくくなるはずです。

これがトリクロルメチアジドの長期的な降圧作用の機序だと考えられています。

Ⅷ.尿路結石の再発防止・骨粗しょう症の予防

イルトラに含まれるトリクロルメチアジドの副次的な作用として、「尿路結石の予防作用」「骨粗しょう症の予防作用」があります。

これらの作用は強くはなく、おまけ程度の強さではありますが、尿路結石や骨粗しょう症を併発している方にとっては有難い作用です。

尿管結石はその名の通り、尿管に石が出来てしまい、それが尿管を詰まらせる事で腰背部の激痛が生じる疾患です。

尿管結石は、尿酸やリン酸、カルシウムなど、様々な成分が原因で生じますが、このうちカルシウム結石は尿中のカルシウムイオンの濃度が高いほど生じやすくなります。

Ca2+の尿中の排泄を低下させるトリクロルメチアジドは、カルシウム結石が尿中で生成されるのを防止する作用があるのです。

また骨粗しょう症は骨がもろくなってしまう疾患です。骨の構成成分の1つにカルシウムがありますので、Ca2+の尿中の排泄を低下させるトリクロルメチアジドは体内のCa2+の量を増やし、骨がもろくなりにくくする作用が期待できます。

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4.イルトラ配合錠の副作用

イルトラの副作用はどのようなものがあるのでしょうか。またイルトラは安全はお薬なのでしょうか、それとも副作用が多いお薬なのでしょうか。

イルトラの副作用発生率14.4%と報告されています。

生じうる副作用としては、

  • 高尿酸血症
  • じんましん
  • 顔面潮紅、ほてり
  • めまい
  • 低血圧
  • 肝機能障害

などがあります。

イルトラによって過度に血圧が下がり過ぎれば、めまいや低血圧が生じる事もあります。

血液検査数値の異常も生じる事があるためイルトラを長期間副作用されている方は定期的に血液検査などで検査異常が出現していないかをチェックしておくことが望ましいでしょう。

また、稀ですが重篤な副作用として

  • 血管浮腫(顔面、口唇、咽頭・喉頭、舌の腫脹など)
  • ショック、失神、意識消失
  • 高カリウム血症
  • 低ナトリウム血症
  • 腎不全
  • 肝機能障害、黄疸
  • 低血糖
  • 横紋筋融解症
  • 再生不良性貧血
  • 間質性肺炎、肺水腫

などが報告されています。

また、イルトラは

  • イルトラの成分及びチアジド系薬剤又はその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある方
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
  • 無尿の方または透析中の方
  • 急性腎不全の方
  • 体液中のナトリウム・カリウムが明らかに減少している方
  • ラジレスを投与中の糖尿病の方

は原則服薬することが出来ません。

イルトラに含まれるイルベサルタンは、妊婦さんに投与する事で児の奇形の発生率が高まるという報告があり、このような理由から妊婦さんへの投与は禁忌となっています。

イルトラに含まれるトリクロルメチアジドは尿の排泄を増やす事で血圧を下げるお薬ですので、尿が出ない状態の方には使用しても意味はありません。また腎臓に作用するお薬であるため、急性腎不全の方に使用すると腎機能を更に悪化させる危険があります。

トリクロルメチアジドはナトリウム、カリウムといった電解質の排泄をお薬によってコントロールするお薬ですので、低ナトリウム血症、低カリウム血症など、元々電解質に異常がある方が服用すると更に電解質の異常を悪化させてしまう危険があります。

最後の項目に関しては、どうしても他の降圧剤で治療できない高血圧症の方に限り、慎重に用いることは認められていますが、両者の併用が禁忌となっているのはラジレスとイルベサルタン(ARB)の併用で非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されているためです。

5.イルトラの用法・用量と剤形

イルトラには、

イルトラ配合錠LD (イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド1mg)
イルトラ配合錠BP (イルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド1mg)

の2剤形があります。

ちなみにLDは「Low Dose(低用量)」の略で、HDは「High Dose(高用量)」の略です。

また「イルトラ」という名称は、イルベサルタンの商品名である「『イル』ベタン」と、トリクロルメチアジドの商品名である「フルイ『トラ』ン」から来ています。

イルトラの使い方は、

成人には1日1回1錠を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。

となっています。

2つの成分を含むイルトラは高血圧治療を行う時に最初に用いてはいけません。まずはイルベサルタンやトリクロルメチアジドといった単剤で治療をはじめ、それでも効果不十分な時にのみ、イルトラのような合剤が検討されます。

またイルトラは午前中に服用する事が推奨されています。これは夕方や寝る前に服用してしまうと利尿作用によって夜中にトイレに行きたくなり、眠りが妨げられる可能性があるためです。

6.イルトラ配合錠が向いている人は

以上から考えて、イルトラが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

イルトラの特徴をおさらいすると、

【イルトラ配合錠の特徴】

・2つの降圧剤が含まれており、血圧を下げる力がしっかりしている
・1日1回の服薬でしっかりと効果が続く
・心臓・腎臓などの臓器保護作用がある
・糖尿病や高尿酸血症を多少改善させる作用がある
・尿管結石の発症を抑える作用や骨粗しょう症を予防する作用も多少ある

というものがありました。

イルトラは、ARBである「イルベサルタン」とチアジド系利尿剤である「トリクロルメチアジド」を合体させたお薬です。

2つの降圧剤を配合する事で高い降圧作用を発揮してくれます。

イルベサルタンはしっかりとした降圧作用があるだけでなく、心保護作用・腎保護作用といった臓器保護作用を持ち、また多少ですが血糖値や尿酸値を下げてくれる作用が期待できます。

またトリクロルメチアジドは程度は強くないものの利尿作用(尿量を増やす作用)を持ち、また尿路結石や骨粗しょう症を予防するという付加的な作用も期待できます。一方で腎機能が顕著に悪い方は注意が必要です。

ここから、

・心不全などの臓器の障害も合併している方
・糖尿病も合併している方
・痛風や高尿酸血症を合併している方
・尿路結石や骨粗しょう症を合併している方
・軽度のむくみを伴っている方

には良い効果を得られやすいお薬と言えます。

イルトラのような配合剤は2剤を配合することにより、1剤ずつで処方してもらうよりも薬価が安くなっており、この点も配合剤のメリットになります。

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