リオベル配合錠(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩・アログリプチン安息香酸塩)は2011年から発売されている糖尿病の治療薬になります。
「配合錠」という名称からも分かる通り、リオベルは複数の成分が配合された合剤になります。具体的にはアクトス(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩)とネシーナ(一般名:アログリプチン安息香酸塩)という2つをお薬を1錠にしたお薬です。
配合錠はお薬の数を少なくする事によってお薬の飲み間違いを減らしたり、お薬の錠数が多い事による心理的抵抗を軽減する効果が期待できます。
糖尿病治療薬にもたくさんの種類のお薬があります。これらの中でリオベルはどのような位置付けになるのでしょうか。
リオベル配合錠の特徴や効果・副作用、どのような方に向いているお薬なのかについてみていきましょう。
目次
1.リオベル配合錠の特徴
まずはリオベル配合錠の特徴について、かんたんに紹介します。
リオベル配合錠は「ネシーナ(アログリプチン)」と「アクトス(ピオグリタゾン)」の2つの成分が配合されている糖尿病治療薬です。
ネシーナは、インクレチンというホルモンの量を増やすことで、血糖を下げるお薬になります。
アクトスはPPARɤという受容体を活性化させる事によって、インスリンに頼ることなく血糖を下げてくれるお薬になります
リオベルには異なる作用機序を持つ2つの成分が配合されており、しっかりと血糖を下げて糖尿病を改善させてくれるお薬になります。
ネシーナは「DPP4阻害薬」という種類に属し、DPP4という酵素のはたらきをブロキックします。DPP4はインクレチンというホルモンを分解するはたらきがあるため、DPP4阻害薬はインクレチンを増やすお薬になります。
そしてインクレチンにはインスリンを分泌させるはたらきがあるため、ネシーナがインクレチンの分泌を促すとインスリンが増えます。
インスリンは血液中の糖分を筋肉や臓器などの組織に取り込ませる事で、血糖を下げるはたらきがあります。
つまりネシーナによってインクレチンが増えると、血糖値が下がるという事です。
アクトスは「チアゾリジン系」という種類に属し、PPARγという受容体を活性化させることで、血液中の糖分が組織に取り込まれるのを助け、血糖を下げやすくします。
また肝臓に蓄積されている糖が血液中に放出されるのを抑えたるはたらきもあります。
ネシーナもアクトスも重篤な副作用は少ないお薬ですが、アクトスは体内の水分を過剰にしてしまう傾向があるため、浮腫(むくみ)が生じやすい事が知られています。また体内に水が溜まりすぎると心不全になってしまう事もあるため、注意が必要です。
この副作用は特に女性に生じやすい事が知られています。
以上からリオベル錠の特徴として次のようなことが挙げられます。
【リオベル配合錠の特徴】
・DPP4阻害薬とチアゾリジン系の2つの成分を配合した合剤である
・DPP4阻害薬がインクレチンを増やし、血糖を下げる
・チアゾリジン系がPPARγを活性化させ血糖を下げる
・浮腫や心不全に注意(特に女性)
2.リオベル配合錠はどのような疾患に用いるのか
リオベル配合錠はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。
【効能又は効果】
2型糖尿病
ただし、ネシーナ(アログリプチン)及びアクトス(ピオグリタゾン)の併用による治療が適切と判断される場合に限る。
リオベルは血糖を下げるお薬ですので、糖尿病の治療に使われます。
糖尿病には1型と2型があります。
1型は自己免疫性の疾患で、膵臓に存在するβ細胞と呼ばれるインスリンを分泌する細胞が破壊されてしまう疾患です。β細胞が破壊されるとインスリンは分泌できないため、血糖は高くなってしまいます。
2型は一般的な糖尿病で、糖分を摂取しすぎたり肥満などによってインスリンの効きが悪くことで生じてしまうものです。
このうち、リオベルは2型糖尿病に対して用いられます。
リオベルは2つのお薬を1つにまとめた配合錠ですので、糖尿病の治療を行う際には「最初から投与してはいけない」という注意点があります。
糖尿病の薬物療法を行う際、いきなりリオベルを使うという事は、最初からお薬をいきなり2種類使うのと同じ事になります。
基本的にお薬は1つずつ効果や副作用を判定していくものですので、最初から一気に2種類を併用する事はあまりありません。
リオベルを投与するのは、
- ネシーナを投与しているけど効果がまだ不十分
- アクトスを投与しているけど効果がまだ不十分
- ネシーナとアクトスを投与していて落ち着いている
などといった場合になります。
リオベルは2型糖尿病に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。
お薬の効きには個人差があるため、「リオベルを飲むと必ずこれくらい下がります」という事は出来ませんが、一定期間の服用で、
- ネシーナはHba1cを0.6~0.8%ほど下げる
- アクトスはHba1cを1.0%ほど下げる(30mg投与で)
おおよそですがこのくらいの効果が得られると考えられています。リオベルはこの両者を配合したお薬ですので、両者を合わせたくらいHba1cを低下させる事が期待できます。
3.リオベル配合錠にはどのような作用があるのか
リオベルはインクレチンの分泌を促進する「ネシーナ」と、PPARγを活性化する「アクトス」の2つを成分を配合しています。
この2つの成分によって、リオベルはどのような作用が期待できるのでしょうか。ここではリオベルの詳しい作用について紹介します。
なおネシーナもアクトスも様々な作用を持ちますが、ここでは糖尿病の改善に関係する作用を中心に紹介させていただきます。
Ⅰ.インクレチンの分解を抑える
リオベルに含まれるネシーナ(アログリプチン)は、DPP4阻害薬という種類に属し、インクレチンの分泌を抑えるはたらきがあります。
DPP4阻害薬は、DPP4という酵素のはたらきをブロックするお薬になります。DPP4はインクレチンを分解する酵素になります。そのため、DPP4を阻害するとインクレチンが分解されにくくなり、インクレチンの量が増えます。
インクレチンは、私たちの身体の中に元々あるホルモンで、GLP-1(Glucagon-Like Peptide1)やGIP(Glucose-dependent Insulinotropic Polypeptide)などがあります。
インクレチンはインスリン(血糖を下げるホルモン)を増やしたり、グルカゴン(血糖を上げるホルモン)を減らすことで血糖値を下げるはたらきを持ちます。
インクレチンは、ただ血糖を下げる指令を出すだけではありません。インクレチンのすごいところは血糖が下がりすぎないような仕組みを持っていることです。
インクレチンは血糖が高い時だけ分泌され、血糖が低い時には分泌されないという仕組みを持っており、これによって血糖が高い時のみ血糖を下げ、血糖が低い時はそれ以上血糖を下げないのです。
糖尿病治療を行う際、低血糖を起こさないようにする事は非常に重要です。お薬で血糖値を下げ過ぎてしまうと低血糖症状(動悸や震えなど)が生じ、最悪の場合は意識レベルが低下したり命に関わる事もあります。
糖尿病治療薬の中でもSU薬などの古いお薬はインスリンそのものの分泌量を増やします。これはしっかりと血糖を下げますが、血糖が低い時も更に下げてしまうため、低血糖が生じる可能性は高くなります。
これに対してネシーナをはじめとしたDPP4阻害薬は、インスリンそのものを増やすのではなくインクレチンを増やすため血糖を下げ過ぎないという事が可能になり、低血糖のリスクを軽減させる事ができます。
Ⅱ.膵臓のβ細胞を保護する
リオベルに含まれるネシーナは、膵臓のβ細胞を保護する作用があると推測されています。
膵臓β細胞は血糖を下げるホルモンであるインスリンを作る細胞ですので、β細胞が保護されればインスリンの分泌がスムーズに行えるようになり、血糖は上昇しにくくなります。
実際、動物実験にてネシーナのようなDPP4阻害薬を投与すると、膵臓のβ細胞が増殖するという報告もあります。ヒトでも同じような効果がある可能性は十分にあり、今後の報告が待たれるところです。
糖尿病治療薬の中には、このβ細胞を傷付けてしまうものもあります。例えばβ細胞を直接刺激してインスリンを分泌させるお薬にSU薬(スルホニルウレア薬)があります。
SU薬は血糖を下げる力は強力で頼れるお薬なのですが、β細胞から無理矢理インスリンを「絞り出す」ような作用のため、長期的に見るとβ細胞を疲弊させてしまいます。実際、長期間SU薬を使用していると、だんだんとインスリンが出にくくなっていくことが知られており、これは「二次無効」と呼ばれています。
二次無効は、SU薬によってβ細胞がダメージを受けすぎた結果生じるものです。
これに対してネシーナのようなDPP4阻害薬は、β細胞を傷付けるのではなく保護するような作用があるため長期間使用できるお薬になります。
Ⅲ.インスリン抵抗性の改善
リオベルに含まれるアクトス(ピオグリタゾン)は、血液中の糖分(血糖)を筋肉や脂肪組織に取り込まれやすくするようにはたらきます。
組織に取り込まれた糖分は、身体活動をするためのエネルギー源として使われます。血糖が臓器に取り込まれやすくなると、血糖は下がりやすくなるため、糖尿病の改善が得られます
この作用は、アクトスがPPARɤという受容体を活性化させるためです。PPARɤが活性化するとTNF-αという物質のはたらきを抑えられます。
TNFαは様々な作用があるのですが、その1つにインスリンの効きを悪くしてしまう作用があります。つまり筋肉組織や脂肪組織に血糖が取り込まれないようにしてしまうのです。
アクトスはこのTNFαのはたらきを解除するため、血糖を下げる効果が得られるというわけです。
なお血糖を下げるホルモンであるインスリンも、「血液中の糖を臓器に吸収させる」はたらきをもっているため、アクトスはインスリンの効きを良くするという見方も出来ます。これを「インスリン抵抗性の改善」と呼びます。
アクトスは、インスリンがない状況でも筋肉・脂肪に糖を取り込ませることが出来ます。インスリンに頼ることなく血糖を下げる事が出来るため、インスリンの分泌能が弱くなってしまった方にも向いているお薬なのです。
またリオベルに含まれるネシーナも、インスリン抵抗性の改善作用がある事が報告されています。
Ⅳ.肝臓からの糖放出抑制
肝臓には糖分が貯蔵されています。
糖は体内では「グルコース」として存在していますが、これは肝臓において「グリコーゲン」として貯蔵されています。グリコーゲンはいざという時の予備のエネルギー源として取ってあるものです。
リオベルに含まれるアクトスは肝臓のグリコーゲンがグルコースに分解されて血液中に放出されるのを抑えます。
この作用も、血糖の上昇を抑えてくれるため糖尿病の改善に役立ちます。
Ⅴ.食欲抑制作用
リオベルに含まれるネシーナは食欲を抑える作用があることが知られています。
ネシーナの食欲抑制作用は、ネシーナがインクレチンの1種であるGLP-1を増やすためです。GLP-1は食欲中枢にはたらきかけ、食欲を抑えるはたらきがあることが報告されています。
Ⅵ.脂質を下げる作用
リオベルに含まれるアクトスはPPARγを活性化させる事により血糖値を下げる作用がありますが、同様に脂質を下げる作用も有します。
実はアクトスは最初は脂質を下げるお薬を探している中で見つかったお薬なのです。
生活習慣の乱れから糖尿病を発症してしまった方は、同様の理由で高脂血症を合併しやすい傾向がありますが、アクトスは血糖値も脂質も両方を下げてくれるのです。
4.リオベル配合錠の副作用
リオベルにはどのような副作用があるのでしょうか。またその頻度はどのくらいになるのでしょうか。
リオベルの副作用発生率は25.5%と報告されています。
生じる副作用としては、
- 浮腫(むくみ)
- 湿疹
- 悪心
- 胸やけ
- 腹痛
- めまい
- 便秘
- 頭痛
- 体重増加
などがあります。
症状がひどい場合はリオベルの減量あるいは中止となりますが、症状が軽度であればそのまま様子をみることもあります。
特に浮腫(むくみ)は女性、インスリンを併用している方、高用量のアクトスを使用している方で生じやすい事が知られています。
また検査値の異常として、
- BUN、Cr上昇(腎臓系の酵素)
- AST、ALT、ɤGTP上昇(肝臓系の酵素)
- BNP上昇(心臓系の酵素)
- 赤血球、白血球、血小板減少
- カリウム上昇
- 心拡大
- 心電図異常
などが生じる事がありますので、アクトス服用中は定期的に血液検査や胸部レントゲン、心電図検査を行うことが望ましいでしょう。
稀ですが重大な副作用として、
- 心不全の増悪あるいは発症
- 浮腫
- 肝機能障害、黄疸
- 低血糖
- 横紋筋融解症
- 間質性肺炎
- 急性膵炎
- 皮膚粘膜眼症候群(SJS)、多形紅斑
- 腸閉塞
- 類天疱瘡
- 胃潰瘍の再燃
などが報告されています。
リオベルは投与してはいけない方がいます。下記に該当する方はリオベルを服用できません(禁忌)ので、該当しないかどうか注意しましょう。
- 心不全の患者及び心不全の既往歴のある方
- 重篤な肝機能障害のある方
- 重篤な腎機能障害のある方
- リオベルの成分に対し過敏症の既往歴のある方
- 妊婦または妊娠している可能性のある方
リオベルに含まれるアクトスは浮腫(むくみ)を起こしやすいとお話ししましたが、これは身体の水分を過剰にしてしまうためです。身体の水分が過剰になると浮腫だけでなく心不全を発症する事もあります。そのため心不全のリスクが高い方には使用する事は出来ません。
またアクトスは主に肝臓で代謝されるため、肝機能が極めて悪いとアクトスが体内に蓄積しすぎてしまう可能性があります。そのため重篤な肝機能障害のある方にも使用する事は出来ません。
リオベルに含まれるネシーナは腎機能が悪いと血中濃度が高くなりすぎてしまう可能性があります。腎機能障害が中等度であればリオベルの量を減量して使用する事もできますが、重篤な腎機能障害の方はリオベルを使用する事は出来ません。
リオベルに含まれるアクトスは動物実験において胎児死亡率の増加、出生児生存率の低下が報告されているため、妊婦さんにも使う事は出来ません。
また下記に該当する方は、リオベルで治療するのではなくインスリン製剤による厳格な治療が必要になるため、同様にリオベルを使用することは出来ません。
- 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある方
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の方
ちなみにリオベルに含まれるアクトスは、一時期「膀胱がんを発症する恐れがある」として問題になりましたが、これは本当なのでしょうか。
現時点では「アクトスが膀胱癌の関係は明らかではない」というのが大筋の結論となっています。しかし長期間投与すると、その恐れはゼロとは言えないため一定の注意は必要になります。
ちなみに糖尿病自体も癌のリスク因子であり、糖尿病の経過が不良であると大腸がんや膵臓がんなどの癌を発生しやすくすることが指摘されています。
そのため「アクトスを使わなければ、癌になりにくくなる」と一概に言えるものではありません。
5.リオベルの用法・用量と剤形
リオベルは、
リオベル配合錠LD
リオベル配合錠HD
の2剤型があります。
それぞれネシーナ(アログリプチン)の配合量は変わりませんが、アクトス(ピオグリタゾン)の量が異なり、
- リオベル配合錠LD:ネシーナ25mgとアクトス15mg
- リオベル配合錠HD:ネシーナ25mgとアクトス30mg
となっています。
リオベルの使い方は、
通常、成人には1日1回1錠を朝食前又は朝食後に経口投与する。
となっています。
注意点として、腎機能が悪い方(中等症以上)は、ネシーナの血中濃度が高くなりすぎてしまう可能性があるため、配合剤であるリオベルは使用せず、どうしても必要な場合はネシーナとアクトスを各々単剤で慎重に服用する事となっています。
6.リオベル配合錠が向いている人は?
以上から考えて、リオベル配合錠が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。
リオベル配合錠の特徴をおさらいすると、
・DPP4阻害薬とチアゾリジン系の2つの成分を配合した合剤である
・DPP4阻害薬がインクレチンを増やし、血糖を下げる
・チアゾリジン系がPPARγを活性化させ血糖を下げる
・浮腫や心不全に注意(特に女性)
というものでした。
リオベルは「ネシーナ」と「アクトス」という2つの糖尿病治療薬が配合されたお薬ですので、お薬による治療を開始する際に、最初から投与する事は出来ません。
- ネシーナを投与しているけど効果がまだ不十分
- アクトスを投与しているけど効果がまだ不十分
- ネシーナとアクトスを投与していて落ち着いている
といった方が検討すべきお薬になります。
ネシーナ(DPP4阻害薬)とアクトス(チアゾリジン系)の両方が必要な糖尿病患者さんにとってリオベルは、お薬の量を減らす事ができ、飲み間違いや「お薬がたくさんあってイヤだ・・・」といった心理的抵抗を改善させるために効果的なお薬になります。
ネシーナもアクトスも血糖値を下げる作用はしっかりとしているため、リオベルは強力に血糖値を下げる事が出来ます。単独で使用した場合でもそれぞれHba1cをしっかりと低下させる力を持っているため、糖尿病を改善させるために頼もしいお薬になります。
ただしリオベルに含まれるアクトスは、
- 心不全の方
- 重篤な肝障害の方
- 重篤な腎障害の方
には使う事が出来ませんので、該当する方はリオベル(アクトス)以外の治療薬を用いるようにしましょう。
糖尿病のお薬にはいくつか種類がありますが、大きく分けると3種類に分けられます。
1つ目が、血糖を下げるホルモンである「インスリン」の分泌を促すことで血糖を下げようとするお薬です。これには「スルホニル尿素(SU)薬」「グリニド系(速効型インスリン分泌促進薬)」「DPP4阻害薬」「GLP1作動薬」などがあります。
2つ目は、インスリン自体を分泌させるのではなく、インスリンの効きを高めることで血糖を下げるお薬です。これには「ビグアナイド(BG)剤」「チアゾリジン誘導体」などがあります。インスリンの作用は血液中の糖分を筋肉や脂肪などに取り込ませることですが、同じように血液中の糖分を筋肉や脂肪に取り込ませやすくするのがこれらのお薬の主な作用になります。
最後が、糖分を吸収しにくくしたり排泄しやすくするお薬です。血糖の吸収を穏やかにする「αグルコシダーゼ阻害剤」や、尿から糖をたくさん出すようにする「SGLT2阻害薬」などがあります。
この中でリオベルは、DPP4阻害薬とチアゾリジン系の両方を含んだお薬になります。
7.お薬以外の糖尿病の治療法
お薬は疾患を治療するために重要な方法の1つです。
しかし糖尿病をはじめとした生活習慣病は、お薬だけでなく日々の生活を工夫する事も大切です。むしろこのような生活習慣の改善が主であり、お薬は補助的な役割だと考えるべきです。
実際に、糖尿病治療薬の添付文書には次のように書かれています。
本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
「まずは食事・運動療法を行って、それでも効果が不十分な時のみお薬は使ってね」という事です。
では糖尿病を改善させるためには、どのように食生活・運動習慣を気を付けていけばいいのでしょうか。大切なポイントをお話します。
Ⅰ.規則正しく・バランスの良い食事を
食事は規則正しく食べる事が大切です。朝食・昼食・夕食と1日3食規則正しく食べましょう。
「1日1食しか食べない」
「朝食を抜いている」
このような不規則な食生活をすると糖尿病をむしろ悪化させる事もあります。
1日に食べる量が同じでも、3食に分けて少しずつ食べるのと、1食でドカッと食べるのとでは血糖値の上がり方が異なります。一気に大量に食べると血糖値が急激に上昇するため、全身の臓器も痛みやすくなります。
また食事回数が少ないと、間食で補ってしまう事が多々あります。アメやチョコレート、スナックなど、間食には糖質を多く含むものが多く、これも糖尿病をかえって悪化させます。
食事は、よく噛んでゆっくり食べる事も大切です。ゆっくり食べればゆっくり血糖値が上昇していきますので、急いで食べるよりも臓器への負担も少なくなります。
また食事内容のバランスも大切です。
近年は糖質制限などがもてはやされていますが、糖質はエネルギーとしてある程度は必要になります。極端な偏食をするのではなく、バランス良く摂取するようにしましょう。
推奨されているバランスは、
炭水化物:たんぱく質:脂質=45~60%:10~20%:25~35%
程度と言われています。
一人暮らしなどで食事バランスを十分に考えられないという方は、配食を利用するのも手です。近年はバランスが考えられた食事を冷凍で自宅まで送ってくれる業者もあります。
▽ ウエルネスダイニング【低糖質・低カロリーご飯を配食してくれます】
ウエルネスダイニングでは、低糖質のご飯を配送してくれます。普通の米飯は1膳で250kcal(糖質55g)ほどありますが、こちらの米飯は1膳192kcal(糖質43.2g)に抑えられています。1日(3食)で考えれば約180kcalほど違ってきます。
彩ダイニングでは、糖尿病の方に向けた副食(おかず)を配送してくれます。1食240kcalに抑えて作られており、炭水化物・タンパク質・脂質も理想的なバランスになるよう考えられています。
種類もたくさんあるため、飽きずに続ける事が出来ます。
Ⅱ.野菜を先に食べよう
食事を食べる際に、普通に食べるのと、野菜を先に食べて糖質を後で食べるのとでは後者の方が糖尿病が改善しやすいという報告があります。
これは野菜を先に食べる事で血糖値の上昇が緩やかになるためだと考えられています。
食事は野菜から先に食べるようにしましょう。
生活習慣上なかなか野菜を先に食べれないという方は、サプリメントを利用するという方法もあります。
ベジファスは野菜に含まれる食物繊維を多く含んだゼリーで食事前に簡単に服用する事できます。ベジファスを最初に取る事で、血糖値の上昇を抑え、糖尿病を改善させやすくします。
Ⅲ.カロリー制限を
自分が1日に摂取してよいカロリーの上限を意識しておきましょう。
成人であればおおよそ1200~2000kcal/日になりますが、どのくらいのカロリーを摂取して良いかはその人の身長や活動量によって異なります。
摂取カロリーの決め方は「BMI×身体活動量」で簡易的に計算できます。
BMIは身長によって設定されている標準体重(理想的な体重)の事で、「BMI=身長(m)×身長(m)×22」で計算できます。
身体活動量は、日常で身体をどれくらい動かしているかで、
・軽労作:デスクワークが主・主婦など:25~30kcal
・中等度労作:立ち仕事が多い:30~35kcal
・重労作:力仕事が多い:35kcal~
と分けられます。
下表で自動で計算できますので、自分の1日摂取カロリーの上限を計算してみましょう。
[CP_CALCULATED_FIELDS id=”6″] |
どうしても甘いものや炭水化物食を食べてしまうという方は、最近はカロリーゼロスイーツや低糖質食など工夫された食事もありますので、無理な制限をするのではなく、このような食べ物を上手に利用するのも手です。
糖尿病で食事制限をしているけど、ラーメンが食べたい、という時にお勧めです。一般的なとんこつラーメンは800kcal程度ありますが、このラーメンは糖質を極限までカットしており麺とスープを合わせても約300kcalと超低カロリーになっています。
味は、やはり一般的なラーメンと比べるとやや物足りなさを感じる方もいらっしゃいますが、アンケートでも高い満足度が得られています。
くずもち、わらびもち、あんみつ、ようかん、おしるこなど、年配の方が好まれる和菓子を超低カロリーで作っています。
Ⅳ.適度な運動を
血糖値を下げるためには適度な運動も必要です。
理想は毎日ですが、毎日まで行かなくても週3回以上、1回30分以上の運動習慣を目指しましょう。
無理な運動習慣は長続きしませんので、無理なく続けられる程度の運動を設定する事が大切です。
- 毎日公園を散歩する
- プールでゆっくり泳ぐ
- ゆっくりジョギングやサイクリングする
などの負荷の低い運動でも十分に効果があります。日々続けていく事が何よりも大切です。