ロルカムの効果と副作用【非ステロイド性消炎鎮痛剤】

ロルカム(一般名:ロルノキシカム)は2001年から発売されているお薬で、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)という種類に属します。

「非ステロイド性消炎鎮痛剤」というと難しい名前ですが、いわゆる「痛み止め」「熱さまし」として使われているお薬のことです。ステロイドでないお薬で、炎症を和らげ痛みを抑えるはたらきを持つものを非ステロイド性消炎鎮痛剤と呼びます。

NSAIDsにはたくさんの種類があります。どれも大きな違いはありませんが、細かい特徴や作用には違いがあり、医師は痛みの程度や性状に応じて、その患者さんに一番合いそうな痛み止めを処方しています。

NSAIDsの中でロルカムはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここでは、ロルカムの効能や特徴、副作用などを紹介していきます。

 

1.ロルカムの特徴

まずはロルカムの特徴を紹介します。

ロルカムは炎症を抑える事で解熱(熱さまし)・鎮痛(痛み止め)作用を持ちます。NSAIDsの中で効果は強めであり、また即効性に優れるという特徴があります。

ロルカムはNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)と呼ばれるお薬で、消炎(炎症を抑える)作用を持ちます。NSAIDsの中でも「オキシカム系」という種類に属し、同種のNSAIDsの中で作用は強めの部類に入ります。

NSAIDsの主な用途としては、炎症を抑える事で、

  • 解熱(熱さまし)
  • 鎮痛(痛み止め)

を目的として投与されます。

ロルカムの最大の特徴は、その作用時間の速さにあります。服用してから血中濃度が最大になるまでにかかる時間は0.58時間(空腹時)であり、これはNSAIDsの中でもトップクラスの速さです。体感的には15~20分程度で効果を感じられる事が多いようす。

これはロルカムはお薬の溶出性を工夫し、素早く体内に吸収されるように設計されているためです。服用後、素早く効果が欲しいという方にはオススメしやすいお薬になります。

ほとんどのNSAIDsに言えることですが、NSAIDsは副作用としては胃腸を痛めてしまうことがあります。もちろんロルカムにもこの副作用が生じる可能性はあり、特に大量に服用していたり長期間服用している場合は注意が必用です。

またNSAIDsは喘息を誘発しやすくすることが知られており、喘息の方にはできるだけ服用しない方が良いでしょう。

以上からロルカムの特徴として次のような点が挙げられます。

【ロルカムの特徴】

・鎮痛作用(痛みを抑える)、解熱作用(熱を下げる)は強め
・即効性に優れる
・副作用の胃腸障害に注意(他のNSAIDsと同様)
・喘息の方は使用に注意(他のNSAIDsと同様)

 

2.ロルカムはどのような疾患に用いるのか

ロルカムはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、頸 肩腕症候群、肩関節周囲炎

2.手術後、外傷後及び抜歯後の消炎・鎮痛

ロルカムは、消炎鎮痛剤ですから、炎症によって生じる症状を抑えるために用いられます。

実臨床では、

  • 痛みを抑える
  • 熱を下げる

のどちらかの目的で投与される事がほとんどです。

適応疾患には難しい病名がたくさん書かれていますが、おおまかな理解としては「痛みや腫れなどが出現する疾患に対して、その症状の緩和に用いる」という認識で良いでしょう。

ロルカムの有効率は、

  • 関節リウマチへの有効率は26.0%
  • 変形性関節症への有効率は76.9%
  • 腰痛症への有効率は70.2%
  • 頸腕症候群への有効率は58.0%
  • 肩関節周囲炎への有効率は55.6%
  • 手術後疼痛への有効率は90.3%
  • 外傷後疼痛への有効率は80.0%
  • 抜歯後疼痛への有効率は81.4%

と報告されています。

ただし上記疾患にロルカムが有効なのは間違いありませんが、注意点としてロルカムを始めとするNSAIDsは根本を治す治療ではなく、あくまでも対症療法に過ぎないことを忘れてはいけません。

対症療法とは、「症状だけを抑えている治療法」で根本を治している治療ではありません。

例えば腰の筋力低下によって腰痛が出現している方に対してロルカムを投与すれば、確かに痛みは軽減します。しかしこれは原因である腰部の筋肉低下を治しているわけではなく、あくまでも発痛を起こしにくくしているだけに過ぎません。

対症療法が悪い治療法だということはありませんが、対症療法だけで終わってしまうのは良い治療とは言えません。対症療法と言われて、根本を治すような治療も併用することが大切です。

例えば先ほどの腰痛であれば、ロルカムを使用しつつも、

  • 適度な運動・リハビリをする
  • 栄養をしっかり取る

などの根本的な治療法も併せて行う必要があるでしょう。

 

3.ロルカムにはどのような作用があるのか

ロルカムは「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」という種類に属しますが、NSAIDsの作用は、その名のとおり消炎(炎症を抑える)ことで鎮痛する(痛みを抑える)事になります。

ロルカムも他のNSAIDsと同様に中枢性の鎮痛作用と末梢性の消炎作用を有しています。その作用機序について説明します。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。

ロルカムは、炎症の原因が何であれ、炎症そのものを抑える作用を持ちます。つまり、発赤・熱感・腫脹・疼痛を和らげてくれるという事です。

具体的にどのように作用するのかというと、ロルカムなどのNSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という物質のはたらきをブロックするはたらきがあります。

COXは、プロスタグランジン(PG)が作られる時に必要な物質であるため、COXがブロックされるとプロスタグランジンが作られにくくなります。

プロスタグランジンは炎症や痛み、発熱を誘発する物質です。そのため、ロルカムがCOXをブロックすると炎症や痛み、発熱が生じにくくなるのです。

ロルカムはCOXのはたらきをブロックする事で炎症を抑え、これにより

  • 熱を下げる
  • 痛みを抑える

といった効果が期待できます。そのためロルカムのようなお薬を「COX阻害薬」と呼ぶ事もあります。

 

4.ロルカムの副作用

ロルカムにはどんな副作用があるのでしょうか。

ロルカムの副作用発生率は、5.02~14.0%と報告されております。

主な副作用としては、

  • 腹痛
  • 腹部不快
  • 吐き気
  • 胃炎
  • 肝機能障害(AST、ALTなどの上昇)
  • 発疹
  • 浮腫

などががあります。

ロルカムをはじめとしたNSAIDsには共通する副作用があります。

もっとも注意すべきなのが「胃腸系の障害」です。これはNSAIDsがプロスタグランジンの生成を抑制するために生じます。

プロスタグランジンは、実は胃粘膜を保護するはたらきを持っているため、NSAIDsによってこれが抑制されると胃腸が荒れやすくなってしまうのです。

胃痛や悪心などをはじめとして、胃炎や胃潰瘍・大腸炎などになってしまうこともあります。このため、NSAIDsは漫然と長期間使用し続けないことが推奨されています。

頻度は稀ですが重篤な副作用としては、

  • 消化性潰瘍、小腸・大腸潰瘍
  • ショック、アナフィラキシー様症状
  • 血小板減少
  • 皮膚粘膜眼症候群(SJS)
  • 急性腎不全
  • 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸

などが記載されています。重篤な副作用は稀ではあるものの絶対に生じないわけではありません。ロルカムの服薬がやむを得ず長期にわたっている方は、定期的に血液検査にて血球異常や肝機能・腎機能などのチェックを行う必要があります。

また、ロルカムは次のような方には禁忌(絶対に使ってはダメ)となっていますので注意しましょう。

1.消化性潰瘍のある方
2.重篤な血液の異常のある方
3.重篤な肝障害のある方
4.重篤な腎障害のある方
5.重篤な心機能不全のある方
6.重篤な高血圧症のある方
7.ロルカムに過敏症の既往歴のある方
8.アスピリン喘息又はその既往歴のある方
10.妊娠後期の婦人

胃を荒らす可能性のあるお薬ですので、胃腸に潰瘍がある方はそれを更に増悪させる可能性がありますので、用いてはいけません。

また心臓、肝臓、腎臓といった臓器にダメージを与える可能性がありますので、これらの臓器に重篤な機能不全がある場合もロルカムは用いてはいけません。

また動物実験においてロルカムを妊娠後期に投与すると、胎児動脈管収縮、分娩遅延、妊娠期間の延長などが生じる可能性があることが報告されています。

 

5.ロルカムの用法・用量と剤形

ロルカムは次の剤型が発売されています。

ロルカム錠 2mg
ロルカム錠 4mg

また、ロルカムの使い方は適応疾患によって異なります。

1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎

の場合は、

通常、成人には1回4mgを1日3回食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日18mgを限度とする。

となっています。また、

2.手術後、外傷後及び抜歯後の消炎・鎮痛

の場合は、

通常、成人には1回8mgを頓用する。ただし、1回量は8mgまで、1日量は24mgまで、投与期間は3日までを限度とする。また、空腹時の投与は避けることが望ましい。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

とされています。

ロルカムを初めとしたNSAIDsは空腹時に投与すると、胃腸へのダメージが更に生じやすくなるため、なるべく空腹時には服用しない事が推奨されています。

 

6.ロルカムが向いている人は?

ロルカムはどのような方に向いているお薬なのでしょうか。

ロルカムの特徴をおさらいすると、

・鎮痛作用(痛みを抑える)、解熱作用(熱を下げる)は強め
・即効性に優れる
・副作用の胃腸障害に注意(他のNSAIDsと同様)
・喘息の方は使用に注意(他のNSAIDsと同様)

といった特徴がありました。

基本的にNSAIDsは、どれも大きな差はないため、処方する医師が使い慣れているものを処方されることも多々あります。

効果がしっかりとしており、更に即効性に優れるロルカムは、

  • 短時間で痛みをしっかりと抑えたい場合

に対して用いるお薬として向いているのではないでしょうか。