酸化マグネシウム錠の効果と副作用【下剤】

酸化マグネシウム(一般名:酸化マグネシウム)は1986年から発売されている下剤で、主に便秘の方に用いられています。

便を柔らかくする作用に優れ、古いお薬でありながら現在でも広く用いられています。基本的には副作用が少ないお薬ですが、高齢者の方や腎機能が悪い方に長期間・高用量の投与を続けているとマグネシウムを身体に蓄積させてしまい、高マグネシウム血症を引き起こす事もあるため、一定の注意が必要な下剤になります。

酸化マグネシウムはどんな特徴のある下剤で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。

酸化マグネシウムの効特徴や効果・副作用などについて説明します。

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1.酸化マグネシウムの特徴

まずは酸化マグネシウムの特徴についてみてみましょう。

酸化マグネシウムは「下剤」というイメージを持たれている方が多いと思いますが、実は酸化マグネシウムには下剤以外にもいくつかの作用があります。

主な用途は下剤であり、これは主に便秘に対して用いられます。酸化マグネシウムは、下剤の中では「機械的下剤」という種類に属します。

お薬で便秘を改善させるためには、主に次の2つの方法が取られます。

  • 便に水分を含ませることで便を柔らかくする
  • 大腸の動きを活性化させる

実際、現在発売されている下剤のほとんどは、この2つのどちらかの作用を持っています。

酸化マグネシウムはというと、便に水分を含ませることで便を柔らかくし、排便を促すお薬になります。

酸化マグネシウムは腸管内の水分量を増やすように作用します。これによって腸管内にある便が多くの水分を含むようになるため、便が柔らかくなります。便は硬いとなかなか出せませんが、柔らかくなると排便しやすくなるため、便秘が改善するという仕組みです。

このように便に水分を含ませて柔らかくし、物理的に排便を促すお薬を「機械的下剤」と呼び、酸化マグネシウムもその1つになります。

つまり、酸化マグネシウムは便が硬くなっていて便秘になっている方に向いている下剤だという事が出来ます。

機械的下剤のメリットの1つに「耐性が生じないこと」が挙げられます。

下剤には機械的下剤の他にも、「大腸刺激性下剤」というものがあります(プルゼニド、アローゼンなど)。これらは効果は強力なのですが、使い続けていると耐性(慣れ)が生じて、徐々に効きにくくなってくるという特徴があります。

その点、酸化マグネシウムは長期間続けても耐性が生じません。下剤は長期間続ける事も多いため、これはとてもありがたい特徴になります。

デメリットとしては酸化マグネシウムはマグネシウムからなる製剤であるため、「抗マグネシウム血症」が生じるリスクがある点が挙げられます。

酸化マグネシウム中のマグネシウムは、微量ではありますが体内に吸収されるため、酸化マグネシウムの使用を続けていると血中のマグネシウム濃度が高くなってしまう事があるのです。

頻度は稀ですが、腎機能が悪い方や高齢者などでは高マグネシウム血症になってしまうリスクが高くなりますので、慎重に使用する必要があります。

高マグネシウム血症のリスクが高い方は定期的に血液検査で血中マグネシウム値を測定する事が望まれます。

日本では多く用いられている酸化マグネシウムですが、このような理由から実は海外ではマグネシウム製剤は便秘症に対して一般的ではありません。

また酸化マグネシウムは他の下剤と異なり、下剤以外の作用も持っています。

具体的には、

  • 制酸作用(胃酸のはたらきを抑える)
  • 尿路結石予防作用

などがあります。

そのため、胃腸症状(胃痛、胃もたれなど)や尿路結石と便秘の両方で困っている方には酸化マグネシウムは一石二鳥の効果が期待できます。

またこれは多くの下剤に当てはまることなのですが、下剤は価格がかなり安いのもメリットです。薬局で購入する下剤と比べると非常に安価になります。

ここから酸化マグネシウムの特徴として次のようなことが挙げられます。

【酸化マグネシウムの特徴】

・便に水分を含ませ、柔らかくする作用がある
・制酸作用もある
・尿路結石(シュウ酸結石)を予防する作用もある
・大腸刺激性下剤と異なり、耐性を形成しない
・高齢者や腎機能の悪い方は高マグネシウム血症に注意
・薬価が安い

2.酸化マグネシウムはどのような疾患に用いるのか

酸化マグネシウムはどのような疾患に用いられるのでしょうか。

【効能又は効果】

・下記疾患における制酸作用と症状の改善

胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)

・便秘症
・尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防

酸化マグネシウムの主な用途は下剤であり、「便秘症」になります。

酸化マグネシウムは、便に水分を含ませることで便を柔らかくして排便を促します。そのため便が硬くなっているタイプの便秘に良く効きます。

具体的には食生活のかたよりや食物繊維不足・水分不足などで、便が硬くなってしまっている患者さんなどが対象として挙げられます。

また酸化マグネシウムには制酸作用(胃酸のはたらきを抑える作用)があります。これは酸化マグネシウムが胃酸を中和してくれるためで、これにより各種胃炎や胃潰瘍の改善が期待できます。

意外な作用としては、尿路結石の1つであるシュウ酸カルシウム結石の発生を予防する作用があります。しかし実際はこの作用だけを狙って酸化マグネシウムを投与することはほとんどありません。

その理由はこのシュウ酸カルシウム結石予防に対する効果が臨床感覚としても今ひとつであり、その効果を報告している研究も少ないからです。

ただしシュウ酸カルシウムは尿路結石の原因として非常に多く75〜80%ほどとも言われています。

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3.酸化マグネシウムの作用機序

主に便秘症に対して用いられる酸化マグネシウムですが、どのような作用機序を有しているのでしょうか。

マグネシウム製剤というと下剤としての印象が強いと思いますが、実はマグネシウム製剤には下剤以外にもいくつかの作用を持っています。

酸化マグネシウムの主な作用を紹介します。

Ⅰ.制酸作用

酸化マグネシウム(MgO)は、胃内で胃酸(HCl)と反応することで、水(H2O)と塩化マグネシウム(MgCl)になります。

【化学式】 MgO+2HCl=H2O+MgCl2

胃酸が中和されるため、これは胃酸のはたらきを弱める作用になります。これが制酸作用です。

制酸作用は、強力な酸である胃酸が悪さをしてしまっているような状況で役立ちます。

例えば胃炎では何らかの原因で胃の壁(胃壁)に炎症が生じています。この時、強力な酸である胃酸が胃壁に接触してしまうと、炎症部はより悪化してしまいます。

酸化マグネシウムによって胃酸のはたらきを弱めてあげれば、胃酸が悪さをしにくくなるため、胃炎が治りやすくなります。

酸化マグネシウムは胃内で高い制酸作用を示しますが、水に不溶性のため制酸作用に即効性はなく、その効果はゆっくりと長く発揮されます。

Ⅱ.緩下作用

下剤としての作用です。

胃酸により酸化マグネシウム(MgO)は塩化マグネシウム(MgCl2)に変換されると先ほどお話ししました。

更にこの塩化マグネシウムは膵液によって炭酸マグネシウムに変換されます。

この炭酸マグネシウムは腸において、水分が腸管内から体内に移動しないようにするはたらきを持ちます。すると多くの水分が腸管内に残るため、便は水分を多く含むようになり、柔らかくなっていきます。

また、腸管内に水分が多くなることによって便が水分を含んで膨張すれば、膨張した便が腸管壁を刺激するため、腸管の動きを活性化させる作用も期待できます。

Ⅲ.シュウ酸カルシウム結石の発生予防

あまり知られていませんが、実は酸化マグネシウムには尿路結石の発生予防作用があります。

といっても尿路結石全ての発生を予防してくれるわけではありません。

尿路結石の中でも「シュウ酸カルシウム」が原因で作られる結石を予防します。尿路結石のうち、シュウ酸カルシウムが原因となっている結石は非常に多く、尿路結石全体の75〜80%ほどを占めます。

酸化マグネシウムは腸管内でシュウ酸と結合して、シュウ酸が体内に取り込まれないようにします。また酸化マグネシウムは尿中でもシュウ酸と結合することで尿に溶けやすい物質になり、シュウ酸結石の析出を防ぎます。

4.酸化マグネシウムの副作用

酸化マグネシウムにはどんな副作用があるのでしょうか。

基本的に酸化マグネシウムは安全性が高く、副作用はほとんどありません。

酸化マグネシウムの作用は主に腸管内に限られ、体内には微量しか吸収されません。そのため、生じる副作用もほとんどが胃腸系の副作用になります。

具体的な副作用としては、

  • 腹痛
  • 下痢

などが報告されています。いずれも酸化マグネシウムが効きすぎてしまって生じる副作用だと考えられ、酸化マグネシウム量を適量に減量すれば多くの場合で改善します。

頻度は稀ですが、注意すべき重篤な副作用としては、

  • 高マグネシウム血症

が報告されています。

酸化マグネシウムは微量ではありますが、腸管内から体内に吸収されます。下剤は長期間・慢性的に投与されることも多いため、服用を長く続けていると血中のマグネシウム濃度が上がってくることがあります。

健常な方に、酸化マグネシウムの量を適正量にしていれば高マグネシウム血症に遭遇することはまずありませんが、絶対に起こさないとは言えません。

酸化マグネシウム服薬中は定期的に血液検査をして、血中マグネシウム濃度を測定しておくことが安全でしょう。特に高齢者や腎機能が元々悪い方は注意が必要です。

腎機能が正常であれば、過剰なマグネシウムは腎臓で処理され、適切に排出されるため高マグネシウム血症になる危険性はほとんどありません。しかし腎機能が悪くなっていると、マグネシウムを適切に排出しにくくなるため、高マグネシウム血症になるリスクが上がってしまうのです。

ちなみに血清マグネシウムの正常値は1.8~2.6mg/dL前後です。

血清マグネシウム値が5.0mg/dLを超えると、倦怠感、筋力低下、腱反射の減弱、起立性低血圧、徐脈などが生じます。

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5.酸化マグネシウムの用法・用量と剤形

酸化マグネシウムには、

酸化マグネシウム末

酸化マグネシウム細粒83%

酸化マグネシウム錠 250mg
酸化マグネシウム錠 330mg

といった剤型があります。

使い方としては、

【制酸剤として使用する場合】
通常成人1日0.5~1.0gを数回に分割経口投与する。

【緩下剤として使用する場合】
通常成人1日2gを食前又は食後の3回に分割経口投与するか、又は就寝前に1回投与する

【尿路シュウ酸カルシウム結石の発生予防に使用する場合】
通常成人1日0.2g~0.6gを多量の水とともに経口投与する

なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。

と書かれています。

散剤は口の中で不快感(ザラザラ感)を感じる事があり、そのため錠剤の方がよく用いられています。

しかし錠剤を飲み込むのが苦手な方(高齢者など)には散剤の方が使いやすいこともあり、状況に応じて使い分けられています。

酸化マグネシウム末というのは、酸化マグネシウムの「原末(ほぼ100%)」の粉です。対して酸化マグネシウム細粒は83%に薄めた粉になります。

6.酸化マグネシウムが向いている人は?

以上から考えて、酸化マグネシウムが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

酸化マグネシウムの特徴をおさらいすると、

・便に水分を含ませ、柔らかくする作用がある
・制酸作用もある
・尿路結石(シュウ酸結石)を予防する作用もある
・大腸刺激性下剤と異なり、耐性を形成しない
・高齢者や腎機能の悪い方は高マグネシウム血症に注意
・薬価が安い

というものでした。

酸化マグネシウムは機械的下剤であり、便に水を含ませて柔らかくし、排便させるはたらきを持ちます。そのため、便が硬くて出なくなっている方に向いているお薬だと言えます。

酸化マグネシウムは耐性が生じない事が大きなメリットで、そのため長期服薬が続きそうな方には比較的使いやすいお薬です。

また胃炎や胃潰瘍、胃酸過多と便秘を併発している方にとっては、酸化マグネシウム1剤で制酸作用と排便作用が得られるため、良い適応となります。

一方で酸化マグネシウムは、高齢者や腎機能が悪い方へ使用を続けると、高マグネシウム血症を生じるリスクが上がりますので、腎臓が悪い方にはあまり向かないお薬になります。

基本的に酸化マグネシウムをはじめとした下剤は、ずっと使うものではありません。やむを得ず長期服用になるケースもあるのが現状ですが、酸化マグネシウムを使用しながらも、排便に良いと思われる生活習慣の改善(運動、食生活の是正など)は並行して行っていきましょう。

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