メルスモンの効果と副作用【プラセンタ注射】

メルスモン(一般名:ヒト胎盤由来成分)は1959年より発売されているお薬で、いわゆる「プラセンタ」と呼ばれるお薬です。

保険適応としては更年期障害や乳汁分泌不全といった婦人科系疾患の治療薬ですが、これらの疾患以外でも美容や疲労回復の目的で保険外診療(自費診療)で投与される事もあります。プラセンタというと美容のための物質というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

現状としてはむしろ保険外での投与が多くなっているメルスモンですが、このお薬はどのような特徴があってどのような作用機序を持っているのでしょうか。

ここではメルスモンの効果や特徴・副作用についてみていきましょう。

スポンサーリンク

1.メルスモンの特徴

まずはメルスモンというお薬の特徴について説明します。

メルスモンはヒトの胎盤から採取した物質になります。メルスモンはプラセンタですが、この「プラセンタ(Placenta)」という用語も「胎盤」という意味です。

では胎盤って何でしょうか。胎盤は妊婦さんの子宮内に形成される組織で、子宮内にいる赤ちゃんとお母さんをつなぐはたらきがあり、赤ちゃんのために豊富な栄養源を送ったり、ばい菌が赤ちゃんの体内に侵入しないように守ったりする役割を担っています。

赤ちゃんは胎盤から送られてくる栄養をもとに子宮内で成長していきます。そのため胎盤の中には非常に豊富な栄養素が流れています。赤ちゃんが成長するために必要な物質が流れているわけですから、ヒトに必要な物質はほぼすべて含まれているといっても良いわけです。

この胎盤のエキスを抽出したものがプラセンタです。

プラセンタというのは何か単一の物質を指しているわけではありません。胎盤に含まれる豊富な栄養素をすべて含めて「プラセンタ」と呼んでいるのです。

ヒトの胎盤から抽出されたエキスであるメルスモンは、医療的には更年期障害や乳汁分泌不全への適応を持っています。

プラセンタの自律神経やホルモンバランスを整える作用によって、更年期障害で生じる種々の症状(のぼせ、抑うつ、イライラなど)や乳汁分泌不全を改善させる事が期待できます。

しかしメルスモンは更年期障害や乳汁分泌不全の治療に特化した物質ではありません。赤ちゃんを成長させるために必要な栄養源を豊富に含むヒト胎盤から抽出されているわけですので、それ以外の作用ももちろん期待できます。

プラセンタで報告されている作用としては、

  • 細胞の再生を促す(新陳代謝を促し、アンチエイジング効果が得られる)
  • 皮膚細胞の再生を促す(皮膚のハリやツヤが改善する)
  • 抗アレルギー作用
  • 免疫増強作用(ばい菌に対する抵抗力が高まる)
  • 活性酸素を除去する(細胞を傷付ける活性酸素を減らす)
  • 血行を改善させる

などがあり、その効果は多岐に渡ります。

これらの作用は特に美容領域で注目されており、「若返りエキス」「アンチエイジング注射」として投与を希望される方が多くいらっしゃいます。残念ながらこのような用途は保険的な適応にはならないため保険外(自費)診療になりますが、美容や疲労回復といった効果ももちろん期待できます。

メルスモンは副作用もほとんどありません。よく考えればそれは当たり前で、メルスモンはヒトの胎盤から抽出されていて本来は赤ちゃんに届くはずのものです。それが危険なものだったら大変ですよね。

ただしヒトから採取しているものですので、感染症のリスクがある事は覚えておかないといけません。つまり、採取元の妊婦さんに何らかの感染症があった場合、それが移ってしまうリスクがゼロではないという事です(輸血で感染症にかかるリスクがある事と同じです)。

製造の過程で感染症のチェックは厳格に行っており、1959年に発売されてから国内・海外でそのような報告は一例もありません。今までの実績から感染症が生じる可能性は極めて低いとは言えますが、ゼロでない事は知っておく必要がなります。

以上からメルスモンの特徴を挙げると次のようになります。

【メルスモンの特徴】

・ヒト胎盤エキス(プラセンタ)である
・細胞の再生や血行促進、免疫増強・抗アレルギー作用などがあり美容領域でよく用いられる
・医療的には更年期障害や乳汁分泌不全に用いられ、自律神経を整えたりホルモンバランスを整える作用が期待できる
・ヒトから抽出されているものであり安全性は高い

スポンサーリンク

2.メルスモンはどんな疾患に用いるのか

メルスモンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

更年期障害、乳汁分泌不全

メルスモンはヒトの胎盤から採取している物質で、含まれている成分は単一の成分ではありません。ヒトの胎盤に含まれる豊富な栄養素が含まれています。

そのためメルスモンは更年期障害や乳汁分泌不全に対する特効薬というわけではありません。豊富な栄養素を補給する結果、これらの疾患の症状が和らぐという事です。

更年期障害は閉経後の女性に生じる心身の不調で、閉経によって女性ホルモンのバランスが大きく変化する事で生じます。漢方薬や抗うつ剤、ホルモン剤などが使用されますが、プラセンタも効果が期待できます。

乳汁分泌不全は、出産後に乳汁の分泌が悪くなってしまう状態の事で、ホルモンバランスの崩れなどが原因としてあげられています。メルスモンはホルモンバランスを整える効果が期待できるため、乳汁分泌不全にも効果を期待できます。

メルスモンはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

上記疾患に対してメルスモンを投与した調査では、

  • 更年期障害に対する有効率は77.4%
  • 乳汁分泌不全に対する有効率は68.6%

と報告されており、いずれもプラセボ(何の成分も入っていない偽薬)と比べて有意差を持って効果が認められた事が示されています。

一方で保険外にはなりますが、細胞の再生を促す事によるアンチエイジング効果や免疫増強効果、血行促進効果なども期待できます。このような効果を期待して注射する場合は、保険外(自費)診療での投与となります。

3.メルスモンにはどのような作用があるのか

メルスモンは具体的にどのような作用を有しているのでしょうか。

メルスモンの作用機序について紹介します。

メルスモンはいわゆる「プラセンタ」ですが、そもそもプラセンタとはどういったものかご存知でしょうか。

プラセンタ(Placenta)というのは「胎盤」という意味です。胎盤というのは妊娠中の女性と赤ちゃんをつないでいる組織です。赤ちゃんには多くの栄養を送らないといけませんので、プラセンタ(胎盤)の中には豊富な栄養が含まれています。

これを利用しようとして生まれたのがメルスモンになります。

そもそもヒト胎盤が医学的に用いられるようになったのは、1950年ごろからです。当初は「組織療法」と呼ばれていました。これはプラセンタを皮下組織に注射する事で、

  • 新陳代謝の改善
  • 血行促進
  • 免疫力増強

といった効果を得る治療法になります。プラセンタはこのように昔から使われていました。

更に昔の歴史を振り返ると、「医学の父」と呼ばれているヒポクラテスも病気の治療にプラセンタを用いていたという記録があり、はるか昔から身体にとって良い作用のあるものであるという事は経験的に知られていたようです。

またクレオパトラや楊貴妃といった歴史上の美女と呼ばれる人たちもプラセンタを使用していたという記録もあるそうです。

プラセンタには多くの作用があり日本胎盤臨床医学会によれば、

  • 基礎代謝向上作用
  • 細胞活性化作用
  • 呼吸促進作用
  • 血行促進作用
  • 造血作用
  • 疲労回復作用
  • 血圧調節作用
  • 自律神経調節作用
  • ホルモン分泌調整作用
  • 免疫強化作用
  • 活性酸素除去作用
  • 抗突然変異作用
  • 創傷治癒促進作用
  • 抗炎症作用
  • 抗アレルギー作用
  • 妊婦の乳汁分泌促進作用

などが認められています。

細胞が活性化すれば、細胞分裂が生じ、また細胞の再生も促進されるため、新しい細胞が増え、アンチエイジング効果が期待できます。

また活性酸素を除去する作用によって、細胞を傷付ける活性酸素が減るため、これもアンチエイジング効果につながります。

造血作用や血行促進作用によって全身の隅々まで血液が送られるようになると、身体の疲労も取れやすく、また活気も上がります。

免疫力を強化する事でばい菌に感染しにくくなり、また抗突然変異作用によってガンなどのリスクを抑える可能性も報告されています。

このような様々な作用をざっくりとまとめると「身体が若々しく、元気になる」作用だと言えるでしょう。

これを期待して、多くの方がプラセンタに興味を持っているのです。

一方で保険適応的に見ればメルスモンは更年期障害や乳汁分泌不全の方に投与されます。これは更年期障害によってホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れている方に対して、

  • 自律神経調節作用
  • ホルモン分泌調整作用

を期待しています。また、乳汁分泌不全でも同様に上記効果にて改善が期待できます。

スポンサーリンク

4.メルスモンの副作用

メルスモンの副作用はどのようなものがあるのでしょうか。またメルスモンは安全はお薬なのでしょうか、それとも副作用が多いお薬なのでしょうか。

全体的な印象としてメルスモンは安全性が高いお薬です。そもそもが体内に元々存在する胎盤(プラセンタ)ですので、身体に害を与えるものではありません。適正に使用していれば重篤な副作用に出会うことはほとんどありません。

調査によるとメルスモンの副作用発生率は約19.4%と報告されています。

数値だけ見ると副作用が多いように見えますが、副作用のほとんどがメルスモンというお薬自体の副作用というよりは注射する事により生じる副作用です。

具体的には、

  • 注射部位の発赤・疼痛
  • 過敏症症状(悪寒、悪心、発熱、発疹)

などが報告されています。

ちなみにメルスモンはヒトの胎盤から抽出されたエキスになりますが、そもそもこれってどうやって作っているのでしょうか。

販売元の製薬会社担当者に聞いたところ、産婦人科病院と提携し、同意を頂けた産後の女性から採取しているのだそうです。

このようにヒトの体液から採取しているため、メルスモンの副作用のリスクとして知っておかなくてはいけない事に「感染症リスク」があります。

もちろん販売会社はそのような事がないように厳重に検査・管理を行っており、今のところはそのような報告はないのですが、化学的に合成された物質ではなくヒトから採取している物質ですので可能性はゼロとは言いきれません。

製薬会社ではメルスモン内にウイルスや細菌が混入しないように、

①原料提供者1人1人について既往歴、渡航歴などの問診及び血清学的検査等によってウィルス・細菌等の感染症がないかスクリーニング

②HBV-DNA(B型肝炎)、 HCV-RNA(C型肝炎)及びHIV-1-RNA(エイズ)について核酸増幅検査を行いこれらの菌が存在しないかの確認

③ウイルス不活化を目的とした101℃以上、1時間以上の塩酸加熱処理。かつ121℃、60分間の高圧蒸気滅菌を実施

といった検査・処置を行い、厳重にウイルス・細菌の混入がないようにチェックしています。

そのおかげで今のところメルスモンによって感染症が発症したという報告はありません。

5.メルスモンの用法・用量と剤形

メルスモンにはどのような剤型があるのでしょうか。

メルスモンは、

メルスモン注 2ml

の1剤形のみがあり、注射でしか投与できません。

メルスモンは小さな瓶に入っており、1本が2mlです。この2ml中に、「ヒト胎盤酵素分解物(いわゆるプラセンタ)」を100mg含んでいます。

メルスモンの使い方は、

通常、1日1回2mLを毎日又は隔日に皮下注射する。

と書かれています。

実際は毎日病院を受診する事は難しい方も多いため、週1回の注射といったペースで打たれている方も多くいらっしゃいます。

6.メルスモンが向いている人は

以上から考えて、メルスモンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

メルスモンの特徴をおさらいすると、

・ヒト胎盤エキス(プラセンタ)である
・細胞の再生や血行促進、免疫増強・抗アレルギー作用などがあり美容領域でよく用いられる
・医療的には更年期障害や乳汁分泌不全に用いられ、自律神経を整えたりホルモンバランスを整える作用が期待できる
・ヒトから抽出されているものであり安全性は高い

というものでした。

保険医療的には更年期障害に適応がありますので、更年期障害で不調がある方には推奨しやすいお薬です。保険診療内の安価で自律神経やホルモンバランスを整える作用が期待できます。

保険外で使いたいという方は、感染症の報告は今までにはないものの、「可能性はある」という事は理解して使用してください。

7.メルスモンの薬価

メルスモンの薬価はどのくらいなのでしょうか。

「プラセンタ」と聞くと高いものだと思われる方も多いですが、実はメルスモンは非常に安価です。

メルスモン注2ml 196円

1瓶196円であり3割負担であれば、約60円台です。

この料金でプラセンタが注射できるのなら、ぜひやってほしいという方は多いのではないでしょうか。

しかしこの値段は「保険診療」で行われた場合、つまり「更年期障害」「乳汁分泌不全」に使用された場合に限ります。

美容目的での投与は自費診療になりますので、料金は病院・クリニックが自由に決める事が出来ます。

美容目的での投与の場合、その料金は医療機関が自由に決める事ができます。利益を考えなければ、200円前後で打つことは可能ですが、実際はおおよそ2000円前後の料金としているところが多いようです。

更年期障害で疲労感や体調不良がある方は、1本60円台の薬価で打てますのでお得だともいえます。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい