ニルバジピンの効果と副作用【降圧剤】

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ニルバジピンは1989年から発売されている「ニバジール」という降圧剤(血圧を下げるお薬)のジェネリック医薬品です。降圧剤の中でもカルシウム拮抗薬という種類に属します。

高血圧症の患者さんは日本で1000万人以上と言われており、降圧剤は処方される頻度の多いお薬の1つです。

降圧剤にも様々な種類がありますが、その中でニルバジピンはどのような特徴を持つお薬で、どのような方に向いているお薬なのでしょうか。

ここではニルバジピンの特徴や効果・副作用についてみていきましょう。

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1.ニルバジピンの特徴

ニルバジピンはどのような特徴を持つお薬なのでしょうか。

ニルバジピンはカルシウム拮抗薬という種類の降圧剤になります。まずはカルシウム拮抗薬の主な特徴を紹介します。

・ダイレクトに血管に作用するため、血圧を下げる力(降圧力)が確実
・ダイレクトに血管に作用するため、余計な副作用が少ない
・薬価が安い

カルシウム拮抗薬の一番の特徴は、血圧を下げる力がしっかりとしている点です。単純に血圧を下げる力だけを見れば、降圧剤の中で一番でしょう。

血圧を下げるお薬は、カルシウム拮抗薬の他にも

  • ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
  • ACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
  • 利尿剤
  • α遮断薬
  • β遮断薬

などたくさんありますが、単純に血圧を下げる力だけでみれば、カルシウム拮抗薬にかなうお薬はありません。

カルシウム拮抗薬は血管を覆っている筋肉(平滑筋)を緩める事で血管を拡張させ、血圧を下げます。血管にダイレクトに作用するため、その降圧力は強力です。

またダイレクトに血管に作用するため、その他の部位に作用しにくく、安全性に優れ副作用も多くはありません。

カルシウム拮抗薬は薬価が安いのも大きな特徴です。血圧を下げるコストパフォーマンスという見方をすれば、カルシウム拮抗薬はかなり優れたお薬です。

では次にカルシウム拮抗薬の中でのニルバジピンの特徴を紹介します。

・1日2回の服用が必要
・血管選択性が高い
・ジェネリック医薬品であるため、薬価が安い

カルシウム拮抗薬は血圧を下げる力がしっかりしているお薬ですが、ニルバジピンも他のカルシウム拮抗薬と同様にしっかりと血圧を下げてくれます。

ニルバジピンはカルシウム拮抗薬の中でも血管選択性が高いという特徴があります。これは「血管を広げる作用のみを示し、それ以外の作用はあまり示さない」という事で、効率よく(副作用少なく)血圧を下げれるという事になります。

カルシウム拮抗薬は、カルシウムチャネルという部位をブロックするお薬です。多くのカルシウムチャネルは血管平滑筋に存在しますが、一部は心臓や神経にも存在します。

血管選択性が低いカルシウム拮抗薬だと血管平滑筋以外の部位(心臓や神経など)にも作用してしまい、動悸や頭痛などの副作用となってしまう事があります。しかし、ニルバジピンは血管選択性が高いため、血管平滑筋に集中的に作用してくれます。

降圧剤は長期間服用する事が多いため、効率よく血圧を下げてくれるというのは重要な要素になります。

またニルバジピンはジェネリック医薬品であるため、先発品の「ニバジール」よりも薬価が安くなっています。カルシウム拮抗薬は元々薬価が安いものが多いのですが、ジェネリック医薬品だと更に安くなります。

以上からニルバジピンの特徴を挙げると次のようになります。

【ニルバジピンの特徴】

・カルシウム拮抗薬であり降圧作用はしっかりしている
・血管選択性が高い
・カルシウム拮抗薬であり、更にジェネリック医薬品であるため薬価が安い

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2.ニルバジピンはどんな疾患に用いるのか

ニルバジピンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

本態性高血圧症

ニルバジピンはカルシウム拮抗薬に属しますが、カルシウム拮抗薬は血管を拡張させることで血圧を下げます。

「本態性高血圧症」とは原因が特定されていない高血圧の事です。一般的に言われる「高血圧」がこれがに該当します。

本態性でない高血圧は「二次性高血圧」と呼ばれ、これは何らかの原因があって二次的に血圧が上がっているような状態を指します。これにはお薬の副作用による血圧上昇、ホルモン値の異常による高血圧(原発性アルドステロン症など)があります。

本態性高血圧のほとんどは単一の原因ではなく、喫煙や食生活の乱れ、運動習慣の低下などが続く事による全身の血管の動脈硬化によって生じます。

ニルバジピンは本態性高血圧症に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

ニルバジピンはジェネリック医薬品ですので有効性に対する詳しい調査は行われておりません。しかし同じ主成分からなる先発品の「ニバジール」では行われており、その結果が参考になります。

本態性高血圧症にニバジールを投与した調査で「有効」と判定された例は、76.8%と報告されています。

ニルバジピンもこれと同程度の有効率があると考えられます。

3.ニルバジピンはどのような作用があるのか

ニルバジピンにはどのような作用があるのでしょうか。ここでは報告されているニルバジピンの作用について紹介します。

Ⅰ.血管を拡張させる

ニルバジピンは降圧剤であり、その主な作用は血圧を下げる事になります。

ではどのような機序で血圧を下げているのでしょうか。

血圧を下げるお薬にはいくつかの種類がありますが、そのうちニルバジピンは「カルシウム拮抗薬」という種類に分類されます。カルシウム拮抗薬は、血管を覆っている平滑筋という筋肉に存在しているカルシウムチャネルのはたらきをブロックするのが主なはたらきです。

チャネルという用語が出てきましたが、これはかんたんに言うと様々なイオンが通る穴だと思ってください。つまりカルシウムチャネルは、カルシウムイオンが通ることが出来る穴です。

カルシウムチャネルはカルシウムイオンを通すことにより、筋肉を収縮させるはたらきがあります。血管の周りを覆っている平滑筋が収縮すれば、血管が締め付けられるため血管壁に血液の圧力(血圧)がより強くかかる事になり、血圧は上がります。

これをブロックするのがニルバジピンです。ニルバジピンの作用で、カルシウムイオンが平滑筋細胞内に流入できなくなると、平滑筋が収縮できなくなるため、緩みます。これによって血管が拡張する(広がる)ため、血圧が下がるというわけです。

ちなみにカルシウムチャネルにはL型、T型、N型の3種類があることが報告されています。このうち、血管の平滑筋に存在しているカルシウムチャネルはほとんどがL型です。

L型カルシウムチャネル:主に血管平滑筋・心筋に存在し、カルシウムが流入すると筋肉を収縮させる。ブロックすると血管が拡張し、血圧が下がる

T型カルシウムチャネル:主に心臓の洞結節に存在し、規則正しい心拍を作る。また脳神経にも存在し神経細胞の発火に関係している

N型カルシウムチャネル:主にノルアドレナリンなど興奮性の神経伝達物質を放出する。

ニルバジピンはL型カルシウムチャネルに選択性が高いため、しっかりと血圧を下げてくれます。

Ⅱ.粥状硬化の改善作用

血管壁にコレステロールがこびりついてしまう現象を「粥状硬化」と呼びます。

高コレステロール血症などの脂質異常症が続くと、粥状硬化が生じます。すると、血管の中が狭くなってしまい、血管が詰まってしまうリスクが高くなります。また血管内で炎症や血栓が生じるリスクも高くなり、これも血管が詰まる一因になります。

動物実験においてニルバジピンは粥状硬化を改善させる作用が示されています。

コレステロール食を摂取させて粥状硬化を人工的に作ったウサギにおいて、ニルバジピンは大動脈壁中のコレステロール量を低下させ、大動脈の粥状硬化の面積を有意に減少させた事が報告されています。

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4.ニルバジピンの副作用

ニルバジピンにはどのような副作用があるのでしょうか。また副作用はどのくらいの頻度で生じるのでしょうか。

ニルバジピンはジェネリック医薬品ですので副作用発生率に対する詳しい調査は行われておりません。しかし同じ主成分からなる先発品の「ニバジール」では行われており、その結果が参考になります。

ニバジールの副作用発生率は7.84%と報告されており、ニルバジピンもこれと同程度だと考えられます。

生じうる副作用としては、

  • 顔面潮紅
  • ほてり
  • 動悸
  • 頭痛

などが報告されています。

頭痛はニルバジピンによって血圧が下がりすぎる事で生じると考えられ、また顔面潮紅やほてりは、顔面の血管が拡張することで生じる副作用だと考えられます。

動悸はニルバジピンがT型のカルシウムチャネルに多少作用してしまう事で生じると考えられます。

また重篤な副作用として、

  • 肝機能障害

が報告されています。

ニルバジピンは時に肝臓に負担をかけてしまう事がありますので、服用が長期に渡る方は定期的に血液検査などで肝機能をチェックしておく事が望まれます。

ニルバジピンを投与してはいけない方(禁忌)としては、

  • 頭蓋内出血で止血が完成していないと推定される方
  • 脳卒中急性期で頭蓋内圧が亢進している方
  • 妊婦又は妊娠している可能性のある方
  • ニルバジピンの成分に対し過敏症の既往歴のある方

が挙げられています。

ニルバジピンは血管を広げる作用がありますので、血管が切れて脳に出血している方に投与すると更に出血を増やしてしまう危険があるため使えません。

また同様の理由で頭蓋内圧が亢進している方にも用いる事はできません。

動物実験で妊娠末期にニルバジピンを投与したところ、妊娠期間や分娩時間が延長することが報告されています。

ヒトにおいても同じ事が生じる可能性を考え、妊娠中の方にはニルバジピンの使用は禁忌となっています。

5.ニルバジピンの用法・用量と剤形

ニルバジピンは、

ニルバジピン錠 2mg
ニルバジピン錠 4mg

の2剤形があります。

ニルバジピンの使い方は、

通常、成人には1回2~4mgを1日2回経口投与する。

となっています。

最近は1日1回の服用で24時間効果が持続するカルシウム拮抗薬も多くなってきましたが、ニルバジピンは1日2回の服用が必要になります。

6.ニルバジピンが向いている人は?

以上から考えて、ニルバジピンが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ニルバジピンの特徴をおさらいすると、

・カルシウム拮抗薬であり降圧作用はしっかりしている
・血管選択性が高い
・カルシウム拮抗薬であり、更にジェネリック医薬品であるため薬価が安い

というものがありました。

カルシウム拮抗薬全体に言えることですが、血管の平滑筋にダイレクトに作用するカルシウム拮抗薬は、単純に血圧を下げたい時に有用です。

他の代表的な降圧剤として、ACE阻害剤やARBなどがあります。これらももちろん優れたお薬で、腎臓を保護したり、血糖にも影響したりと様々な付加効果があります。これらはうまく利用すれば、1剤で様々な効果が得られる利点になりますが、「単純に血圧だけを下げたい」という場合には、カルシウム拮抗薬の方が適しています。

カルシウム拮抗薬の中でニルバジピンは血管選択性が高い事が特徴になりますが、最近のカルシウム拮抗薬は選択性が優れ、副作用が少ないものも多くなってきたため、これは現在においてはニルバジピンの専売特許ではなくなってきています。

そのため、最近ではニルバジピンが処方される機会は少なくなっているのが現状です。もちろんニルバジピンが悪いお薬だという事ではないのですが、古めのお薬ですので、より改良を重ねられた新しいカルシウム拮抗薬が多くなってきた現在においては、積極的に選択される理由も乏しい面があります。

ニルバジピンをはじめとしたカルシウム拮抗薬は、薬価が安いというのもメリットの1つです。カルシウム拮抗薬であり、かつジェネリック医薬品であるニルバジピンは薬価がかなり低くなっており、経済的負担少なく治療をしたい方には勧めやすいお薬になります。

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