オパイリンの効果と副作用【痛み止め・鎮痛剤】

オパイリン(一般名:フルフェナム酸アルミニウム)は1967年から発売されているお薬です。非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)と呼ばれ、炎症を抑える事で熱を下げたり痛みを抑えたりする作用を持ちます。

NSAIDsにはたくさんの種類があります。どれも大きな違いはありませんが、細かい特徴や作用には違いがあり、医師は痛みの程度や性状に応じて、その患者さんに一番合いそうな痛み止めを処方しています。

NSAIDsの中でオパイリンはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここでは、オパイリンの効能や特徴、副作用などを紹介していきます。

 

1.オパイリンの特徴

まずはオパイリンの特徴を紹介します。

オパイリンは、解熱鎮痛作用がまずまず強く、また胃腸系の副作用を少なくする工夫がされているという特徴があります。

オパイリンはNSAIDsに属します。NSAIDsとは「非ステロイド性消炎鎮痛剤」の事で、ステロイド作用を持たない炎症を抑えるお薬の事です。炎症が抑えられると熱を下げたり、痛みを抑えたりといった効果が期待できるため、臨床では主に熱さまし(解熱剤)・痛み止め(鎮痛剤)として用いられています。

オパイリンはNSAIDsの中でも「アントラニル酸系」という種類に属します。アントラニル酸系は、同種のNSAIDsの中で鎮痛作用はやや強めの部類に入ります。しかしその分副作用も出やすいため注意は必要になります。

オパイリンの特徴は、有効成分であるフルフェナム酸がゆっくりと吸収される工夫がほどこされている事により、副作用を軽減させている点です。フルフェナム酸は強い抗炎症作用がある一方で、急激に吸収されると胃腸に負担をかけ、胃炎や胃潰瘍などの胃腸障害を起こしてしまう事があります。

オパイリン(フルフェナム酸アルミニウム)は、胃腸でフルフェナム酸とアルミニウムに分解され、有効成分であるフルフェナム酸が胃腸から体内に吸収されます。この分解の過程がある事により吸収がゆっくりになるのでその分副作用が少なくなるのです。

もう一方のアルミニウムは基本的には身体には吸収されないとされていますが、過剰なアルミニウムは身体にとって害となるため、注意は必要です。漫然と長期間・大量に服用する事はあまり推奨されません。

以上からオパイリンの特徴として次のような点が挙げられます。

【オパイリンの特徴】

・解熱・鎮痛作用はやや強め
・副作用の胃腸障害に注意が必要だが、副作用軽減の工夫がされている
・アルミニウムを含有している

 

2.オパイリンはどのような疾患に用いるのか

オパイリンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】
1.下記疾患の消炎、鎮痛、解熱

関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、肩胛関節周囲炎、関節炎、症候性神経痛

2.下記疾患の消炎、鎮痛

抜歯後、歯髄炎、歯根膜炎

3.下記炎症性疾患の消炎

膀胱炎、前立腺炎、帯状疱疹、湿疹・皮膚炎、紅斑症、各科領域の手術後ならびに外傷後の炎症性反応

4.下記疾患の解熱・鎮痛

急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

オパイリンは解熱鎮痛剤であり、炎症を抑える事で熱を下げたり痛みを和らげる作用があります。

そのため用いる疾患は、発熱を来すようなもの、痛みを来すようなものになります。

難しい病名が書かれていますが、大きな認識としては「痛みや熱などが認められる疾患に対して、その症状の緩和に用いる」という認識で良いでしょう。

オパイリンの有効率は、

  • 関節リウマチに対する有効率は58.9%
  • 変形性関節症に対する有効率は59.1%
  • 変形性脊椎症に対する有効率は49.4%
  • 腰痛症に対する有効率は60.3%
  • 肩甲関節周囲炎に対する有効率は64.2%
  • 関節炎に対する有効率は69.7%
  • 症候性神経痛に対する有効率は62.0%
  • 抜歯後疼痛及び炎症に対する有効率は82.8%
  • 歯髄炎に対する有効率は83.1%
  • 歯根膜炎に対する有効率は79.5%
  • 膀胱炎に対する有効率は75.0%
  • 前立腺炎に対する有効率は81.1%
  • 帯状疱疹に対する有効率は84.6%
  • 湿疹・皮膚炎に対する有効率は79.6%
  • 紅斑症に対する有効率は84.6%
  • 各科領域の手術後ならびに外傷後の炎症性反応に対する有効率は72.6%
  • 急性上気道炎に対する有効率は70.1%

と報告されています。

オパイリンを始めとするNSAIDsを使用する際は、これらは根本を治す治療ではなく、あくまでも対症療法に過ぎないことを忘れてはいけません。

対症療法とは「症状だけを抑えている治療法」の事です。あくまでも表面的な症状を感じにくくさせているだけの治療法で根本を治している治療ではない事を忘れてはいけません。

例えば急性上気道炎(いわゆる風邪)の発熱・痛みに対してオパイリンを投与すれば、確かに熱は下がるし、痛みも軽減します。

しかしこれは風邪の原因であるウイルスをやっつけているわけではなく、あくまでも発熱や発痛を起こしにくくしているだけに過ぎません。

対症療法が悪い治療法だということはありませんが、対症療法だけで終わってしまうのは良い治療とは言えません。対症療法に加えて、根本を治すような治療も併用することが大切です。

例えば先ほどの急性上気道炎であれば、オパイリンを使用しつつも、

  • 栄養をしっかり取る
  • 十分に休養する
  • マスクで感染予防する

など、ウイルスをやっつけるための治療法も併せて行う必要があります。

 

3.オパイリンにはどのような作用があるのか

オパイリンは「非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」という種類に属しますが、NSAIDsの作用は、消炎(炎症を抑える)事によって解熱(熱を下げる)と鎮痛(痛みを抑える)ことになります。

オパイリンも他のNSAIDsと同様に中枢性の鎮痛作用と末梢性の消炎作用を有しています。その作用機序について説明します。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

みなさんも身体をぶつけたり、ばい菌に感染したりして、身体がこのような状態になったことがあると思います。これが炎症です。

オパイリンは、炎症の原因が何であれ、炎症そのものを抑える作用を持ちます。つまり、発赤・熱感・腫脹・疼痛を和らげてくれるという事です。

具体的にどのように作用するのかというと、オパイリンなどのNSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という物質のはたらきをブロックするはたらきがあります。

COXは、プロスタグランジン(PG)が作られる時に必要な物質であるため、COXがブロックされるとプロスタグランジンが作られにくくなります。

プロスタグランジンは炎症や痛み、発熱を誘発する物質です。そのため、オパイリンがCOXをブロックすると炎症や痛み、発熱が生じにくくなるのです。

 

4.オパイリンの副作用

オパイリンにはどんな副作用があるのでしょうか。またどの頻度はどのくらいなのでしょうか。

オパイリンの副作用発生率は2.86%と報告されています。

生じうる副作用としては、

  • 胃腸障害
  • 腹痛・胃痛
  • 胃部不快感
  • 下痢
  • 吐き気
  • 発疹
  • めまい・ふらつき

などが報告されています。

オパイリンをはじめとしたNSAIDsには共通する副作用があります。

もっとも注意すべきなのが「胃腸系の障害」です。これはNSAIDsがプロスタグランジンの生成を抑制するために生じます。

プロスタグランジンは、実は胃粘膜を保護するはたらきを持っているため、NSAIDsによってこれが抑制されると胃腸が荒れやすくなってしまうのです。

胃痛や悪心などをはじめとして、胃炎や胃潰瘍・大腸炎などになってしまうこともあります。このため、NSAIDsは漫然と長期間使用し続けないことが推奨されています。

オパイリンは胃腸障害を生じにくくさせる工夫はされていますが、それでもこれらの副作用が生じないわけではありません。

また、腸管のバランスを崩すことで下痢や軟便などが生じることもあります。

頻度は稀ですが重篤な副作用としては、

  • 出血性大腸炎

があります。

またオパイリンは次のような患者さんには投与する事が出来ません(禁忌)。

  • 消化性潰瘍のある方(胃潰瘍・十二指腸潰瘍などをより悪化させる)
  • 重篤な血液の異常のある方(血液異常を更に悪化させる)
  • 重篤な肝障害のある方(肝障害をより悪化させる)
  • 重篤な腎障害のあるかた(腎障害をより悪化させる)
  • オパイリンに対して過敏症の既往歴のある方
  • アスピリン喘息またはその既往歴のある方(喘息発作を誘発する)

また、NSAIDsは喘息を誘発する危険があるため、できる限り喘息の患者さんには投与しない方が良いでしょう。

 

5.オパイリンの用法・用量と剤形

オパイリンは次の剤型が発売されています。

オパイリン錠 125mg
オパイリン錠 250mg

また、オパイリンの使い方は適応疾患によって異なります。

1.下記疾患の消炎、鎮痛、解熱

関節リウマチ、変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、肩胛関節周囲炎、関節炎、症候性神経痛

2.下記疾患の消炎、鎮痛

抜歯後、歯髄炎、歯根膜炎

3.下記炎症性疾患の消炎

膀胱炎、前立腺炎、帯状疱疹、湿疹・皮膚炎、紅斑症、各科領域の手術後ならびに外傷後の炎症性反応

の場合は、

通常、成人には1回125~250mgを1日3回経口投与する。また、頓用する場合には、1回250mg とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。

となっています。

また、

4.下記疾患の解熱・鎮痛

急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

の場合は、

通常、成人には1回250mgを頓用する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大750mgを限度とすること。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

とされています。

 

6.オパイリンが向いている人は?

オパイリンはどのような方に向いているお薬なのでしょうか。

オパイリンの特徴をおさらいすると、

・解熱・鎮痛作用はやや強め
・副作用の胃腸障害に注意が必要だが、副作用軽減の工夫がされている
・アルミニウムを含有している

といった特徴がありました。

基本的にNSAIDsは、どれも大きな差はないため、処方する医師が使い慣れているものを処方されることも多々あります。

オパイリンは、

  • 解熱(熱さまし)・鎮痛(痛み止め)の作用が強めである事
  • 効果の割には副作用が少なくなるような工夫がされている事

がメリットとして挙げられます。

そのためやや強めの効果が欲しい方に向いているお薬となります。

しかし、

  • 漫然と使えば副作用は当然生じる事
  • アルミニウムを含有している事

といったデメリットもあります。

上記のメリットとデメリットを理解した上で主治医と相談してオパイリンを使用するかどうかは判断しましょう。