レミカットカプセルの効果と副作用

レミカット(一般名:エメダスチンフマル酸塩)は1993年から発売されているお薬です。

レミカットは抗アレルギー薬と呼ばれ、アレルギーによって生じる諸症状を抑え、主に花粉症(アレルギー性鼻炎)やじんま疹、皮膚のかゆみなどに用いられています。

主にヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー症状を抑えるため、「抗ヒスタミン薬」と呼ばれることもあります。

抗アレルギー薬の中でレミカットはどのような特徴のあるお薬で、どんな作用を持っているお薬なのでしょうか。

レミカットの効果や特徴・副作用についてみていきましょう。

 

1.レミカットの特徴

まずはレミカットの全体的な特徴についてみてみましょう。

レミカットはヒスタミンのはたらきをブロックすることでアレルギー症状を抑えます。

ヒスタミンはアレルギーを誘発する原因となる物質(ケミカルメディエーター)です。そのため、このヒスタミンのはたらきをブロックできればアレルギー症状を改善させることができます。それを狙っているのがレミカットをはじめとした「抗ヒスタミン薬」になります。

抗ヒスタミン薬には古い第1世代抗ヒスタミン薬と、比較的新しい第2世代抗ヒスタミン薬があります。第1世代は効果は良いのですが眠気などの副作用が多く、第2世代は効果もしっかりしていて眠気などの副作用も少なくなっています。

この違いは第1世代は脂溶性(脂に溶ける性質)が高いため脳に移行しやすく、第2世代は脂溶性が低いため脳に移行しにくいためだと考えられています。また第2世代の方がヒスタミンにのみ集中的に作用するため、余計な部位への作用が少なく、これも副作用を低下させる理由となっています。

そのため、現在では副作用が少ない第2世代から使用するのが一般的です。

レミカットはというと第2世代の抗ヒスタミン薬になります。第2世代の中ではマイナーなお薬で処方される頻度はあまり多くはありません。これは別に悪いお薬だからというわけではないのですが、抗ヒスタミン薬の中で知名度は低いお薬です。

 

レミカットは主に「抗ヒスタミン作用」によってアレルギー症状を抑えますが、それ以外にもロイコトリエンなどの物質の作用を抑えたり、好酸球の浸潤を抑える事でアレルギー症状を改善させます。

副作用は第1世代よりは少ないですが、第2世代の中では平均的な副作用があります。多いのは眠気ですが、その他も抗コリン作用(口渇、腹痛など)が生じることがあります。またレミカットは男性よりも女性に副作用が出やすいことが報告されています。

以上から、レミカットの特徴として次のようなことが挙げられます。

【レミカットの特徴】

・花粉症やじんましんなどのアレルギー症状を抑える
・抗ヒスタミン作用、抗ロイコトリエン作用、抗好酸球作用がある
・第2世代抗ヒスタミン薬であり、第1世代よりは副作用が少ない
・眠気の副作用に注意
・男性よりも女性に副作用が出やすい

 

2.レミカットはどのような疾患に用いるのか

レミカットはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症、痒疹

難しい病名が並んでいますが、基本的にはアレルギー疾患に効くお薬という認識で良いでしょう。

アレルギー疾患として代表的なものには、アレルギー性鼻炎(いわゆる花粉症など)やじんましんがあります。

レミカットの有効性については、

  • アレルギー性鼻炎で中等度以上に改善した率は43.5%
  • じんましんで中等度以上に改善した率は69.6%
  • 湿疹・皮膚炎群で中等度以上に改善した率は71.0%
  • 皮膚掻痒症で中等度以上に改善した率は72.5%
  • 痒疹で中等度以上に改善した率は74.6%

と報告されています。

臨床的な印象としてはレミカットは第2世代抗ヒスタミン薬と比べると、平均的な強さを持っている印象です。

 

3.レミカットにはどのような作用があるのか

レミカットはどのような作用機序によって、アレルギー症状を抑えてくれるのでしょうか。

レミカットの作用について詳しく紹介させて頂きます。

 

Ⅰ.抗ヒスタミン作用

レミカットは抗ヒスタミン薬というお薬に属し、その主な作用は「抗ヒスタミン作用」になります。これはヒスタミンという物質のはたらきをブロックするという作用です。

アレルギー症状を引き起こす物質の1つに「ヒスタミン」があります。

アレルゲン(花粉などのアレルギーを起こすような物質)に暴露されると、アレルギー反応性細胞(肥満細胞など)からアレルギー誘発物質(ヒスタミンなど)が分泌されます。これが受容体などに結合することで様々なアレルギー症状が発症します。

ちなみにアレルギー反応性細胞からはヒスタミン以外にもアレルギー誘発物質が分泌されますが、これらはまとめてケミカルメディエータ―と呼ばれています。

レミカットのような抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応性細胞からヒスタミンが分泌されるのを抑える作用があります。実際、レミカットはサブスタンスP(タキキニンなど)によって生じるヒスタミンの分泌を抑制することが確認されています。

またヒスタミンが結合するヒスタミン受容体をブロックすることでアレルギー症状の出現を抑える作用もあります。

これらの作用によりアレルギー症状を和らげてくれるのです。

 

Ⅱ.抗ロイコトリエン作用

ヒスタミン以外のケミカルメディエーターとして、ロイコトリエン(LT)などがあります。

ロイコトリエンもアレルギー反応性細胞から分泌され、身体にアレルギー反応を起こすケミカルメディエーターの一種になります。

レミカットは、このロイコトリエンの分泌を抑えるはたらきも確認されています。

これによってアレルギー症状を緩和させてくれます。

 

Ⅲ.抗好酸球作用

アレルギー反応の1つに、アレルゲン(アレルギーの原因になる物質)によって好酸球の脱顆粒(好酸球が顆粒を分泌する)という現象があります。

好酸球から分泌される顆粒には様々な成分が含まれています。中にはヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギーの原因となる物質のはたらきを中和する作用もあります。

しかし一方で、炎症の原因となる物質も放出してしまい、これによってアレルギー反応がより悪化してしまう事もあります。

アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因となる物質)の刺激によって好酸球がその部位に浸潤し、アレルギー反応を引き起こしてしまうことがあります。

レミカットはアレルゲンの刺激によって好酸球が浸潤してくるのを防ぐはたらきがあります。

またPAF(血小板活性化因子)やロイコトリエンB4という物質も、好酸球を浸潤させてアレルギー反応を引き起こすことがありますが、レミカットはこれらの刺激によって生じる好酸球の浸潤を抑えるはたらきがある事が確認されています。

 

4.レミカットの副作用

レミカットにはどのような副作用があるのでしょうか。

レミカットの副作用は5.74~7.34%前後と報告されています。

副作用として多いのは、

  • 眠気

です。抗ヒスタミン薬はどれも眠気の副作用が生じるリスクがあります。

その他の副作用としては、

  • 倦怠感、脱力感
  • 口渇(口の渇き)
  • 腹痛
  • ふらつき
  • 頭痛・頭重感

などが報告されています。これらの副作用の多くは抗ヒスタミン薬がわずかに持つ抗コリン作用というアセチルコリンのはたらきを抑えてしまう作用が関係しています。ヒスタミンの受容体とアセチルコリンの受容体は構造が類似しているため、抗ヒスタミン薬は時にアセチルコリン受容体にも作用してしまうのです。

抗コリン作用は唾液の分泌を減少させたり、胃腸の動きを不調にしてしまいます。レミカットのような第2世代は第1世代と比べると抗コリン作用は少なくはなっているのですがゼロではないため、時にこのような副作用が生じることがあります。

また、

  • 肝機能障害(AST、ALT、ɤGTP、ビリルビン上昇)

といった検査の異常が生じることがあります。レミカットを長期服薬・高用量服薬している場合などでは定期的に血液検査を行うことが望ましいでしょう。

 

またこれらの副作用は男性よりも女性に多く認められやすいことが指摘されています。

 

5.レミカットの用法・用量と剤形

レミカットは、

レミカットカプセル 1mg
レミカットカプセル 2mg

の2剤形があります。

レミカットの使い方としては、

通常、成人には1回1~2mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。

となっています。

 

 

6.レミカットが向いている人は?

以上から考えて、レミカットが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

レミカットの特徴をおさらいすると、

・花粉症やじんましんなどのアレルギー症状を抑える
・抗ヒスタミン作用、抗ロイコトリエン作用、抗好酸球作用がある
・第2世代抗ヒスタミン薬であり、第1世代よりは副作用が少ない
・眠気の副作用に注意
・男性よりも女性に副作用が出やすい

といったものがありました。

レミカットは、第2世代抗ヒスタミン薬になり、アレルギー性鼻炎やじんましんなどに対して用いられているお薬の1つです。

効果・副作用とも平均的であり、1日2回の服用が必要です。また成人の服薬を対象としており、子供には適応があります。

このような理由から抗ヒスタミン薬の中ではあまり使われないお薬となっています。しかし決して効果が悪いとか副作用が多いとか問題のあるお薬ではありません。

男性よりも女性に副作用が出やすいといわれているため、主に男性が用いやすいお薬だと言えるでしょう。