SG配合顆粒の効果と副作用【解熱鎮痛剤】

SG配合顆粒は2003年から発売されているお薬で、解熱鎮痛剤という種類に属します。

「配合」という名前からも分かるように、SG配合顆粒には複数の成分が配合されています。主成分は熱を下げたり(解熱)、痛みを和らげたり(鎮痛)する解熱鎮痛剤になりますが、それ以外にも鎮静剤や疲労回復剤も配合されています。

複数の成分が含有されているのは、1剤で多くの効果が得られるというメリットでもありますが、使用する疾患によっては余計な作用が入っていたり、副作用のリスクが上がったりというデメリットもあります。

そのため自分の症状に合致しているのかをしっかりと見極めてから使用する必要のあるお薬になります。

SG配合顆粒はどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここでは、SG配合顆粒の特徴や、効果・効能、副作用について紹介していきます。

 

1.SG配合顆粒の特徴

まずはSG配合顆粒の特徴を紹介します。

SG配合顆粒は解熱(熱冷まし)や鎮痛(痛み止め)作用を持つお薬です。その他鎮静作用や覚醒・疲労回復作用も含有しており、1剤で様々な効果が期待できます。

一方で古いお薬も多く含有されており、副作用には注意が必要です。

SG配合顆粒には、

  • イソプロピルアンチピリン(解熱鎮痛剤) 150mg
  • アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤) 250mg
  • アリルイソプロピルアセチル尿素(鎮静剤) 60mg
  • 無水カフェイン 50mg

の4つの成分が含まれています。

主成分は「イソプロピルアンチピリン」と「アセトアミノフェン」の2つで、これらは解熱鎮痛剤になります。

イソプロピルアンチピリンは「NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)」と呼ばれる解熱鎮痛剤で、炎症を抑えることで解熱・鎮痛作用を発揮します。

アセトアミノフェンはAAP(アセトアミノフェン系)と呼ばれる解熱鎮痛剤で、体温調節中枢に作用したり、痛みに関与する物質に作用することによって解熱・鎮痛作用を発揮します。

NSAIDsとAAPの特徴の違いとしては、効果(熱を下げる強さ・痛みを抑える強さ)としてはNSAIDsの方が強く、よりしっかりと解熱・鎮痛をしてくれます。しかし安全性ではAAPが勝ります。

作用的な違いを見ると、NSAIDsは抗炎症作用(炎症を抑える作用)を持ち、それが解熱鎮痛作用となっているのに対して、AAPは抗炎症作用を持ちません。炎症を抑えるのではなく、体温調節中枢に作用したり、痛みに関与する物質(プロスタグランジンやカンナビド、セロトニンなど)に作用することによって解熱・鎮痛作用を発揮している事が分かっています。

ざっくりというと

「効果は穏やかだけど、安全に使えるのがアセトアミノフェン系(AAP)」
「効果は強いけど、副作用にも注意が必要なのが非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)」

になります。

NSAIDsもAAPも代表的な解熱鎮痛剤であり、SG顆粒はこの両者を配合することで効率よく解熱鎮痛作用を発揮します。

アリルイソプロピルアセチル尿素は鎮静剤で、不安や恐怖を和らげることで間接的に痛みを和らげる作用が期待できます。また上記の解熱鎮痛剤の作用を増強する作用もある事が知られています。

無水カフェインには様々な作用がありますが、SG配合顆粒中で期待されているのは脳を覚醒させる作用や疲労回復作用になります。また血管を収縮させることで鎮痛作用も期待できます。

カフェインはコーヒーなどにも含まれていますが基本的にはその作用と同じです。コーヒーを飲むと頭がシャキッとしますよね。これを治療薬として使用しているのが無水カフェインです。

SG配合顆粒はこの4つの成分を配合することで、解熱鎮痛作用を主としながらも、鎮静作用、疲労回復作用なども持ちます。

熱が出たり、痛みが出たりする疾患は非常に多くあります。ざっと挙げるだけでも、風邪(急性上気道炎)や肺炎、胃腸炎、尿路感染症、腰痛、頭痛、関節痛、歯痛などがあります。このような多くの疾患に対して、SG配合顆粒はその症状を和らげるために用いられます。

SG配合顆粒のデメリットとしては、配合されているお薬には古いものが多く、副作用に注意が必要だという点が挙げられます。

NSAIDsであるイソプロピルアンチピリンは、現在では単独では処方されることのないお薬であり、また海外では重篤な副作用によって製造中止となっている国もあるほどです(重篤な副作用については後述します)。

アリルイソプロピルアセチル尿素も効果と副作用のバランスの悪さから、現在では単独で鎮静剤として用いられることはありません。また習慣性(依存性)があるお薬であり、長期・大量の使用にならないよう注意しなければいけません。

このようなデメリットを考えると、SG配合顆粒で期待できる作用と、自分の疾患の症状が合致しているのであれば使用を検討しても良いお薬ではありますが、「痛い」「熱がある」というだけで安易に使用するお薬ではないでしょう。

以上からSG配合顆粒の特徴として次のような点が挙げられます。

【SG配合顆粒の特徴】

・鎮痛作用(痛みを抑える)、解熱作用(熱を下げる)がある
・補助的に鎮静作用や疲労回復作用などもある
・配合されている成分は古いものも多く副作用には注意が必要
・多くの成分が入っているため、安易に用いるべきではない

 

2.SG配合顆粒はどのような疾患に用いるのか

SG配合顆粒はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】
感冒の解熱、耳痛、咽頭痛、月経痛、頭痛、歯痛、症候性神経痛、外傷痛

SG配合顆粒は解熱・鎮痛作用を持つお薬ですので、上記の疾患のように

  • 熱が出る状態
  • 痛みが出る状態

のいずれかに投与されます。

SG配合顆粒の有効率は77.0%と報告されています。更に種類別の有効率としては、

  • 頭痛に対する有効率は74.5%
  • 生理痛に対する有効率は83.5%
  • 歯痛に対する有効率は90.0%

と報告されています。

注意点としては、上記症状にSG配合顆粒が有効なのは間違いありませんが、解熱鎮痛剤は根本を治す治療ではなく、あくまでも対症療法に過ぎないことを忘れてはいけません。

対症療法とは、「症状だけを抑えている治療法」で根本を治している治療ではありません。

例えば皮膚に大きな傷が出来てしまい痛がっている方にSG配合顆粒を投与すれば、確かに痛みは和らぐでしょう。しかしこれは皮膚を治しているわけではなく、あくまでも痛みを感じに浮くさせているだけに過ぎません。

対症療法が悪い治療法だということはありませんが、対症療法だけで終わってしまうのは良い治療とは言えません。対症療法に加えて、根本を治すような治療も併用することが大切です。

例えば皮膚の傷であれば、SG配合顆粒を使用しつつも、

  • 皮膚が早く再生するような処置をする
  • 皮膚が早く治るように栄養をしっかりと取る
  • 傷からばい菌が入らないように抗生物質などを検討する

などの根本的な治療法も併せて行う必要があるでしょう。

 

3.SG配合顆粒にはどのような作用があるのか

SG配合顆粒はいくつかの成分が含有されていますが、どのような作用機序があるのでしょうか。

ここではSG配合顆粒の作用機序について紹介します。

 

Ⅰ.解熱・鎮痛作用

SG配合顆粒には解熱・鎮痛作用を持つ成分が含まれています。これは熱を下げたり(解熱)、痛みを和らげたり(鎮痛)する作用という事です。

解熱鎮痛作用は、

  • イソプロピルアンチピリン
  • アセトアミノフェン

の2つの成分によって得られています。

イソプロピルアンチピリンは「NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛剤)」と呼ばれるお薬です。

NSAIDsは消炎(炎症を抑える事)によって解熱・鎮痛を得ます。

炎症とは、

  • 発赤 (赤くなる)
  • 熱感 (熱くなる)
  • 腫脹(腫れる)
  • 疼痛(痛みを感じる)

の4つの徴候を生じる状態のことで、感染したり受傷したりすることで生じます。またアレルギーで生じることもあります。

例えば身体をぶつけたり身体にばい菌が入ったりすると、その部位が赤くなったり熱感を持ったり、腫れたり痛んだりという状態になります。これが炎症です。

このような炎症に対して、炎症を和らげてくれるのがNSAIDsです。NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という物質をブロックするはたらきがあります。

COXはプロスタグランジン(PG)が作られる時に必要な物質であるため、COXがブロックされるとプロスタグランジンが作られにくくなります。

プロスタグランジンは炎症や痛みを誘発する物質です。そのため、NSAIDsがCOXをブロックすると炎症をや痛みが生じにくくなるのです。

炎症を抑えられれば、「熱感」「疼痛」といった炎症で生じる症状も抑えられるため、これが解熱・鎮痛作用になります。

一方でアセトアミノフェンは、消炎作用はないのですが、解熱・鎮痛作用を有します。

アセトアミノフェン系の作用機序は完全には解明されていませんが、おそらく投与したアセトアミノフェンが脳の視床下部にある体温調節中枢に作用する事で、解熱作用が生じるのではないかと考えられています。

より具体的に言うと、アセトアミノフェンが体温調節中枢に作用すると、

  • 身体の水分の移動(発汗を促す)
  • 末梢血管の拡張

が生じます。水分というのは温度を調整するのに重要な役割があります。例えば私たちは運動すると汗をかきますが、これは汗を皮膚表面に分泌する事で体温を下げるというはたらきがあるのです。

水分は蒸発する時に周りの熱を奪うことが知られており、これを「気化熱」と呼びます。汗は気化熱によって皮膚の熱を奪い、それによって体温を適切な温度に下げているというわけです。

また手足の末梢の血管が開くと、そこに多くの血液が集まって熱が放散されやすくなり、これも体温を下げる役割となります。

アセトアミノフェンはこのような機序によって解熱作用を発揮すると考えられています。

またアセトアミノフェンは脳の視床と大脳皮質に作用する事で痛みを感じにくくさせているのだと考えられています。

より具体的に言うと、

  • プロスタグランジン
  • カンナビノイド系
  • セロトニン系

などといった痛みに関与する物質に影響を与えると考えられています。

プロスタグランジンは、痛みを誘発する作用を持つ物質です。そのためプロスタグランジンが低下すれば痛みが和らぐと考えられます。実際アセトアミノフェンはプロスタグランジン濃度を低下させることが報告されています。

カンナビノイドは「脳内麻薬」とも呼ばれ、分泌される事で痛みを感じにくくさせます。またセロトニンは主に気分に関わっている物質ですが、痛みにも関与している事が知られています。

セロトニンが低下する事で生じる疾患として「うつ病」がありますが、うつ病患者さんの約6割は症状として頭痛・腰痛・肩痛などの痛みを認めると報告されています。ここからセロトニンの低下は痛みを悪化させ、セロトニンを増やす事で痛みが和らぐという事が推測されます。

 

Ⅱ.鎮静作用

SG配合顆粒に含まれるアリルイソプロピルアセチル尿素は鎮静剤になります。

鎮静剤としての作用は穏やかで、不安・恐怖を抑えてくれます。またこの抗不安作用が痛みを間接的に和らげるという作用も期待できます。

一方で心身がリラックスすることによって眠気やふらつきの原因となったりすることもあります。

 

Ⅲ.覚醒作用・疲労回復作用

SG配合顆粒に含まれる無水カフェインは中枢神経刺激薬になります。

中枢神経(脳)を覚醒させることにより、頭をシャキっとさせ眠気を取ります。これはアリルイソプロピルアセチル尿素の副作用の眠気を相殺する効果も期待できます。

また脳の血管を収縮させることで脳血管の拡張によって生じる頭痛を和らげるはたらきもあります。

とはいってもこの作用も穏やかなもので強い作用ではありません。

カフェインというとコーヒーに含まれているものですが、コーヒー1杯にも50~100mgほどのカフェインが含まれていますので、SG配合顆粒1g中に含まれるカフェイン(50mg)はだいたいコーヒー一杯分相当と同程度になります。

 

4.SG配合顆粒の副作用

SG配合顆粒にはどんな副作用があるのでしょうか。また副作用はどのくらいの割合で生じるのでしょうか。

実はSG配合顆粒の副作用発生率の詳しい調査は行われていません。しかし同じ成分からなる「セデス・ハイ(現在は発売中止)」の副作用発生率は15.5%と報告されており、SG配合顆粒も同程度だと考えられます。

複数の成分を含むSG配合顆粒は副作用の頻度も少なくはなく、一定の注意が必要になります。

生じうる副作用としては、

  • 眠気
  • 腹部膨満感、胃不快感
  • 倦怠感、脱力感
  • 発疹、紅斑、掻痒感
  • 悪心・嘔吐
  • 腹痛、食欲不振
  • 便秘、下痢
  • ふらつき、めまい
  • 頭痛
  • しびれ
  • 発汗

などが報告されています。特に眠気や倦怠感が生じる可能性は高く、これはアリルイソプロピルアセチル尿素による鎮静作用が原因だと考えられます。

このような理由から、SG配合顆粒を服用中の方は自動車の運転などは控える必要があります。

報告されている重篤な副作用としては、

  • 血小板減少
  • 溶血性貧血
  • 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(SJS)
  • 急性汎発性発疹性膿疱症
  • ショック、アナフィラキシー
  • 間質性肺炎
  • 間質性腎炎、急性腎不全
  • 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
  • 喘息発作の誘発

などがあります。

また、SG配合顆粒は次のような方には原則禁忌(基本的には使ってはダメ)となっていますので気を付けて下さい。

1.SG配合顆粒、ピラゾロン系薬剤、アミノフェノール系薬剤に対し過敏症の既往歴のある方
2.アスピリン喘息又はその既往歴のある方
3.重篤な肝障害のある方

 

5.SG配合顆粒の用法・用量と剤形

SG配合顆粒は次の剤型が発売されています。

SG配合顆粒 1g

またSG配合顆粒の使い方は、

通常、成人1回1gを1日3~4回経口投与する。頓用の場合には、1~2gを服用させるが、追加するときは少なくとも4時間以上経過後とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日最高4gまでとする。

と書かれています。

 

6.SG配合顆粒が向いている人は?

以上からSG配合顆粒はどのような方に向いているお薬なのでしょうか。

SG配合顆粒の特徴をおさらいすると、

・鎮痛作用(痛みを抑える)、解熱作用(熱を下げる)がある
・補助的に鎮静作用や疲労回復作用などもある
・配合されている成分は古いものも多く副作用には注意が必要
・多くの成分が入っているため、安易に用いるべきではない

といった特徴がありました。

SG配合顆粒は多くの成分を含み、多くの作用が期待できるお薬ですが、期待できる作用と自分の症状がよほど合致していない限りは最初から用いるお薬としては推奨されません。

もちろん悪いお薬だという事はないのですが、

  • 人によっては必要のない成分が含まれている
  • 古い成分も多く、副作用に注意が必要

というところから、単に熱がある・痛みがあるというだけであれば、他のアセトアミノフェン系やNSAIDsを単剤から用いる方が良いでしょう。

例えばただ痛みだけを抑えたい場合、SG配合顆粒を使ってしまうと、アリルイソプロピルアセチル尿素の鎮静作用や無水カフェインの覚醒・疲労回復作用は無駄になってしまいます。それどころかこれらの成分による副作用のリスクに晒されるだけになってしまいます。

この場合はアセトアミノフェンやNSAIDsを単剤で用いる方が良いでしょう。

熱や痛みがあって、かつ穏やかに鎮静をかけてあげた方が良い場合、カフェインによる中枢神経刺激を行った方が良い場合には検討しても良いでしょう。