スチブロンはあせもに効くのか

スチブロン(一般名:ジフルプレドナート)は、1986年から発売されている「マイザー」というステロイド外用剤のジェネリック医薬品になります。

外用剤(いわゆる塗り薬)のため、皮膚疾患に用いられるお薬です。

日常でよく見かける皮膚疾患の1つに「あせも」があります。あせもは老若男女問わずに認められる疾患ですが、スチブロンはあせもに対しても効果はあるのでしょうか。

ここではスチブロンはあせもに有効なのかを考えていきましょう。

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1.スチブロンはあせもに効果があるのか

スチブロンは、あせもに対して有効なのでしょうか。

結論から言うとスチブロンはあせもに対して有効です。

スチブロンはステロイド外用剤です。ステロイドには様々な作用がありますが、主なものの1つに炎症を抑える作用があります。

一方であせもは、本来皮膚表面に分泌されるはずの汗が皮膚の中に分泌されてしまう事で皮膚に炎症が生じてしまう疾患です。

あせもは皮膚の炎症が生じる疾患であるため、炎症を抑える作用を持つステロイドはあせもに効果が期待できるのです。

ただしどんなあせもにもスチブロンが適しているわけではありません。皮膚の状態によってはスチブロン以外のステロイドの方が良い場合もあるし、ステロイドを使わない方が良い場合もあります。

ではどのようなあせもの時にスチブロンの塗布が適しているのでしょうか。

その答えを知るためには、

  • スチブロンがどのようなお薬なのか
  • あせもがどのような疾患なのか

をある程度理解しなければいけません。これらについて詳しく見ていきましょう。

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2.スチブロンはどのようなお薬なのか

まず、スチブロンがどのようなお薬なのかを理解していきましょう。

スチブロンは「ジフルプレドナート」という主成分からなるステロイド外用剤です。

ステロイド外用剤には様々な作用がありますが、主な作用には、

  • 免疫反応を抑える作用
  • 炎症反応を抑える作用
  • 皮膚細胞の増殖を抑える作用

などがあります。

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑えてくれます。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげます。

一方で免疫反応を抑えてしまうため、塗った部位がばい菌に感染しやすくなるというデメリットもあります。

またステロイドには皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきがあり、厚くなった皮膚を薄くする作用も期待できます。これも一方で正常な皮膚を更に薄くしてしまう事で皮膚のバリア機能を低下させてしまうというデメリットにもなります。

ステロイド外用剤は強さによって5段階に分かれています。

【分類】 【強さ】 【商品名】
Ⅰ群 最も強力(Strongest) デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群 非常に強力(Very Strong) アンテベート、マイザーなど
Ⅲ群 強力(Strong) ボアラ、リンデロンV、リドメックスなど
Ⅳ群 中等度(Medium) アルメタ、ロコイド、キンダベートなど
Ⅴ群 弱い(Weak) コートリル、プレドニンなど

この中でスチブロンは「Ⅱ群」に属します(マイザーのジェネリック医薬品ですので、強さもマイザーと同じになります)。

Ⅱ群のステロイドは「非常に強力」であり、炎症をしっかりと抑える作用がある一方で副作用に注意も必要になります。

ステロイドはしっかりとした抗炎症作用(炎症を抑える作用)が得られる一方で、長期使用による副作用の問題もあるため、皮膚症状に応じて適切な強さのものを使い分ける事が大切です。

強いステロイドには強力な抗炎症作用がありますが、副作用のリスクも高くなります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

スチブロンはステロイド外用剤の中でも強い部類に入るため、成人であれば背中や足の裏など皮膚が厚い部位に塗るのに適しています。

反対に顔や陰部などといった皮膚が薄い部位には原則として用いてはいけません。このような部位は、Ⅳ群(やむを得ない場合に限りⅢ群)など弱いステロイドが適応になります。

顔にⅡ群のスチブロンを使用してしまうと、確かに炎症は強力に抑えられるでしょう。しかし元々薄い皮膚が更に薄くなって毛細血管が浮き出てあから顔になってしまったり(ステロイド酒さ)、皮膚にばい菌が感染しやすくなってしまうリスクが高くなってしまうのです。

3.あせもとはどういう疾患なのか

では次に「あせも」がどういった疾患なのかを見ていきましょう。

あせもは正確には「汗疹(かんしん)」という医学病名になります。

汗疹は、本来は皮膚の表面に分泌されるはずの「汗」が、皮膚の中に分泌されてしまう事によって皮膚に小さな水疱や湿疹が出来てしまう状態です。

通常、汗は汗管という管を通って皮膚の表面に分泌されますが、汗の分泌量が多くなると一部が皮膚の中に分泌されてしまう事があります。これによって生じる数mmの小さな湿疹が「汗疹」になります。

本来は汗が溜まらないはずの部位に汗が分泌されるため、分泌された汗は周囲の組織を圧迫します。これによって炎症が生じるため、発赤やかゆみが出現します。

汗疹は、皮膚のどの層に汗が漏れるかによって、

  • 水晶様汗疹(汗が角質内に漏れる)
  • 紅色汗疹(汗が表皮の有棘層に漏れる)
  • 深在性汗疹(汗が表皮と真皮の境界部に漏れる)

の3つに分ける事ができますが、一般的にみなさんが「あせも」と呼んでいるものは「紅色汗疹」になります。

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4.まとめ

以上を踏まえた上でスチブロンをあせも(汗疹)に使ったらどうなるかを考えてみましょう。

汗疹は、本来であれば皮膚の上で分泌されなければいけない汗が、皮膚の中に漏れ出てしまっている状態です。

汗は身体にとって異物ではないため、汗自体が身体に悪さをする事はありませんが、本来汗が分泌されない部位に分泌されてしまうため、汗疹は周囲の組織を圧迫してしまいます。

これによって炎症が生じます。炎症が生じるとその部位の皮膚が発赤したり、周囲の神経を巻き込んでかゆみを引き起こしたりします。

この時、スチブロンを塗るとどうなるのでしょうか。

スチブロンは炎症を抑える作用がありますので、あせもに塗る事で発赤や腫脹・熱感・疼痛といった炎症の症状を緩和させる事ができます。

炎症を抑える事によって腫脹(腫れ)が引けば、周囲の組織への圧迫の度合いも弱まりますのであせもは快方に向かいやすくなります。

ただしスチブロンをはじめとしたステロイドはあせもの根本(皮膚の中に汗が分泌されてしまう事)を治しているわけではありません。皮膚の中に汗が漏れても炎症が起こりにくいようにしているだけです。

あせもにスチブロンを塗るのは確かに有効なのですが、それと合わせてあせもの根本を解決するような方法も並行して行わないと、スチブロンをやめたらまたすぐにあせもが再発してしまいます。

ではあせもはどのような原因で生じるのでしょうか。

その原因は、

  • 汗の分泌量が多くなりすぎて皮膚の中に漏れてしまう
  • 汗管が詰まって皮膚の中に漏れてしまう

というものがあげられます。

前者は夏場や暑い場所などに長時間いる事が原因となりますので、普段の生活環境が適温かどうか、衣服は過度に体温を上げるものではないかなどを再確認し、調節する必要があります。

後者は皮膚表面に皮脂や古い角質がたまりすぎると生じてしまうため、皮膚を適度に清潔な状態に保つ事をこころがける事が大切です。

このような根本への解決を行った上で、必要に応じてスチブロンのようなステロイドを使用するというのがあせもの治療法になります。

またスチブロンはステロイドの中でも強めになるため、使う部位や状況にも注意が必要です。

具体的には、

  • 皮膚が薄い部位(顔や陰部など)に生じたあせも
  • ばい菌が感染している可能性のあるあせも

には塗布してはいけません。

作用の強いスチブロンは皮膚細胞の増殖を抑える作用も強いため、顔や陰部などの皮膚が薄い部位にぬってしまうと、過度に体内に吸収されたり、皮膚を更に薄くしてしまいます。

またステロイドは免疫を抑える作用があるため、ばい菌が感染しているところに塗ってしまうとばい菌が繁殖しやすくなってしまいます。

スチブロンが適しているのは、比較的皮膚が厚い部位(背中など)で、かつ、ばい菌の感染の恐れのないあせもになります。

この判断は自分ではできない場合も少なくありません。その場合は主治医によく診察してもらい、主治医の判断に従うようにしましょう。

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