ユーパスタコーワ軟膏の効果と副作用

ユーパスタコーワ軟膏(一般名:精製白糖・ポビドンヨード)は、1991年から発売されている外用薬(塗り薬)になります。外用剤の中でも「皮膚潰瘍治療薬」という種類のお薬になります。

主に皮膚の潰瘍を治すために用いられ、主に寝たきりの高齢者の方に出来やすい褥瘡などの治療薬としてよく用いられています。

外用剤にもいくつかの種類があり、潰瘍の状態や時期によって適したものは異なってきます。

ユーパスタコーワ軟膏はどのような作用を持っていて、どのような効果が期待できる外用剤なのでしょうか。

ここではユーパスタコーワ軟膏の特徴や効果・効能・副作用についてみてみましょう。

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1.ユーパスタコーワ軟膏の特徴

まずはユーパスタコーワ軟膏の全体像をつかむため、その特徴をざっくりと紹介させていただきます。

ユーパスタコーワ軟膏は創部(傷口)を治りを促す作用と抗菌作用の2つを併せ持った塗り薬になります。

ユーパスタコーワ軟膏は、

  • 精製白糖
  • ポビドンヨード

の2つの成分を配合したお薬になります。

このうち、精製白糖に傷を早く治す作用があり、ポビドンヨードにばい菌をやっつける作用があります。

この両者を配合する事で、傷の治りを早めつつ、ばい菌への感染も予防・治療してくれるのです。

そのため、特にばい菌に感染するリスクの高い部位の創部や、ばい菌に感染してしまっている創部の治療薬に適しています。

また白糖には吸湿性がありますので、創部を乾燥させる作用があります。この白糖の作用はいい方向にはたらく事もあれば悪い方向にはたらく事もあります。

浸出液が多量な創部や浮腫が著しい創部に対しては、ユーパスタは適度に水分を吸収してくれるため、良い作用となります。反対に浸出液が少ない創部に用いると、創部を乾燥させてしまい傷の治りを遅くしてしまう可能性があるので注意が必要です。

近年、創部の治療は「湿潤環境」で治療する事が望ましいという事が盛んに言われています(Moist Wound Healing)。これは事実であり、傷は湿潤環境で治療した方が早く・綺麗に治ります。

「傷は乾燥させて治す」という昔の常識は、現在では否定されており、そのため傷を乾燥させる可能性のあるユーパスタは創部の状態を選んで使用する必要のあるお薬になります。

ユーパスタは塗り薬であるため、飲み薬の抗生物質のように全身にお薬が回ることが少なく、その分副作用も少ないという点も良い特徴です。

以上からユーパスタコーワ軟膏の特徴として次のようなことが挙げられます。

【ユーパスタコーワ軟膏の特徴】

・創部を治りを早める作用を持つ
・殺菌作用(ばい菌をやっつける作用)を持つ
・吸湿性があるため、創部を乾燥させすぎないように注意

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2.ユーパスタコーワ軟膏はどのような疾患に用いるのか

ユーパスタコーワ軟膏はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】
・褥瘡
・皮膚潰瘍(熱傷潰瘍・下腿潰瘍)

臨床では、その多くが褥瘡に対して用いられています。

ちなみに熱傷潰瘍に対して使用する場合は、受傷直後の熱傷に使用することは推奨されていません。熱傷後の二次損傷により生じた熱傷潰瘍に対しての使用になります。

ではユーパスタはこれらの疾患に対してどのくらいの効果があるのでしょうか。

ユーパスタを上記皮膚状態に塗布し、その効果が「有効以上」と判定された率(有効率)は、

  • 褥瘡に対する有効率は66.1%
  • 皮膚潰瘍に対する有効率は79.3%

と報告されています。

またそれぞれの皮膚状態において、創部面積が50%以上縮小した割合は、

  • 褥瘡の創部面積が50%以上縮小した症例は59.1%
  • 皮膚潰瘍の創部面積が50%以上縮小した症例は73.0%

と報告されています。

3.ユーパスタコーワ軟膏にはどのような作用があるのか

ユーパスタコーワ軟膏は皮膚に出来た潰瘍を治すために使われますが、どのような機序で皮膚を治しているのでしょうか。

ユーパスタコーワ軟膏100gには、

精製白糖 70g
ポビドンヨード 3g

が含まれています。

そしてこの2つの成分が皮膚の潰瘍を治すためにはたらいてくれます。

具体的なユーパスタコーワ軟膏の作用について紹介します。

Ⅰ.創傷治癒作用

ユーパスタコーワ軟膏は皮膚の傷(創傷)を早く治す作用があります。これはユーパスタコーワ軟膏に含まれる白糖の作用によります。

白糖は良質な肉芽の形成を促進します。

【肉芽(組織)】
皮膚に傷が出来ると、そこに繊維芽細胞がきて同部は結合組織で補充され、更にそこに血管が新生されていきます。この毛細血管と結合組織からなるものを肉芽といいます。

肉芽は傷が治る過程において必要なものです。傷が治るにつれて肉芽組織は瘢痕組織となっていき、肉芽組織の上に表皮組織が形成されていき、傷は徐々に小さくなって治っていきます。

また白糖は表皮細胞の分裂を促すことも確認されています。

これらの作用によって、創傷治癒を促進すると考えられています。

Ⅱ.殺菌作用

殺菌作用(ばい菌を殺す作用)は、ユーパスタコーワ軟膏に含まれるポビドンヨードが担当しています。

ポビドンヨードはよく用いられている消毒薬です。「イソジン」の成分と言えば分かる方も多いかもしれません。

イソジンはうがい液などが有名ですが、これも「ポビドンヨード」が主成分でポビドンヨードによって殺菌をしています。

ポビドンヨードは皮膚感染の原因菌として多い、

  • 黄色ブドウ球菌
  • 表皮ブドウ球菌
  • 緑膿菌
  • カンジダ(真菌)

への殺菌効果が認められています。

また、

  • MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)

に対しても、殺菌作用が認められています。

MRSAは黄色ブドウ球菌なのですが、メチシリンをはじめとした多くの抗生剤に耐性を持っている菌であり、医療現場では治療にしばしば難渋する菌です。

ユーパスタコーワ軟膏を塗ると、MRSAを陰性化させることが確認されています。

Ⅲ.乾燥作用

ユーパスタコーワ軟膏は吸湿性が高く、浸出液を吸収したり、創部の浮腫を軽減させる作用があります。

これは浸出液が多量な創や、浮腫が著しい創においては良い効果が期待できる一方で、創部を乾燥させすぎることで創部の治りを遅くしてしまうリスクにもなります。

そのためユーパスタは創部の浸出液・浮腫の程度によって使用すべきかが異なってくる外用剤になります。

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4.ユーパスタコーワ軟膏の副作用

ユーパスタコーワ軟膏にはどのような副作用があるのでしょうか。またその頻度はどのくらいでしょうか。

ユーパスタコーワ軟膏は塗り薬であり、全身に投与するものではないのでその副作用も局所に留まる事がほとんどです。そのため、ユーパスタコーワ軟膏の副作用は多くはありません。

ユーパスタコーワ軟膏の副作用発生率をみた調査では、副作用発生率は1.19%であったと報告されています。

報告されている副作用の多くは、

  • 疼痛
  • 刺激感
  • 皮膚炎

などの局所の副作用です。

いずれも重篤となることは少なく、多くはユーパスタコーワ軟膏の使用を中止すれば自然と改善していきます。

注意点として、ユーパスタコーワ軟膏は、

  • 甲状腺機能異常のある方
  • 腎不全の方

は使用の際に気を付けないといけません。これらの疾患がある方がユーパスタコーワ軟膏を使えないわけではありませんが、これらの疾患があるとポビドンヨード中の「ヨード」が体内に蓄積してしまう事があります。

ちなみにユーパスタコーワ軟膏には「白糖」が含まれているため、糖尿病の方に使うと糖が体内に吸収されて良くないのではないかという質問をたまに患者さんや家族から頂くことがあります。

実はこれに関する試験も行われています。そして糖尿病を持っている方にユーパスタコーワ軟膏を塗っても血糖に影響は与えないという結果が出ているため、糖尿病の方でも用いることが可能です。

5.ユーパスタの用量・用法と剤型

ユーパスタは、

(チューブ)
ユーパスタコーワ軟膏 30g
ユーパスタコーワ軟膏 100g

(ボトル)
ユーパスタコーワ軟膏 100g
ユーパスタコーワ軟膏 500g

(分包)
ユーパスタコーワ軟膏 分包8g

とつの5つの剤型があります。

分包タイプは1回使い切りタイプで、小分けされているので衛生的・簡便に使用することができます。

ユーパスタコーワ軟膏の使い方は、

症状および病巣の広さに応じて適量を使用する。潰瘍面を清拭後、1日1~2回ガーゼにのばして貼付するか、又は患部に直接塗布しその上をガーゼで保護する。

となっています。

6.ユーパスタコーワ軟膏が向いている人は?

以上から考えて、ユーパスタコーワ軟膏が向いているのはどのような人なのかを考えてみましょう。

ユーパスタコーワ軟膏の特徴をおさらいすると、

【ユーパスタコーワ軟膏の特徴】

・創部の治りを早める作用を持つ
・殺菌作用(ばい菌をやっつける作用)を持つ
・吸湿性があるため、創部を乾燥させすぎないように注意

というものでした。

ここから、

  • ばい菌が感染している可能性の高い創部で
  • 浸出液や浮腫が多い創部

に向いている外用剤だと考えられます。

注意点としてユーパスタコーワ軟膏は創部を乾燥させる作用がある点が挙げられます。

昔は「傷は乾かして治す」というのが常識でしたが、近年では「湿潤療法」が主流となっており、傷は潤して治した方が早く・きれいに治ることが分かっています。また湿潤させた方が傷口も痛みません。

ユーパスタは傷口を乾かしてしまいやすい傾向があるため、浸出液の多い傷であればいいのですが、浸出液が元々少ない傷に対して使ってしまうと、かえって傷口を刺激してしまって治りを遅くしてしまうことがあります。

創部の浸出液・浮腫の状態によってはユーパスタが向かない事もある事を覚えておきましょう。

ちなみにユーパスタコーワ軟膏は水に溶けやすい性質で、これは創部の洗浄時に重宝します。

褥瘡ができやすい部位は仙骨部などの臀部(お尻)付近ですが、この部位は便で汚染されやすいため、頻回に洗浄したりお薬を塗り直したりする必要があります。

その時、塗り薬がなかなか取れないと介護者にとって負担となりますが、ユーパスタコーワ軟膏は水に溶けやすいためすぐに洗浄でき、介護者的にも助かるお薬なのです。

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