ハルナールD錠の効果と副作用【前立腺肥大症治療薬】

ハルナールD錠(一般名:タムスロシン塩酸塩)は1993年から発売されているお薬で、前立腺肥大症の治療薬です。

当初はハルナールカプセルとして販売されていましたが、2005年にハルナールD錠が発売され、現在ではD錠のみとなっています(D錠:口腔内崩壊錠)。

ハルナールは前立腺の肥大自体を治すわけではなく、尿道を広げることで前立腺肥大によって生じている排尿障害(尿が出にくくなる症状)を改善させます。前立腺肥大症では前立腺の肥大によって尿道が圧迫されているため、尿道を広げてあげるお薬を使う事で尿が出やすくなるのです。

排尿障害の治療薬にもいくつかの種類がありますが、その作用や特徴はそれぞれ異なります。そのハルナールはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか

ここではハルナールの特徴や効果・副作用を紹介させて頂きます。

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1.ハルナールD錠の特徴

まずはハルナールというお薬の全体的な特徴を紹介します。

ハルナールは、前立腺肥大症に伴う排尿障害の治療薬の中で一番歴史のあるお薬です。多くの使用実績があるため安心して使う事が出来ます。

ハルナールをはじめとする排尿障害治療薬は、主に前立腺肥大症に伴う排尿障害に用いられます。

前立腺肥大症は、前立腺が大きくなってしまう疾患です。前立腺は膀胱の下部にあり、尿道を囲むように位置しています。そのため、前立腺が肥大してしまうと尿道が圧迫され、尿が出にくくなってしまうのです。

ハルナールは前立腺と尿道の筋肉を緩めることで尿道を広げるはたらきがあります。これにより尿を出やすくさせることができます。

また前立腺肥大症は高齢男性に非常に多い疾患ですが、ハルナールはD錠(口腔内崩壊錠)のため、飲み込む力(嚥下能)が弱くなった高齢者でも安心して服用することができます。

作用時間も長く、1日1回の服用で十分な効果が得られるのも利点になります。

以上からハルナールの特徴として以下のような点が挙げられます。

【ハルナールの特徴】

・尿道を広げる事で前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善させる
・歴史が長いお薬であり、使用実績が豊富で安心して使える
・1日1回の服用で良い
・D錠であり、嚥下能の低下した高齢者でも使いやすい

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2.ハルナールD錠はどんな疾患に用いるのか

ハルナールはどのような疾患に用いられるお薬なのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

前立腺肥大症に伴う排尿障害

前立腺肥大症とは、その名の通り前立腺が肥大する疾患です。前立腺は前立腺液を作る臓器で、これは精子の一部となる液です。男性にしかない臓器であるため、前立腺肥大症は男性特有の疾患になります。

なぜ前立腺が肥大するのかははっきりとは分かっていませんが、加齢や高血圧、高脂血症、遺伝などが関係すると言われています。特に加齢の影響は大きく、高齢者では高い確率で前立腺肥大症が認められます。

前立腺は膀胱の下部にある尿道を囲むようにして存在しています。そのため、前立腺が肥大すると尿道が圧迫され尿が出にくくなってしまいます。

ハルナールは前立腺肥大症によって排尿障害(尿が出にくくなる状態)に対して効果があるお薬だという事です。

ではハルナールは前立腺肥大症に伴う排尿障害にどのくらいの効果があるのでしょうか。

ハルナールの有効性をみた調査では、ハルナールを1日1回投与したところ、

  • ハルナール0.1mgの投与で中等度以上改善した率は28.3%
  • ハルナール0.2mgの投与で中等度以上改善した率は37.3%
  • ハルナール0.4mgの投与で中等度以上改善した率は38.6%

と報告されています。

3.ハルナール錠にはどのような作用があるのか

ハルナールはどのような機序によって前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善させているのでしょうか。

ハルナールは前立腺・尿道の平滑筋という筋肉に存在するα(アドレナリン)1受容体をブロックする作用を持ちます。α1受容体がブロックされると、前立腺・尿道の平滑筋は弛緩(緩む)する事が知られており、これがハルナールの主な作用機序になります。

前立腺・尿道のα1受容体がブロックされると尿道が広がり、尿の出にくさ、頻尿、残尿感などの前立腺肥大症に伴う症状の改善が得られます。

α1受容体は、前立腺・尿道以外の平滑筋にも存在しています。例えば血管の平滑筋にも存在しており、ここにも作用してしまうと血管が拡張してしまい血圧が下がってしまいます。

ハルナールは前立腺・尿道の平滑筋に選択的に作用するように作られており、血管などその他の部位の平滑筋にはあまり作用しません。そのため、時には血圧低下などの副作用が起こりますが、その頻度は多くはありません。

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4.ハルナールD錠の副作用

ハルナールにはどんな副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

ハルナールの副作用をみた調査では、ハルナールの副作用発生率は2.2%と報告されています。

ハルナールをはじめとしたα1受容体遮断薬は、安全性は高く、副作用の頻度は全体的に少なめです。

生じうる副作用としては、

  • めまい
  • 胃部不快感

などが報告されています。

また頻度は稀であるものの重篤な副作用としては、

  • 失神・意識喪失
  • 肝機能障害、黄疸

が報告されています。

先ほど説明した通り、ハルナールはα(アドレナリン)1受容体をブロックするお薬です。前立腺・尿道の平滑筋に存在するα1受容体に選択的に作用するように作られてはいますが、時に他の部位に存在するα1受容体に作用してしまう事があります。

血管平滑筋に存在するα1受容体に作用してしまうと血管が拡張し、血圧低下、めまい、ふらつきなどが生じることがあります。ひどい場合だと稀に失神や意識障害などが生じることもあります。

また胃部不快感などの消化器症状の報告もあります。

ハルナールは腎臓と肝臓で代謝されるため、肝障害・腎障害が生じることがあり、それに伴い血液検査で肝臓系酵素や腎臓系酵素の上昇が認められることがあります。AST、ALTなどの肝臓系酵素やBUN、Crなどの腎臓系酵素の上昇が生じることもあることが報告されています。

肝機能障害に伴う黄疸が出ることも報告されています。

特に肝障害や腎障害が元々ある方は特に注意しなければいけませんので、事前に主治医に自分の病気についてしっかりと伝えておきましょう。

5.ハルナールの用法・用量と剤形

ハルナールは、

ハルナールD錠 0.1mg
ハルナールD錠 0.2mg

の2剤型が発売されています。

ハルナールの使い方は、

通常成人には0.2mgを1回1回食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

となっています。

ハルナールは服薬後7~8時間ほどで血中濃度が最大となり、半減期は約9~12時間ほどのお薬です。半減期とは、お薬の血中濃度が半分になるまでにかかる時間のことで、そのお薬の作用時間の一つの目安になる数値です。半減期は1日ありませんが、血中濃度がゆっくりと立ち上がるため1日1回の服用とされています。

また、ハルナールは食事の影響を受けることが報告されています。食後の服用となっていますが、空腹時(例えば寝る前など)に服薬すると、食後の1.2倍ほど血中濃度は高くなるため、効きすぎてしまう可能性があります。

6.ハルナールが向いている人は?

以上から考えて、ハルナールが向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ハルナールの特徴をおさらいすると、

【ハルナールの特徴】

・尿道を広げる事で前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善させる
・歴史が長いお薬であり、使用実績が豊富で安心して使える
・1日1回の服用で良い
・D錠であり、嚥下能の低下した高齢者でも使いやすい

などがありました。

ここから、前立腺肥大症に伴う排尿障害がある方にまず用いるスタンダードなお薬と言えます。

また、

・D錠(口腔内崩壊錠)が良いという方
・1日に何回も服薬したくない方

などにとっては向いているお薬でしょう。

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