テラ・コートリル軟膏の効果と副作用【外用ステロイド薬】

テラ・コートリル軟膏(一般名:ヒドロコルチゾン・オキシテトラサイクリン塩酸塩)は1957年から発売されているお薬で、ステロイド剤と抗菌薬が配合された外用剤になります。

外用剤とは、皮膚に塗るタイプのお薬(塗り薬)の事です。テラ・コートリルはステロイドの作用により皮膚の炎症を抑え、また抗菌薬の作用により皮膚に感染した細菌をやっつけます。

飲み薬のように全身に作用するわけではなく病変がある部位にのみ塗るため、効かせたい部位にしっかりと効き、余計な部位に作用しないというメリットがあります。

塗り薬はたくさんの種類があるため、それぞれがどのような特徴を持つのか一般の方にとっては分かりにくいと思います。

テラ・コートリルはどんな特徴のあるお薬で、どんな患者さんに向いているお薬なのでしょうか。テラ・コートリルの効能や特徴・副作用についてみてみましょう。

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1.テラ・コートリルの特徴

まずはテラ・コートリルの特徴をざっくりと紹介します。

テラ・コートリルは皮膚に塗る外用剤であり、

  • 皮膚の炎症を抑えるステロイド薬
  • 皮膚の細菌をやっつける抗菌薬

の2つを配合したお薬になります。皮膚に細菌が感染しており、かつ炎症反応が過度に生じてしまっている時に用いられます。

テラ・コートリルには「ステロイド」と「抗菌薬」の2つの成分が含まれています。

テラ・コートリルには「ヒドロコルチゾン」というステロイドが含まれています。ステロイド外用剤(塗り薬)には主に次の3つの作用があります。

  • 炎症反応を抑える
  • 免疫反応を抑える
  • 皮膚細胞の増殖を抑える

ステロイドは免疫反応(身体がばい菌などの異物と闘う反応)を抑える事で、塗った部位の炎症反応を抑える作用があります。これにより湿疹や皮膚炎を改善させたり、アレルギー症状を和らげたりします。

また皮膚細胞の増殖を抑えるはたらきもありますが、テラ・コートリルにおいてこれは皮膚を薄くしてしまう副作用となりえます。

テラ・コートリルもステロイドを含みますが、外用ステロイド剤は強さによって5段階に分かれています。

Ⅰ群(最も強力:Strongest):デルモベート、ダイアコートなど
Ⅱ群(非常に強力:Very Strong):マイザー、ネリゾナ、アンテベートなど
Ⅲ群(強力:Strong):ボアラ、リドメックスなど
Ⅳ群(中等度:Medium):アルメタ、テラ・コートリル、キンダベートなど
Ⅴ群(弱い:Weak):テラ・コートリル、プレドニゾロンなど

この中でテラ・コートリルは「Ⅴ群」に属し、ステロイドの中でも効果は最弱です。

強いステロイドは強力な抗炎症作用がありますが、一方で副作用も生じやすいというリスクもあります。反対に弱いステロイドは抗炎症作用は穏やかですが、副作用も生じにくいのがメリットです。

テラ・コートリルは外用ステロイド剤の中では効きは弱いため、強い炎症に対しては力不足です。しかし穏やかに効くため、顔や陰部など皮膚が薄い部位や乳幼児の皮膚に使う際も安全に使えるステロイドになります。

しかしステロイドはどれも長期使用すると、皮膚の細胞増殖を抑制したり、免疫力を低下させたりしてしまいます。これによって皮膚が薄くなってしまったり感染しやすくなってしまったりといった副作用が生じる可能性があります。

テラ・コートリルもそういった副作用が生じる可能性はあるため、必要な期間のみ使用し、漫然と塗り続けないことが大切です。

またテラ・コートリルには「オキシテトラサイクリン塩酸塩」という成分が含まれています。オキシテトラサイクリン塩酸塩はテトラサイクリン系と呼ばれる抗菌薬になります。

抗菌薬とは細菌をやっつける作用を持つお薬の事です。テトラサイクリン系は幅広い種類の細菌に効く抗菌薬です。細菌の細胞内に存在するリボゾームに結合する事で、細菌がたんぱく質を合成できないようにしてしまうはたらきがあります。

たんぱく質を合成できなくなると、細菌の細胞を構成する組織を作れなくなってしまうため、細菌は死んでしまいます。このような機序で細菌をやっつけるのがテトラサイクリン系です。

テラ・コートリルは抗菌薬を含むため、皮膚で細菌が悪さをしているような時に効果が期待できます。

しかし抗菌薬は漫然と使っていると、耐性菌(抗菌薬に抵抗性を持った菌)を出現させてしまうリスクがあるため、必要な期間のみの使用に留める必要があります。特に幅広い菌に効くテトラサイクリン系は耐性菌を生じさせるリスクが高いため注意が必要です。

このような2つの成分を含むテラ・コートリルは、皮膚で細菌が悪さをしており、かつ炎症反応が過剰に生じてしまっている時に使われるお薬になります。

以上からテラ・コートリルの特徴として次のような事が挙げられます。

【テラ・コートリルの特徴】

・Ⅴ群(弱い)に属する外用ステロイド剤を含む
・テトラサイクリン系に属する抗菌薬を含む
・炎症を抑える作用、細菌をやっつける作用がある
・ステロイドの作用は穏やかで、顔や陰部・乳幼児の皮膚などにも使いやすい
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意
・抗菌薬であるため、長期使用による耐性菌の出現に注意

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2.テラ・コートリルはどのようなな疾患に用いるのか

テラ・コートリルはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

<適応菌種>
オキシテトラサイクリン感性菌

<適応症>
・深在性皮膚感染症、慢性膿皮症 ・湿潤、びらん、結痂を伴うか、又は二次感染を併発している次の疾患:

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)

・外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 ・歯周組織炎、感染性口内炎、舌炎

テラ・コートリルは、

  • ステロイドによる抗炎症作用
  • 抗菌薬による殺菌作用

を持つため、この2つの作用が必要な時に用いられます。

具体的には、

  • 皮膚に細菌が感染して、二次的に皮膚の炎症が過剰になってしまっている時
  • 皮膚の炎症によって、二次的に細菌感染が引き起こされてしまった時

などが該当します。

ただ皮膚に細菌感染以外の原因で炎症が生じているだけであればステロイド外用剤のみで良く、ただ皮膚に菌が感染しているだけであれば抗菌薬外用剤のみで良いため、このような時はテラ・コートリルは用いるべきではありません。

テラ・コートリルのような配合剤を使うのは、「皮膚に細菌が感染していて」かつ「炎症反応が過剰であり抑えてあげた方がよい」という限られた状況に留めるべきです。

進行性指掌角皮症とはいわゆる「手荒れ」の事で、水仕事などで手を酷使する事により手の皮膚が傷つきやすく、炎症を起こしてしまいます。

ビダール苔癬とはストレスなどが原因となり皮膚の一部に痒みや苔癬が生じる疾患です。主に首の後ろや大腿部などに生じます。

放射線性皮膚炎は放射線によって皮膚が炎症を起こしてしまっている状態で、日光性皮膚炎は紫外線によって皮膚が炎症を起こしてしまっている状態です。

このような皮膚疾患にて皮膚に炎症が生じており、かつ「皮膚に細菌感染の所見がある」と判断される時にテラ・コートリルのような外用剤は検討されます。

ちなみに通常時にも皮膚には「常在菌」と呼ばれる菌が住み着いています。しかし常在菌がただ住み着いているだけで何も悪さはしていないような状態は「皮膚が細菌に感染している」とは考えません。

感染しているというのは、菌が皮膚細胞に何か悪さをしている時(炎症を引き起こしている、細胞に障害を与えているなど)のみに用いられます。

3.テラ・コートリルにはどのような作用があるのか

テラ・コートリルは2つの成分を含むお薬ですが、具体的にはどのような作用があるのでしょうか。

テラ・コートリルの作用について詳しく紹介します。

Ⅰ.抗炎症作用・免疫抑制作用

テラ・コートリルに含まれる「ヒドロコルチゾン」はステロイドです。

ステロイドには様々な作用がありますが、その1つに免疫を抑制する作用があります。

免疫というのは異物が侵入してきた時に、それを攻撃する生体システムの事です。

例えば皮膚から体内にばい菌が侵入してきた時、免疫はばい菌をやっつける細胞を細菌侵入部に向かわせることでばい菌の侵入を阻止します。

免疫は身体にとって非常に重要なシステムですが、時にこの免疫反応が過剰となってしまい身体を傷付けることがあります。

皮膚に細菌が感染した事によって皮膚炎が生じた時の事を考えてみましょう。免疫は感染部位(皮膚)に免疫細胞を向かわせ、免疫細胞は皮膚細胞に感染した細菌を攻撃します。

この時、細菌だけをピンポイントで攻撃できればいいのですが、実際はそううまくはいきません。細菌が感染している皮膚細胞・組織も一緒に攻撃してしまいます。その結果、細菌をやっつける事は出来ますが、同時に自分の細胞・組織もある程度傷付けてしまうのです。

免疫が過剰に反応してしまった場合は、細菌をやっつけるために自分の細胞・組織にも大きなダメージが生じてしまいます。このように免疫が過剰となっている場合は、免疫力を多少抑えてあげた方が良い事があります。

そうすれば細菌をやっつけつつ、細胞・組織へのダメージも軽減させる事ができるためです。

テラ・コートリルに含まれるステロイド(ヒドロコルチゾン)は、このような作用を期待して配合されています。ヒドロコルチゾンにも免疫を抑えるはたらきがあるため、これによって免疫反応が抑えられ、炎症の程度も抑えられます。

ただし免疫を弱めるという事は同時に「身体で悪さをしている細菌への攻撃を弱める」という事でもあり、安易な使用は細菌の増殖を悪化させてしまう事もあります。

Ⅱ.抗菌作用

テラ・コートリルに含まれる「オキシテトラサイクリン」は、テトラサイクリン系の抗菌薬になります。

抗菌薬にも様々な種類がありますが、その中でもテトラサイクリン系は、細菌が必要なたんぱく質を合成できないようにしてしまう事で抗菌作用を発揮します。

通常、細菌は自分のDNA情報(遺伝情報)を素に、たんぱく質を合成し、細菌細胞を作っていきます。たんぱく質は細菌が自分自身の細胞を強化したり、細菌を複製して増殖させるために必要なのです。

テトラサイクリン系は、細菌の細胞内に存在する「リボソーム」という細胞小器官に結合し、これによりたんぱく質の合成ができないようにしてしまいます。

すると細菌は必要なたんぱく質を作れなくなってしまうため、自分の細胞を強固にする事もできなくなるし、自分の遺伝情報を素に新しい細菌細胞を作る事も出来なくなってしまいます。

これにより細菌をもろくして殺してしまうのです。

オキシテトラサイクリンは、

  • グラム陽性菌
  • グラム陰性菌(スピロヘータ、リケッチア、クラミジア含む)

と幅広い細菌に対して抗菌作用を持ちます。

たくさんの菌に効くというのは一見良い事ですが、これは裏を返すと幅広い菌に中途半端に作用しやすいという事でもあり、耐性菌を生じさせやすいという事にもなります。

実際、テトラサイクリン系は開発当初(1950年頃)、様々な菌に幅広く効くという事で安易にどんどんと使用され、その結果として耐性菌がたくさんできてしまったという過去があります。

そして、現在ではテトラサイクリン系に耐性を持つ菌が増えてしまったため、以前ほどは用いられていません。

現在でも必要な時にしっかりと使うのは問題ありませんが、漫然と長期間使うような使い方は推奨されません。

4.テラ・コートリルの副作用

テラ・コートリルにはどのような副作用があるのでしょうか。またその頻度はどのくらいなのでしょうか。

テラ・コートリルの副作用発生率の詳しい調査は行われていませんが、局所に作用する外用剤であり、安全性は高いお薬だと考えられます。

しかしステロイド剤・抗菌薬ですので、漫然と塗り続けないように注意は必要です。

生じる副作用もほとんどが局所の皮膚症状で、

  • 皮膚の感染症
  • 過敏症(刺激感、発疹など)
  • 眼圧亢進、緑内障
  • 白内障

などになります。

いずれも重篤となることは少なく、多くはテラ・コートリルの使用を中止すれば自然と改善していきます。長期間使えば使うほど発生する可能性が高くなるため、ステロイドは漫然と使用する事は避け、必要な期間のみしっかりと使う事が大切です。

ステロイドを含む外用剤の注意点としては、ステロイドは免疫力を低下させるため適切ではない状況で使ってしまうと細菌感染をかえって悪化させてしまう事があるという事が挙げられます。

そのため、使用すべき状態であるかについては専門家である医師に判断してもらう必要があり、独自の判断で使用を開始しないように注意しなければいけません。

テラ・コートリルの禁忌(絶対に使ってはいけない状態)には、次のようなものが挙げられています。

【禁忌】

(1)オキシテトラサイクリン耐性菌又は非感性菌による皮膚感染のある方
(2)真菌症(白癬、カンジダ症等)、皮膚結核、単純疱疹、水痘、種痘疹のある患者
(3)テラ・コートリルの成分又はテトラサイクリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある方
(4)潰瘍(ベーチェット病を除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷のある方

これらの状態でテラ・コートリルが禁忌となっているのは、テラ・コートリルが無効であるだけでなく、塗布によってかえって症状を悪化させてしまうリスクが高いためです。

5.テラ・コートリルの用法・用量と剤形

テラ・コートリルには、

テラ・コートリル軟膏 5g (チューブ)
テラ・コートリル軟膏 25g (チューブ)

といった剤型があります。

またテラ・コートリル1g中には、

オキシテトラサイクリン塩酸塩(抗菌薬):30mg
ヒドロコルチゾン(ステロイド):10mg

が配合されています。

ちなみに塗り薬には「軟膏」「クリーム」「ローション(外用液)」などいくつかの種類がありますが、これらはどのように違うのでしょうか。

軟膏は、ワセリンなどの油が基材となっています。長時間の保湿性に優れ、刺激性が少ないことが特徴ですが、べたつきは強く、これが気になる方もいらっしゃいます。また皮膚への浸透力も強くはありません。

クリームは、水と油を界面活性剤で混ぜたものです。軟膏よりも水分が入っている分だけ伸びがよく、べたつきも少なくなっていますが、その分刺激性はやや強くなっています。

ローションは水を中心にアルコールなどを入れることもある剤型です。べたつきはほとんどなく、遣い心地は良いのですが、保湿効果は長続きしません。しかし皮膚への浸透力は強く、皮膚が厚い部位などに使われます。

テラ・コートリルの使い方は、

通常、1日1~数回直接患部に塗布又は塗擦するか、あるいは無菌ガ ーゼ等にのばして貼付する。口腔内疾患には、毎日又は隔日に少量宛患部に注入又は塗擦する。

なお、症状により適宜増減する。

と書かれています。実際は皮膚の状態や場所によって回数や量は異なるため、主治医の指示に従いましょう。

6.テラ・コートリルの使用期限はどれくらい?

テラ・コートリルの使用期限って、どのくらいの長さなのでしょうか。

「家に数年前に処方してもらった塗り薬があるんだけど、これってまだ使えますか?」

このような質問は患者さんから時々頂きます。

これは保存状態によっても異なってきますので、一概に答えることはできませんが、適正な条件(室温保存)で保存されていたという前提だと、「5年」が使用期限となります。

7.テラ・コートリル軟膏が向いている人は?

以上から考えて、テラ・コートリル軟膏が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

テラ・コートリル軟膏の特徴をおさらいすると、

・Ⅴ群(弱い)に属する外用ステロイド剤を含む
・テトラサイクリン系に属する抗菌薬を含む
・炎症を抑える作用、細菌をやっつける作用がある
・ステロイドの作用は穏やかで、顔や陰部・乳幼児の皮膚などにも使いやすい
・ステロイドであるため、長期使用による副作用に注意
・抗菌薬であるため、長期使用による耐性菌の出現に注意

というものでした。

炎症反応を抑えるステロイドと細菌をやっつける抗菌剤を配合するテラ・コートリルは、皮膚に細菌が感染しており、かつ炎症反応が過剰に生じてしまっており多少炎症反応を和らげてあげた方が良い場合に適しています。

またステロイドの中では効果が弱い「ヒドロコルチゾン」を使用しているため、皮膚が過敏な部位(皮膚が薄い顔や陰部)にも使いやすいお薬でしょう。

しかし、これはステロイド・抗菌薬の全てに言えることですが、漫然と使い続けることは良くありません。ステロイドを漫然と使い続けると、ばい菌に感染しやすくなってしまったり、皮膚が異常に薄くなってしまう事があります。

抗菌薬を漫然と使い続けると、その抗菌薬に抵抗性を持った耐性菌がしゅつげんしやすくなります。

いずれも必要な時期のみしっかりと使い、必要がなくなったら使うのを止めるという、メリハリを持った使い方が非常に大切です。

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