テリボン皮下注の効果と副作用【骨粗しょう症治療剤】

テリボン(一般名:テリパラチド酢酸塩)は2011年から発売されているお薬で、骨粗しょう症の治療薬になります。

骨粗しょう症は、簡単に言えば「骨がもろくなって骨折しやすくなっている状態」の事です。

テリボンは骨粗しょう症のもろくなった骨を丈夫にする作用を持ちます。強力な作用を持ちますが、飲み薬ではなく「注射」のお薬になり使用にはいくつか注意すべき点があります。

骨粗しょう症のお薬にもいくつかの種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

骨粗しょう症治療薬の中でテリボンはどのような特徴のあるお薬で、どのような患者さんに向いているお薬なのでしょうか。ここではテリボンの特徴や効果・副作用について紹介していきます。

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1.テリボンの特徴

まずはテリボンの特徴を紹介します。

テリボンは骨芽細胞(骨を作る細胞)のはたらきを高める事で、骨を丈夫にする効果があります。骨粗しょう症のお薬の中でも、骨を強くする効果に優れるお薬です。

飲み薬ではなく注射である事、週1回通院する必要がある事、一生のうちで24か月間(約2年)までしか使用できない事、薬価が高いというデメリットがあります。

テリボンは骨粗しょう症治療薬です。骨粗しょう症というのは、主に加齢などによって骨がもろくなってしまい、骨折しやすい状態になってしまう事です。

テリボンは副甲状腺ホルモン(PTH)を化学的に合成したお薬になります。副甲状腺ホルモンは骨芽細胞(骨を作る細胞)と破骨細胞(骨を分解する細胞)のバランスを変化させる作用があり、テリボンのように注射でワンポイント投与をすると骨形成(骨を作る)を活性化させる作用がある事が知られています。

これを骨粗しょう症の治療薬として利用したのがテリボンです。

テリボンは骨粗しょう症治療薬の中でも「骨形成促進剤」と呼ばれ、骨を作る作用に優れるお薬です。

一方で有名な骨粗しょう症治療薬であるボナロン(一般名:アレンドロン酸ナトリウム)などは「骨吸収抑制剤」と呼ばれ、こちらは主に骨の分解・吸収を抑えるお薬になります。

簡単に言えば、テリボンは「骨を作る」という積極的な治療、ボナロンは「骨がこれ以上壊れないように守る」という防戦重視の治療と言えます。

テリボンは皮下に注射する事で骨形成を活性化させ、骨を丈夫にし、骨の老化による痛みや骨折を防ぐ効果があります。

その作用は強力であり、様々な骨粗しょう症のお薬の中で、現時点では骨を丈夫にする効果はNo.1だと言ってよいでしょう。

デメリットとしては、骨の形成を強力に活性化するため、骨肉腫(骨の癌)を生じるリスクがあるという点です。これは人間では認められておらず動物実験で大量に投与されたケースにおいてのみ認められた副作用ですが、人間でも同様の可能性がないとは言えないため注意が必要です。

このような理由からテリボンは一生の中で2年間までしか使えないこととなっています。この根拠はヒトを対象とした試験において2年間までの投与を行っていますが、少なくともその間には骨肉腫の発症は認められなかったためです。

また経済的なデメリットとしてはテリボンの薬価の高さが挙げられます。テリボンは1カ月分(4回分)で43,348円と非常に高額です。3割負担だと約13,000円、1割負担でも約4,300円となり決して安くはありません。

テリボンは注射剤であり、1週間に1回通院して売ってもらわないといけません。投与時に多少の痛みを伴う事、また通院を頻回にしないといけない事もデメリットと言えます。

以上からテリボンの特徴として次のような点が挙げられます。

【テリボンの特徴】

・骨の形成を促進する事により骨を丈夫にする
・骨粗しょう症による骨折を予防したり、痛みの改善が期待できる
・骨粗しょう症の治療薬の中でも効果は高い
・注射製剤であり、週1回通院して注射しないといけない
・薬価が高い

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2.テリボンはどのような疾患に用いるのか

テリボンはどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には、次のように記載されています。

【効能又は効果】

骨折の危険性の高い骨粗鬆症

テリボンは骨粗しょう症の治療薬になりますので、その適応はもちろん「骨粗しょう症」です。

テリボンを使用する場合、骨粗しょう症の診断をしっかりと確定させてからでないと服用を開始する事は出来ません。

骨粗しょう症は骨がもろくなってしまう疾患ですが、その診断には、

  1. 椎体または大腿骨近位部の脆弱性骨折
  2. その他部位の脆弱性骨折があり骨密度が成人平均値の80%未満
  3. 骨密度が低く、成人平均値の70%以下または-2.5SD以下

のいずれかを満たす事が必要です。

脆弱性骨折というのは、転倒などの軽い外力によって容易に骨折してしまう事です。

特に椎体(背骨)や大腿骨近位部(足の付け根付近)に脆弱性骨折が生じた場合、それだけで骨粗しょう症と診断が出来ます。転倒による腰椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折というのは、骨粗しょう症の患者さんに非常に多い骨折になります。

それ以外の部位で脆弱性骨折が生じた場合は、骨折に加えて骨密度が成人平均値の80%未満である事を確認する必要があります。

また脆弱性骨折が生じていない状態では、骨密度が成人平均値の70%以下であるか、-2.5SD以下であれば診断できます。

ちなみに骨密度はレントゲン撮影やエコー検査などで測定する事が出来ます。

テリボンは骨を強くする効果に優れるため、骨粗しょう症の中でも特に骨折の危険性の高い患者さんに向いているお薬になります。

効果が強く、骨肉腫の発症も完全には否定できないため、骨粗しょう症の診断をしっかりと確定させ、かつ骨折リスクが高い方に対して投与すべきお薬になります。

では、テリボンは骨粗しょう症に対してどのくらい効果があるのでしょうか。

骨折リスクの高い骨粗しょう症患者さんが新たに椎体骨折を発症する率を見た調査では、何の成分も入っていないプラセボを投与した群では椎体骨折の発症率が14.5%であったのに対し、テリボン投与では3.1%まで低下した事が確認されています。ここから、新規の椎体の骨折の発生を80%抑制すると報告されています。

また骨折のリスクが高い骨粗しょう症患者さんを対象にテリボンを2年間投与した試験では、

  • 腰椎の骨密度を9.9%増加させた
  • 大腿骨近位部・頸部の骨密度をそれぞれ2.8%・3.3%増加させた
  • 橈骨の骨密度を2.3%増加させた

と報告されており、テリボン投与によって骨密度が改善する事が示されています。

3.テリボンにはどのような作用があるのか

テリボンは骨粗しょう症治療薬です。

骨粗しょう症は加齢などによって骨がもろくなってしまい、骨折しやすくなってしまう疾患です。

骨粗しょう症の治療薬は大きく分けると2つの種類があります。

  • 骨形成促進薬:骨の形成を促進する事で骨を強くする
  • 骨吸収抑制薬:骨が分解されるのを抑える事で骨を弱くしないようにする

このうち、テリボンは「骨形成促進薬」になります。

ではテリボンはどのような機序によって骨の形成を促進しているのでしょうか。

テリボンは副甲状腺ホルモン(PTH)という副甲状腺から出ているホルモンを化学的に合成した製剤になります。

PTHは私達の体内でも分泌されているホルモンですが、このホルモンは血液中のカルシウムを増やすはたらきを持ちます。どのようにしてカルシウムを増やすかというと、骨を分解する事でカルシウムを血中に放出させるのです。

また腎臓においてカルシウムが尿とともに排泄されるのを抑えるはたらきや、腸管のカルシウム吸収能を高める事で食べ物からのカルシウムを吸収しやすくするはたらきもあります。

このPTHはちょっと不思議な性質を持っています。

PTHのはたらきは「骨を溶かしてカルシウムを血中に放出させる」ことですので、普通に考えればPTHが増えれば骨粗しょう症はより進行してしまいそうです。

しかしPTHは持続的に分泌されると骨を溶かしてカルシウムを血中に放出させる作用を発揮しますが、面白い事に間欠的(一定時間のみ)に分泌させるとむしろ反対に骨を形成する作用を発揮するのです。

なぜ持続的と間欠的にこのような作用の違いが出るのかはまだ良く分かっていませんが、PTHを体内で一定時間のみ増やすと骨の形成が促進され、骨が丈夫になります。

より正確に説明すると、骨を形成する細胞は「骨芽細胞」と呼ばれ、骨を分解する細胞は「破骨細胞」と呼ばれます。骨の形成・分解のバランスは骨芽細胞と破骨細胞の綱引きによって決まります。

PTHの持続的投与を行った場合、骨芽細胞も破骨細胞も活性化するのですが、破骨細胞の方がより活性化するため、骨は分解させる方向になります。

一方でPTHの間欠的投与を行った場合、骨芽細胞も破骨細胞も活性化するのですが、骨芽細胞の方がより活性化するため、骨は形成させる方向になるのです。

テリボンはこの点に注目して作られたお薬です。

テリボンは半減期(血中濃度が半分に下がるまでの時間)が約1~2時間と短く、皮下に注射しても、短時間でその作用は消えてしまいます。

しかしこの短時間のみ作用するという特徴が間欠的作用となり、骨芽細胞(骨を作る細胞)のはたらきを強める事で骨粗しょう症に効果を発揮します。

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4.テリボンの副作用

テリボンにはどんな副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度はどのくらいなのでしょうか。

テリボンの副作用発生率は49.5%と報告されています。

テリボンは注射後に一過性に血圧が下がったり血中カルシウム値が上昇する事が報告されており、これにより副作用が生じるのだと考えられています。

テリボンで生じる主な副作用としては、

  • 悪心、嘔吐
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 腹部不快感
  • めまい

などがあります。

これらは前述のとおりテリボンを投与する事で一過性に血圧が下がったり、血中カルシウムの濃度が変動するために生じると考えられます。

また頻度は稀ですが重篤な副作用としては、

  • ショック、アナフィラキシー

が記載されています。

また、テリボンは次のような方には禁忌(絶対に使ってはダメ)となっていますので注意しましょう。

1. 次に掲げる骨肉腫発生のリスクが高いと考えられる方
(1)骨ページェット病の方
(2)原因不明のアルカリフォスファターゼ(ALP)高値を示す患者
(3)小児等及び若年者で骨端線が閉じていない方
(4)過去に骨への影響が考えられる放射線治療を受けた方
2. 高カルシウム血症の方
3.原発性の悪性骨腫瘍もしくは転移性骨腫瘍のある方
4.骨粗鬆症以外の代謝性骨疾患の方(副甲状腺機能亢進症等)
5.本剤の成分又に対し過敏症の既往歴のある方
6.妊婦又は妊娠している可能性のある方、授乳婦

テリボンは動物実験において骨肉腫を発生させたという報告がありますので、骨肉腫発生のリスクが高いと考えられる方、骨の腫瘍を認める方にも使用する事はできません。

また使い方によっては血中カルシウム濃度を高めてしまう可能性があるため、高カルシウム血症の方に使用する事はできません。

テリボンは副甲状腺ホルモンを化学的に合成した製剤ですので、副甲状腺ホルモンが多くなっている方(副甲状腺機能亢進症など)には使う事が出来ません。

また動物実験で妊娠中に使用する事で、胎児数の減少、全胚吸収、膣出血などが認められたため、妊婦の方は使う事ができません。テリボンは乳汁へ移行するかどうかが不明であるため授乳婦の方も使用する事はできません。

5.テリボンの用法・用量と剤形

テリボンは次の剤型が発売されています。

テリボン皮下注用56.5μg

テリボンの使い方は、

通常、成人には、56.5mgを1週間に1回皮下注射する。なお、本剤の投与は24ヵ月間までとすること。

と書かれています。

テリボンはなぜ、「24か月間まで」と使用期限に制限があるのでしょうか。それはいくつかの理由がありますが、一つはテリボンは骨形成を促進する事により、骨肉腫(骨の癌)を誘発してしまう事が動物実験で報告されたからです。

動物実験ではかなり大量のテリボンを使ったケースにのみ生じているため、人において適量を投与した際に同様の副作用が生じる可能性は低いと考えられているものの一定の注意は必要ですので、投与期間に制限がかけられています。

また高額な薬剤であるため、漫然と長期間使い続ける事は医療費的にも好ましくないという側面もあると思われます。

6.テリボンが向いている人は?

テリボンはどのような方に向いているお薬なのでしょうか。

テリボンの特徴をおさらいすると、

・骨の形成を促進する事により骨を丈夫にする
・骨粗しょう症による骨折を予防したり、痛みの改善が期待できる
・骨粗しょう症の治療薬の中でも効果は高い
・注射製剤であり、週1回通院して注射しないといけない
・薬価が高い

といった特徴がありました。

テリボンの最大の特徴は、その効果の高さです。現時点では骨粗しょう症の治療薬として効果はトップクラスだと言っても良いでしょう。

デメリットには

  • 薬価の高さ
  • 注射で投与時に多少の痛みがある

と言った点が挙げられ、これは安く簡便に服用できる経口剤には劣る点です。

ここからテリボンを使用するのは、骨粗しょう症の方で、

  • 骨折のリスクが高い方
  • 骨折を何度もしているような方

に向いているお薬だと考えられます。特に効果を何よりも優先したい場合にはテリボンは候補に挙がるお薬になるでしょう。

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