ウルソデオキシコール酸の効果と副作用【肝臓・胆道・消化機能改善薬】

ウルソデオキシコール酸は1962年から発売されている「ウルソ」というお薬のジェネリック医薬品で、主に肝臓や胆道を保護する作用を持つお薬になります。

とても古いお薬ですが多くの作用を持ち、また安全性にも優れるため、現在でも肝疾患の方を中心に幅広く用いられています。

ウルソデオキシコール酸はどのような特徴のあるお薬で、どのような作用を持っているお薬なのでしょうか。

ウルソデオキシコール酸の特徴や効果・副作用についてみていきましょう。

スポンサーリンク

1.ウルソデオキシコール酸の特徴

まずはウルソデオキシコール酸の全体的な特徴についてみてみましょう。

ウルソデオキシコール酸は主に肝胆系の機能を改善させる作用を持ちます。安全性に優れ、様々な肝・胆道系疾患に幅広く使えるお薬になります。

ウルソデオキシコール酸の起源は、古来から消化器系の不調に対するお薬として用いられていた「熊胆(ユータン)」になります。

熊胆はその名の通り「熊(くま)の胆嚢」から作られた生薬で、古くから消化器症状(腹痛や食欲不振など)に効果がある事が知られていました。

これを元に作られたのがウルソデオキシコール酸になります。さすがにウルソデオキシコール酸は熊の胆嚢を使ってはいませんが、熊胆を元に作られたお薬になります。

実はウルソデオキシコール酸は胆汁酸の一種であり、私たちの体内にも元々存在する物質です。胆汁酸は、食事から摂取した脂質(油)を消化管から体内に吸収するのを補助する物質です。

胆汁酸にもいくつかの種類があるのですが、その中でウルソデオキシコール酸は、

  • 疎水性が低いため、細胞毒性が低い
  • 疎水性が低いため、脂質吸収作用が弱い

という特徴があります。

脂質(油)は水と交わらないため、そのままでは体内に吸収する事が出来ません。そのため、疎水性である胆汁酸が脂質を取り囲む事で吸収しやすい形にし、これにより脂質が身体にスムーズに吸収されるようにします。

疎水性の強い胆汁酸ほど脂質をしっかりと取り囲むため、脂質を吸収させやすくしてくれますが、一方で疎水性の強い胆汁酸は細胞毒性が高く、臓器にダメージを与えやすい事が知られています。

ウルソデオキシコール酸は胆汁酸の中でも疎水性が低いという特徴があります。ウルソデオキシコール酸を服用すると、体内の胆汁酸のうちウルソデオキシコール酸が占める割合が高くなるため、全体的に細胞毒性が低下する事になります。

これによって肝臓や胆道といった、胆汁酸が通る臓器へのダメージが軽減し、これが臓器の保護作用になります。

その他にも、

  • 利胆作用:胆汁の流れを改善させる作用
  • 炎症抑制作用:炎症を引き起こすサイトカインやケモカインのはたらきを抑える作用

がある事が確認されており、これらの総合的な作用によって肝臓・胆道系を保護してくれます。

またウルソデオキシコール酸には、

  • コレステロールの吸収を抑える作用
  • コレステロール胆石溶解作用

も確認されており、コレステロール胆石を縮小・改善させるために用いられる事もあります。

ウルソデオキシコール酸は元々が身体に存在する胆汁酸であるため、危険性の高い物質ではなく、安全性にも優れる点もこのお薬のメリットです。

またウルソデオキシコール酸は先発品「ウルソ」のジェネリック医薬品ですので、薬価が安いというメリットもあります。ただ先発品のウルソも古いお薬で薬価は低いため、そこまでお得感は感じられないかもしれません。

以上から、ウルソデオキシコール酸の特徴として次のようなことが挙げられます。

【ウルソデオキシコール酸の特徴】

・胆汁酸の一種である
・疎水性が低いため細胞毒性が低く、肝臓や胆道系を保護してくれる
・利胆作用(胆汁の流れを改善させる作用)がある
・サイトカインやケモカインなどの炎症を引き起こす物質のはたらきを抑える作用がある
・疎水性が低いためコレステロールの吸収を抑える作用がある
・コレステロール系胆石を溶かす作用がある
・身体に元々存在する胆汁酸であるため、副作用が少なく安全性が高い
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

スポンサーリンク

2.ウルソデオキシコール酸はどのような疾患に用いるのか

ウルソデオキシコール酸はどのような疾患に用いられるのでしょうか。添付文書には次のように記載されています。

【効能又は効果】

〇下記疾患における利胆

胆道(胆管・胆のう)系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患

〇慢性肝疾患における肝機能の改善

〇下記疾患における消化不良

小腸切除後遺症、炎症性小腸疾患

〇外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解

〇原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善

〇C型慢性肝疾患における肝機能の改善

ウルソデオキシコール酸は肝臓・胆嚢系の疾患を中心に幅広い適応を持っています。

「利胆(りたん)」というのは胆汁の分泌を促す作用の事です。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢に貯蔵される分泌液で、食事に含まれる栄養分が体内に吸収されるのを助けるはたらきがあります。

胆汁は、胆汁酸と胆汁色素からなります。胆汁酸は脂質の吸収を助けるはたらきを持ちます。胆汁色素は赤血球が破壊された残骸のようなもので、そのまま排泄されます。ちなみに便が茶色なのは、この胆汁色素の色です。

ウルソデオキシコール酸は胆汁の流れを改善させる作用を持つため、胆汁がうっ滞(流れが滞っている事)している状態を改善させる作用があります(詳しい機序については次項で説明します)。

またウルソデオキシコール酸は胆汁酸の成分のうち、細胞毒性の高い胆汁酸を減らし、細胞毒性の低い胆汁酸を増やします。細胞毒性の低い胆汁酸が増えると、胆汁が通る肝臓や胆嚢へのダメージがへるため、肝機能の改善につながります。

また胆汁酸というのは、食後に胆嚢から小腸に分泌されますが、本来のはたらきは小腸で脂質が体内に吸収されるのを助ける事になります。小腸に疾患があって十分に胆汁酸が分泌されないと脂質の吸収が不良になってしまいますが、ウルソデオキシコール酸はそのような時に胆汁酸を補う事で脂質の吸収を助けてくれます。

更にコレステロールの体内への吸収を抑えたり、コレステロール胆石を溶かしたりする作用もあるため、コレステロール系胆石を溶解するために用いられる事もあります。

原発性胆汁性肝硬変(PBC)は指定難病の1つで、肝臓の中にある胆汁の通り道である「毛細胆管」が破壊されてしまう疾患です。原因は自己免疫的な機序が指摘されています。これは免疫系(異物が侵入してきた時にそれを排除するシステム)が誤作動してしまい、自分自身の細胞を攻撃してしまうようになる疾患の事です。

ウルソデオキシコール酸は胆汁の流れを良くしたり、肝臓や胆道を保護したり、炎症を抑える作用があるため、原発性胆汁性肝硬変の症状を改善させる作用も期待できます。

またC型慢性肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝臓内に住み着いてしまい、免疫系がそれを攻撃する事で肝臓に炎症が生じてしまう疾患です。

ウルソデオキシコール酸は上記作用により、C型慢性肝炎の方の肝臓を保護する作用も期待できます。

ウルソデオキシコール酸はこれらの疾患に対してどのくらい効果があるのでしょうか。ウルソデオキシコール酸はジェネリック医薬品ですので有効性に対する詳しい調査は行われていません。

しかし先発品の「ウルソ」では行われているため、そちらを紹介します。

胆道系疾患の自覚症状に対する改善率をみた試験では、ウルソ150mg/日の投与で、

  • 右季肋部痛の改善率は81.0%
  • 心窩部痛の改善率は72.7%
  • 背部痛の改善率は31.6%
  • 膨満感の改善率は60.0%
  • 食欲不振の改善率は66.7%

と報告されています。

またコレステロール系胆石溶解に対する効果を見た試験では、ウルソ600mg/日を6~12カ月の投与したところ、溶解率は34.5%(消失が24.1%、縮小が10.4%)であったと報告されています。

原発性胆汁性肝硬変の患者さんに対してウルソ600mg/日を48~132週といった長期投与した試験では、ウルソによる改善率は81.8%と報告されています。

またC型慢性肝炎の活動性の1つの指標としてはALTという酵素値が用いられます。ALTは肝臓が痛むほど高値となるため、低いほど肝臓が保護されていると考えられますが、C型慢性肝炎の患者さんにウルソを24週間投与した試験では、

  • ウルソ150mg/日を投与した患者さんのALT変化率は-15.3%
  • ウルソ600mg/日を投与した患者さんのALT変化率は-29.15%
  • ウルソ900mg/日を投与した患者さんのALT変化率は-36.2%

とウルソの投与量が増えるほど、肝臓がしっかりと保護される事が示されています。

ウルソのジェネリック医薬品であるウルソデオキシコール酸も、これと同等の効果があると考えられます。

3.ウルソデオキシコール酸はどのような作用があるのか

ウルソデオキシコール酸はどのような作用機序によって肝臓や胆嚢、胃腸系を保護してくれるのでしょうか。

ウルソデオキシコール酸の作用機序について詳しく紹介させて頂きます。

Ⅰ.肝臓・胆道系の保護作用

ウルソデオキシコール酸は胆汁酸の一種ですが、実は胆汁酸には5つの種類があります。

  • コール酸
  • ケノデオキシコール酸
  • デオキシコール酸
  • リトコール酸
  • ウルソデオキシコール酸

これらはそれぞれ疎水性が異なります。疎水性が強い、つまり水との混ざりにくい胆汁酸ほど油と混ざりやすい(親油性)ため脂質と結合しやすく、脂質を吸収する作用に優れますが、一方で細胞にダメージを与えやすいというデメリットもあります。

上記の胆汁酸の中で最も疎水性が強いのがリトコール酸で、次がデオキシコール酸です。次いで、ケノデオキシコール酸、コール酸と続き、ウルソデオキシコール酸はほとんど細胞毒性がありません。

私たちの胆汁は約80%がコール酸で、デオキシコール酸が15%、残りがその他の胆汁酸です。

ウルソデオキシコール酸を服用すると、これらの胆汁酸の比率が変わり、最も細胞毒性の低いウルソデオキシコール酸の比率が高くなります。

その結果、細胞毒性が低下して臓器にダメージを与えにくくなり、これが肝細胞や胆道系を保護する作用となります。

またウルソデオキシコール酸は肝臓においてサイトカインやケモカインといった、炎症を引き起こす物質の産生を抑える作用もあります。これによって肝細胞に炎症が生じにくくなるため、この作用も肝臓を保護する作用になります。

Ⅱ.利胆作用

利胆(りたん)作用というのは、胆汁の分泌を促す作用になります。ウルソデオキシコール酸は胆汁の分泌を促進するはたらきがあります。

胆汁が作られる過程を見ていくと、胆汁は肝臓を構成する細胞である「肝細胞」で作られます。

肝細胞で作られた胆汁は肝細胞と肝細胞の間を通っている「毛細胆管」に運ばれます。毛細胆管は木の枝のように肝臓内を走っており、次第に集合して肝管という太い管になり、最終的には胆嚢につながっています。

胆嚢に辿りついた胆汁はそこで貯蔵・濃縮され、食事が消化管を通ってくると十二指腸に分泌され、脂質の吸収を助けるはたらきをします。

ウルソデオキシコール酸は肝細胞で作られた胆汁を毛細胆管に送りやすくしてくれます。具体的に言うと、トランスポーター(膜輸送体)という、胆汁を肝細胞から毛細胆管に輸送するたんぱく質を肝細胞の細胞膜に多く発現させる事で、胆汁が毛細胆管に移動しやすいようにしてくれるのです。

この作用により、胆汁酸が肝細胞内や毛細胆管内にとどまる事が少なくなり、胆汁うっ滞による肝障害が生じにくくなります。

Ⅲ.胆石溶解作用

ウルソデオキシコール酸は胆石のうち、コレステロールが主成分となるコレステロール系胆石を出来にくくしたり、溶かしたりする作用があります。

ウルソデオキシコール酸は、胆汁酸の中でももっとも疎水性が低いため、胆汁酸の中では脂質の吸収を助ける作用は弱めになります。

そのためウルソデオキシコール酸を服用する事で胆汁酸中のウルソデオキシコール酸の比率が増えると、脂質の吸収力が低下し、コレステロールを吸収しにくくなります。これによってコレステロール系胆石が出来にくくなります。

またウルソデオキシコール酸は、形成されてしまったコレステロール系胆石を溶解し縮小・消失させる作用もある事が分かっています。

Ⅳ.脂質の吸収を改善する

ウルソデオキシコール酸は胆汁酸の一種ですので、何らかの理由で胆汁酸が十分に分泌出来なくなっている方にとっては、補助的に胆汁酸を補給してあげる手段になります。

本来の胆汁酸のはたらきというのは、食後に小腸に分泌されて脂質の吸収を助ける事です。

例えば、小腸腫瘍などで小腸を切除した方であったり、炎症性小腸疾患がある方は胆汁酸の分泌量が低下してしまいます。このような場合、ウルソデオキシコール酸を投与する事で胆汁酸を補い、脂質の吸収を改善させる事が出来ます。

ただし元々胆汁酸が十分に分泌されている方には、この作用は期待できません。

スポンサーリンク

4.ウルソデオキシコール酸の副作用

ウルソデオキシコール酸にはどんな副作用があるのでしょうか。また副作用の頻度はどれくらいなのでしょうか。

ウルソデオキシコール酸はジェネリック医薬品ですので副作用発生率の詳しい調査は行われていませんが、先発品の「ウルソ」では行われており、副作用発生率は、

  • 原発性胆汁性肝硬変への投与の場合で10.12%
  • C型慢性肝疾患への投与の場合で2.44%
  • その他の疾患への投与の場合で3.13%

と報告されています。ウルソデオキシコール酸もこれと同程度の副作用発生率だと考えられます。

ウルソデオキシコール酸は元々私たちの体内にも存在している物質ですので、安全性は高いといっても良いでしょう。

生じうる副作用としては、

  • 下痢
  • 軟便
  • 便秘
  • 腹部膨満
  • 胃不快感
  • 悪心
  • 掻痒
  • 肝機能障害(AST、ALT上昇)
  • 発疹

などが報告されています。

多くが胃腸系の副作用になりますが、これは疎水性の低いウルソデオキシコール酸の比率が高まるため、脂質の吸収力が弱くなるためではないかと考えられています。

また基本的には肝臓・胆道系を保護するお薬にはなりますが、肝臓・胆道系にはたらくため、時に肝機能を悪化させてしまう事もありますので一定の注意は必要です。

頻度は稀ですが重大な副作用として、

  • 間質性肺炎

が報告されています。

ウルソデオキシコール酸を投与してはいけない方(禁忌)としては、

  • 完全胆道閉塞のある方
  • 劇症肝炎の方

が挙げられています。

ウルソデオキシコール酸には利胆作用があるため、胆道が完全に詰まっている方に投与すると、胆管・胆道にどんどん胆汁がたまってしまい、内圧が上がって肝臓や胆道が障害されてしまうリスクがあります。そのため胆道が閉塞している方へは投与してはいけません。

5.ウルソデオキシコール酸の用法・用量と剤形

ウルソデオキシコール酸は、

ウルソデオキシコール酸錠 50mg
ウルソデオキシコール酸錠 100mg

といった剤形があります。

ウルソデオキシコール酸の使い方は、疾患によって異なります。

〇下記疾患における利胆

胆道(胆管・胆のう)系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患

〇慢性肝疾患における肝機能の改善

〇下記疾患における消化不良

小腸切除後遺症、炎症性小腸疾患

に対しては、

通常、成人1回50mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

と低用量での使用となっております。

〇外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解

に対しては、

外殻石灰化を認めないコレステロール系胆石の溶解には、通常、成人1日600mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

とより高用量での使用となっています。

〇原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善

〇C型慢性肝疾患における肝機能の改善

に対しては、

通常、成人1日 600mgを3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。増量する場合の1日最大投与量は900mgとする。

と更に高用量の投与が認められています。

6.ウルソデオキシコール酸が向いている人は?

以上から考えて、ウルソデオキシコール酸が向いている人はどんな人なのかを考えてみましょう。

ウルソデオキシコール酸の特徴をおさらいすると、

・胆汁酸の一種である
・疎水性が低いため細胞毒性が低く、肝臓や胆道系を保護してくれる
・利胆作用(胆汁の流れを改善させる作用)がある
・サイトカインやケモカインなどの炎症を引き起こす物質のはたらきを抑える作用がある
・疎水性が低いためコレステロールの吸収を抑える作用がある
・コレステロール系胆石を溶かす作用がある
・身体に元々存在する胆汁酸であるため、副作用が少なく安全性が高い
・ジェネリック医薬品であり薬価が安い

といったものがありました。

ウルソデオキシコール酸は長い歴史としっかりとした実績を持つお薬です。また副作用も少なく安全性に優れます。

そのため、古いお薬でありながら現在でも肝臓・胆道系の疾患の方に幅広く投与されています。

胆汁の流れを改善させたり、胆汁酸による細胞毒性を低下させる事でメリットが期待できる患者様には積極的に投与しても良いお薬でしょう。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
こちらの記事も是非ご覧下さい